2026年度版技術系ガイド 


厚生労働省
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

 ~かけがえない生活の「要」ー当たり前の日常を守るー~

 「ひと、くらし、みらいのために」は、職員が一丸となって国民にとってあるべき厚生労働行政を推進していくという想いの支柱として掲げられたキャッチフレーズです。「ひと、くらしのために」はまず、社会のニーズを的確に捉えないと適切な施策を実施することができません。
 また、「みらいのために」は将来の姿やニーズの変化を見据え、先手を打って施策を実施していくことが重要です。
厚生労働省総合職技術系は、薬系、数理・デジタル系、技術系、人間科学系の4種類の区分がありますが、その中で技術系は、働く人々の安全と健康を守る分野(労働安全衛生分野)を中心に、ものづくり人材の育成や国際業務など、労働分野を軸として多岐にわたる政策に携わっています。

 

●フリーランスの安全と健康を考える

 建設アスベスト訴訟の最高裁判決(令和3年5月)において、同じ現場で働く労働者でない者も保護する趣旨であるとの判断が示されたことを受け、フリーランスで働く方々の保護のあり方が見直されています。
フリーランスは、企業等との契約において弱い立場に置かれることも多く、時として長時間の就業を強いられることで、健康障害や精神疾患を患うといった問題が見られていますが、自己管理のみに委ねるのは難しく、職種ごとの商習慣などもくみ取る必要があります。そこで、多種多様な職種団体の実情等を踏まえて報告書をとりまとめ、公・労・使をメンバーとする審議会においてフリーランスの具体的な安全や健康確保のための制度づくりなどを進めています。
 



●職場のメンタルヘルスシンポジウムのリーフレット

 健康に働けることはとても大事なことです。多様化する職場の健康問題の中でも、メンタルヘルスに関しては大きく注目を浴びており、心の不調に悩んでいる人が近年増えていることから、労働者、その家族、社会や事業場に与える影響が大きくなっています。そのため、平成27年に導入されたストレスチェック制度等を中心に、職場におけるメンタルヘルス対策を推進することで、働く方一人一人がよりよい将来の展望を持てるように、働く人の健康の観点から取り組んでいます。
 


 
●全国安全週間

 毎年7月に、労働災害を防止するために産業界での自主的な活動の推進と、職場での安全に対する意識を高め、安全を維持する活動の定着を目的として、全国安全週間を実施しています。
期間中は各職場における巡視やスローガンの掲示、労働安全に関する講習会の開催など、様々な取り組みを実施します。


●自律的な管理を基軸とする化学物質の規制

 現在、労働現場で取り扱う化学物質は数万種類に及ぶと言われており、そのうち危険有害性のある物質は約3,000物質あるとされています。その中には業務用の洗剤や業務用の消毒液などもはいっており、危険有害性などを十分理解しないままに使用して労働災害が起きているという事例も少なくありません。厚生労働省では、労働現場における化学物質の規制を自律的な管理を基軸とする規制へと転換したことをうけ、正しい化学物質の管理手法を広めるために、周知啓発に努めています。

 


●技能五輪全国大会

 技能五輪全国大会は、国内の青年技能者を対象に、技能競技を通じて努力目標を与えるとともに、技能に身近に触れる機会を提供するなど、広く国民一般に対して技能の重要性及び必要性をアピールする目的があります。厚生労働省では全ての人が能力を高めて適した仕事に就くことが出来るよう、職業能力を適切に評価するものさしとして技能検定をはじめとした評価制度を整備するほか上記大会などを通じて、技能者の育成や技能の重要性の理解促進に取り組んでいます。
    

 

職員紹介

久保田 晴香
久保田晴香
厚生労働省 労働基準局 安全衛生部計画課 調整係長


2018年 厚生労働省採用 労働基準局労安全衛生部安全課
2020年 千葉労働局船橋労働基準監督署安全衛生課
2021年 厚生労働省医薬・生活衛生局水道課水道計画指導室計画係長
2023年 厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課業務係長
2024年 育児休業
2025年 現職



理系の知識で働く人の安全と健康を守る
 
◇ 採用年・採用試験(区分)院卒・大卒

 2018年採用 総合職試験(工学) 院卒
 

◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 大学の研究では、過去に大きな事故があった化学物資を扱っていました。安全のため取扱ルールは厳しかったものの、そのおかげで事故なく研究できました。その経験がきっかけで、安全な労働環境を作ることに興味を持ちました。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 大学では、電子物理学を専攻していました。電子物理学の専門の知識が直接役に立つということはありませんが、安全衛生の分野は法令に計算式が出てきたり、規制の基準の根拠として工学や化学物質等の知識が必要であったりと、広く理系の知識や素養が必要な場面が多くあります。
 
◇ 記憶に残っている業務
 厚生労働省労働技術系では、若手が厚生労働省の出先機関である労働局・労働基準監督署に出向します。私は千葉労働局船橋労働基準監督署において、労働安全衛生行政の現場の最前線を経験しました。例えば、墜落防止のために開口部に柵を設けるなど、法令の規制が実際にどのような形で労働者を守っているのかを肌で感じることができました。この経験により、法令の規制が実際にどのような方法で行われるのかをイメージしやすくなりました。
 
◇ 日々の仕事
 現在は、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画である「労働災害防止計画」に関する業務を行っています。2023年4月から2028年3月までの5年間を計画する第14次労働災害防止計画では、アウトプット指標とアウトカム指標を設定していますが、この2つの指標の関連性の高さ等について、調査や統計データ等から、妥当性の評価・検証をしています。 
 
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 働く人の安全と健康を守るために、労働災害の防止に向けて仕事を行っています。働いている方を対象にした政策となるため、多くの人に影響することが多く、やりがいを感じます。また、労働災害のデータや技術の進歩等による新たな課題を把握し、規制のあり方を見直す等にあたっては、専門的な知識が必要になることもありますが、理系の知識をフル活用しながら理解に努めています。
 
◇ テレワークの経験
 化学物質対策課に所属していた際に、妊娠をしたことで体調を崩しやすくなっていました。妊娠期間中は、体調に合わせて、テレワークと出勤を選べたことで、業務を継続的に行うことができました。チャットやオンライン会議が気軽に行えるため、テレワークをしていても連絡や相談を気軽にできます。
 
◇ ある1日のスケジュール
 8:45 登庁、メールチェック
 9:30 締切のある依頼に関する作業
11:00 外国政府機関とのオンライン会議
12:30 昼食(自席で動画を見ながらランチ)
13:30 委託事業者との打ち合わせ
15:00 上司と労働災害防止計画にかかる方針について検討
17:30 退庁
18:30 保育園に子供をお迎えに行く

 
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