2026年度版技術系ガイド 


総務省
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

 ~情報通信技術でより良い社会に~

 総務省は、我が国の成長分野のひとつである情報通信分野を所管し、通信・放送業界の監督のほか、サイバーセキュリティの確保や先端的な研究開発、ICTの利活用の推進などを行う「情報通信行政」を担っています。情報通信行政では、最先端の技術を踏まえた政策を企画立案していくことが求められ、理系のバックグラウンドが活きる行政分野です。
 情報通信分野は技術の進歩が速いため、新しい技術の発展を妨げないように取り組む一方で、利用者の保護や既存のシステムへの影響に配慮した対応が求められており、技術系職員が幅広く活躍している分野です。

 


●Beyond 5Gが実現する機能

「Beyond 5G」は、2030 年頃の導入が見込まれる次世代の情報通信インフラであり、あらゆる産業や社会活動の基盤となることが期待されています。
Beyond 5Gの研究開発・国際標準化、社会実装、海外展開をより効果的・実効的に推進していくため、情報通信審議会において新たな戦略を策定、総務省では新戦略に基づき、Beyond 5G基金事業をはじめとするBeyond 5Gの早期実現に向けた取組を推進しています。

 


●ITUにおける国際標準化

 国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)のうち、電気通信標準化部門(ITU-T)では、電気通信/ICTの効率性向上のためのAI技術や、オール光ネットワーク等の将来ネットワーク技術等に係る標準化活動が行われています。2024年は、4年に1度の世界電気通信標準化総会(WTSA) が開催されました。総務省では、我が国のイノベーションの社会実装に向けて、標準化戦略の検討や推進を行っています。
 



●AI(大規模言語モデル(LLM))の開発力強化

 2022年のChatGPTの登場以降、人間と遜色のない自然な文章の生成が可能なAIである「大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)」の開発競争が世界中で激化しています。総務省では、我が国のLLM開発力を強化するため、NICTにおいてLLM開発に必要となる大量・高品質な学習用言語データを整備・拡充し我が国のLLM開発者等に提供する取組を進めています。

 


●非常時における携帯電話の事業者間ローミングの実現に向けた取組

 携帯電話サービスは、国民生活や経済活動に不可欠なライフラインであり、自然災害や通信障害等の非常時においても、携帯電話利用者が臨時に他の事業者のネットワークを利用する「事業者間ローミング」の実現に向け、情報通信審議会において検討を進め、2024年12月に端末の技術基準等に係る一部答申を得ました。
総務省では、2025年度末頃までの導入を目指し、携帯電話事業者等との技術的な検討や、相互接続性確保のための検証の推進、新たな仕組みに対応する制度整備等に取り組んでいます。

 



●サイバーセキュリティ人材育成

 近年巧妙化・複雑化するサイバー攻撃により、政府機関、民間企業等において情報漏えい等の被害が頻発しており、サイバー攻撃に対処可能な態勢を強化することは急務となっています。総務省では、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に組織したナショナルサイバートレーニングセンターにおいて、実践的な対処能力を持つセキュリティ人材を育成することで、我が国のサイバー攻撃への対処能力を強化し、国民が安心して安全に利用できるネットワーク環境の実現に貢献しています。

 



 
●放送設備のIP化・クラウド化

 ICTの進展に伴い、放送分野においても、利便性向上、運用効率化及びコスト低減等の観点から、マスター設備(番組送出設備)を中心として、放送設備のIP化・クラウド化が進むと想定されます。
放送は、緊急災害時を含め、常に国民生活に必需な情報をあまねく届けるという高い公共性を持つことから安全・信頼性の確保が求められており、総務省では、放送設備のIP化・クラウド化に対応した安全信頼対策の検討及び制度整備に取り組んでいます。

 


●非地上系ネットワーク(NTN)

 陸・海・空・宇宙をつなぐインフラとして、非地上系ネットワーク(NTN)の導入・高度化が期待されています。
NTNは 離島、海上、山間部等を効率的にカバーし、
携帯電話の基地局や光ファイバが未整備の地域に対しても通信サービスの提供が可能であり、自然災害等の非常時にも有用な通信手段です。
総務省では、NTNの導入・高度化に向けて、技術開発の推進や制度整備などに取り組んでいます。

 




