2026年度版技術系ガイド


特許庁
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

 ~「知的財産」の守り人~

 特許庁の技術系職員は、審査官・審判官として特許の審査・審判業務に従事するとともに、特許制度を取り巻く様々な業務に携わり、日本の技術開発を支えています。
審査・審判業務では、国内外から出願された発明の理解、従来技術の調査、特許性の判断等、各プロセスにおいて理系の専門知識を最大限に活用します。入庁後は、業務や、学会への参加、海外留学等の機会を通じて技術と法律の専門知識をさらに深めていくことができます。
 また、審査で身に着けた知識や経験を強みとして、法律改正や国内外の知財政策の立案、中小企業・大学・スタートアップ支援など多様な分野に活躍の場があり、イノベーションの推進、日本の産業発展に貢献しています。

 

●審査室の風景
 



●審査官の執務環境

 特許審査では、出願書類から発明のポイントを把握した上で、過去の特許文献や論文等を調査し、出願された発明が既存の発明と同じものではないか、既存の発明から容易に思いつけたものではないか、といった観点で特許性を判断します。判断に悩んだ場合には、周囲の審査官と相談(協議)することが推奨されており、審査官全員が一丸となって、出願人・第三者の両者にとって納得感のある審査を目指しています。


●審査官の座席


●協議を行うためのスペース
 


●口頭審理を行う審判廷

 審査官として一定のキャリアを積み、法令で定められた研修を終えると、審判官として審判の業務を行う機会があります。審判では、審査結果への不服に対する審理や特許無効の請求に対しての審理を行います。この特許無効の請求についての審判は、原則として、写真の審判廷(又はオンライン)で、口頭で行います。審判は、地方裁判所に代わる第一審としての機能を担っており、技術的知見に加えて、法律知識や実務経験も総動員して判断を行います。
 


●国際会議などが行われる特別会議室
    

職員紹介

狩野 寛子
狩野寛子さん
特許庁 審査第一部ユーザーエクスペリエンス 審査官


2021年 特許庁採用 審査第一部 自然資源 審査官補
2024年 審査第一部 ユーザーエクスペリエンス 審査官補
2025年 現職


一つひとつの「知」に寄り添う

 
◇ 採用年・採用試験(区分)院卒・大卒

 2021年採用 総合職試験(農業科学・水産) 大卒
 

◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 学生時代に、海外研修や旅行を通して、日本の技術の精巧さ、緻密さ、品質の良さを実感したことがきっかけです。理系出身であることを活かしつつ、日本の技術を支える職業に就きたいと考え、国家公務員を選択しました。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 学生時代は、環境生物学を専攻しオートファジーの研究をしていました。現在は、主にゲームや玩具に関する特許審査業務に従事しています。専攻とは異なる技術分野を扱っていますが、学生時代に培った、論文を多読、精読する力や審査における判断を言葉にして伝える力は、多くの文献を調査し、文書を作成する審査業務において強みになっていると感じています。
 
◇ 記憶に残っている業務
 知的財産権に関する法律の勉強に打ち込んだ研修が記憶に残っています。苦手と感じていた法律ですが、研修を通して、法律の趣旨や目的に沿って様々な解釈がなされる点に面白さを感じました。新たな分野に接したとき、とりあえずやってみようの精神で向き合うと、いつのまにか好奇心で勉強をし知識がついてくる、そんな学びを得ました。これから様々な領域で業務を行うことになると思いますが、この学びを忘れずに精進したいです。
 
◇ 日々の仕事
 主に、特許審査業務を行っています。特許審査業務では、出願書類を基に発明内容を理解し、検索ツールを用いて先行技術文献の調査を行い、特許性について判断します。出願人から要望があれば、実際に会ってコミュニケーションを取る場合もあります。また、自身の担当技術分野に関して造詣を深めるために外部研修や学会に参加したり、担当技術分野の審査実務における課題や弊庁に対する要望などをヒアリングするために企業との意見交換会を行ったりします。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 特許審査業務をこなすほど、審査に役立つ知識とノウハウが自分の中に蓄積されるため、少しずつですが着実に成長している実感を得られると思います。また、先行技術文献と法知識を基に特許性の判断をするため、パズルのように情報を整理しながら論理的に文章を作成していく面白さがあると思います。基本的には、書類を通じて出願人とやり取りをしますが、審査官としての考えを伝え出願人が納得した上で特許査定できたときにやりがいを感じます。
 
◇ テレワークの経験
 週に1~2回テレワークを行っています。発明内容の確認や先行技術文献の調査、拒絶理由通知書等の起案に必要なツールが審査官に提供されており、登庁時と同じように特許審査業務をテレワークで行うことができます。私の場合、テレワーク時は、難しい案件の審査や審査以外の業務、情報収集など集中して取り組みたい作業を重点的に行うようにしているため、登庁時と頭を切り替えて業務にあたることができ、効率的だと感じています。
 
◇ある一日のスケジュール フレックス勤務
月(  8:00~16:45) 登庁 特許審査 20:00退庁
火(10:00~18:45) 登庁 翌日のテレワーク時に、特許審査する案件の下準備を行う 20:00退庁
水(  8:00~16:45) テレワーク 拒絶理由通知書を起案
木(  8:00~17:45) 登庁 前日のテレワークで作成した書類を提出
金(  7:30~15:15) テレワーク 勤務終了後は残業せずに趣味の映画鑑賞へ<
 
◇ ある1日のスケジュール
 7:30 登庁 メール、予定の確認
 8:00 発明内容の理解
 9:00 先行技術調査
12:00 昼食
13:00 先行技術調査
15:00 拒絶理由通知書の起案
17:00 退庁
18:30 友人と食事
 

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