税関では「安全・安心な社会の実現」「適正かつ公平な関税等の徴収」「貿易円滑化の推進」の3つの使命を掲げています。
その全ての使命に技術系職員が活躍しています。
あらゆる手段を講じて密輸入される不正薬物等を判定する成分の分析。動植物の生物分類別や機械部品の素材や用途別により税率が変化する輸入品に課される関税を適切に徴収するために行われる品目分類。輸出入の申告や入出港に関する申請をオンラインで処理する情報処理システムの管理。これら以外にも様々な専門性を有する技術系の職員にとって、税関は知識や技術が活かせる職場が多くあります。
技術系職員の活躍・貢献
■不正薬物の成分分析
税関には、海外から輸入される貨物や旅行者の手荷物のうち、外観だけでは性状を判断できない物品について、各種機器を使用して成分分析や薬物鑑定を行う部署があります。私はその中でも薬物分析の部門に配属され、現場で発見される不正薬物の疑いがある貨物について、麻薬、覚醒剤等に該当するか否かを判断する鑑定業務を担当しています。「安全・安心な社会の実現」を科学的側面から支えるものであり、その一端を担っていることに責任と誇りを感じています。
■輸入貨物の成分分析
不正薬物に加え、近年の金価格高騰を背景に輸入申告を行わずに海外から金を持ち込もうとする事案が増加しています。これに対応するため、金を機械部品に偽装するなど巧妙に隠匿した貨物について鑑定を行う部門があります。また、食品、化学品等の輸入貨物は成分や配合比率、物性等により関税率が異なる場合があるため、正確な性状を分析し、「適正かつ公平な関税等の徴収」を支える部門もあります。日本の貿易関税に直結する分析業務に携わる非常にやりがいがある業務です。
■ガスクロマトグラフ質量分析
薬物分析では、ガスクロマトグラフ質量分析、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴分析、赤外分光法等、複数の分析手法を組み合わせて鑑定を行っています。

■液体クロマトグラフィー

■核磁気共鳴分光装置

■赤外分光計
■始業前ミーティング
私は大学院では生命医科学専攻のため、分析化学の知識については必ずしも十分とは言えませんが、日々の業務を通じて知識と経験を積み重ねています。特に、分析実績のない新規物質に遭遇した際には、上司や先輩職員と情報共有・相談を行いながら試行錯誤を重ね、鑑定精度の向上に努めています。

■関税中央分析所での研究活動
新しい不正薬物や素材の分析手法の検討や従来の分析手法の改善案等、分析業務の水準を高める研究も行っています。その研究成果を全国の税関が参加する分析研究発表会で発表するとともに、関税中央分析所の公式サイトで報告しています。また分析に関する学術学会などへ参加するほか、年に数回薬学や法医学で著名な大学の先生や企業の方から講演をしていただく機会もあります。

■充実した研修体制
所属する部署内でも様々な技術を教えていただけますが、若手分析職員は関税中央分析所で約2年間分析技術を習得できる研修制度もあります。さらに東京税関の分析部門では各地域の若手職員の方々へ薬物分析の実務研修を数日行っています。このように全国の税関職員同士協力し合い分析技術の向上に努めています。
先輩職員に聞く
堀川 武志
財務省名古屋税関業務部統括審査官(通関第3部門担当)付監視官

2024年 財務省関税局関税課第一参事官室
2025年 現職
また、書類審査以外には税関内部の勉強会、研修に参加し新たな知識の習得に励んでいます。
10:00税関内部の勉強会(原産地)へ参加
12:15昼食
14:30申告内容について通関業者にヒアリング
15:00検査場にて輸入貨物の検査
17:30退勤
18:00ジムで筋トレ
21:00買い物をして帰宅