●無線LANの利用イメージ

 無線LANは家庭や職場、駅、空港など様々な場所で利用されており、社会インフラのひとつとして国民の生活に欠かせないものとなっています。
総務省では、無線LANの高度化に継続的に取り組んでおり、例えば、新たな周波数帯で無線LANを利用可能とするための検討や、無線LANを活用したドローンの利用環境の整備に取り組んでいます。
 

 

職員紹介

黒川 理雄
黒川理雄さん
総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部安全・信頼性対策課事故分析係長
 
2009年 総務省採用 総合通信基盤局電波部電波政策課
2011年 情報流通業政局放送政策課
2012年 総合通信基盤局総務課
2014年 総合通信基盤局電波部移動通信課
2015年 総合通信基盤局電波部移動通信課移動体推進係長
2017年 総合通信基盤局電波部電波政策課第二計画係長
2019年 総合通信基盤局電波部基幹・衛星移動通信課航空係長
2022年 総合通信基盤局電波部移動通信課第一技術係長
2024年 現職



技術革新とともに歩む

 
◇ 採用年・採用試験(区分)院卒・大卒

 2009年採用 総合職試験(工学) 大卒

◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 当時、スマートフォンが出始めた時期で、手元の端末でアプリを動かすという新しい時代が到来しつつありました。そんな中、携帯電話の技術基準づくりなど「情報通信」に関する新技術の導入・普及支援などを行う総務省の業務に魅力を感じました。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 学生時代は通信工学を専攻しておりましたが、「情報通信」分野は、技術革新が早く、新たなサービスも次々と登場するため、日々、知識のアップデートが求められます。業界動向にアンテナを張るモチベーションや、新技術を理解し、それを活用できる仕組みづくりの検討、あるいは既存技術を把握し、課題を抽出するなど、業務を行う上で、技術系に興味をもち、学んできた背景を活かせていると思います。
 
◇ 記憶に残っている業務
  2024年度は、地震、豪雨、山林火災など、様々な災害が発生しました。通信は重要なライフラインの一つであり、避難所などで携帯電話が通じることや、救助、復旧活動に携わる方々の通信の確保が求めれました。非常時の緊張感の中、電気通信事業者の皆様などの協力も得ながら、被災地への応急復旧機材の配備や避難所等への通信機器の貸し出しなど、早期の通信サービスの復旧を目指して業務に取り組んだ日々は強く記憶に残っています。
 
◇ 日々の仕事
  現在は、携帯電話などの「通信」の安全・信頼性の確保、特に防災、災害対策に携わっております。災害発生時には、通信の早期復旧や避難所の通信確保に向けて通信事業者や他機関、自治体等と調整するほか、平時から通信設備の停電対策や通信回線の冗長化等の基準の検討、移動電源車等の応急復旧機材の整備支援を行うなど、多くの関係者と連携しつつ、重要なインフラである「通信」を災害時にも使えるよう、日々、取り組んでおります。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
  「情報通信」は社会活動に不可欠なものとなっており、皆様が今、手元に持っている携帯電話やPCだけでなく、日々使用する鉄道や飛行機、農業、医療、建築など様々な分野で活用され、そのすそ野は広がり続けています。新技術を新しい分野に役立てるために、一方で、事故などが起こらないよう、安全面などを考慮しつつ、ルールを作り、新たなサービスが生まれ、実際に機器が動き、使われている場面に立ちあえる点に、非常にやりがいがあると感じています。
 
◇ テレワーク経験
 コロナ期間中にテレワークを実施しました。チャット機能でのやり取りや会合をWEB会議で開催するなど業務の効率化が図られ、コロナが収束した後もこのような取り組みが根付いております。一方で、対面の機会を作ったり、音声通話も混ぜるなど、コミュニケーションを多様化するような取り組みも有効と感じております。
 
◇ ある一日のスケジュール
 9:30 登庁
10:00 課内に照会関係のメール展開
11:00 午後の打ち合わせの資料作成、確認
12:00 昼食(気分転換に外部の喫茶店へ)
13:00 災害時の情報収集システムの改修に関する事業者との打ち合わせ
14:00  災害訓練(通信関係)に関する総合通信局、自治体との調整
16:00 電気通信事業者と応急復旧機材の配備計画に関して議論
17:30 照会の刈り取りなど、事務作業を消化
19:00 退庁


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