経験者採用試験の受験を考えている方へのメッセージ ~採用者の座談会~

 経験者採用試験に合格して各府省に採用された方々に、国家公務員を目指したきっかけや試験の準備などについて語っていただきました。
~参加者~
金原隆氏      会計検査院第4局上席調査官(文部科学担当)付調査官
(平成26年度会計検査院経験者採用試験(係長級(事務)))
後藤せいこ氏   内閣府男女共同参画局総務課係長
(平成26年度経験者採用試験(係長級(事務)))
榊原佳寿氏    金融庁総務企画局政策課係長
(平成25年度経験者採用試験(係長級(事務)))
細川達郎氏      農林水産省経営局農地政策課法令係長
(平成26年度経験者採用試験(係長級(事務)))
佐藤透氏      農林水産省農村振興局農村政策部農村環境課土地・水保全班土地保全係長
(平成26年度農林水産省経験者採用試験(係長級(技術)))
山田健太郎氏  農林水産省農村振興局農村政策部農村環境課土地・水保全班水質保全係長
(平成26年度農林水産省経験者採用試験(係長級(技術)))
原絵美氏      観光庁観光産業課主査
(平成26年度観光庁経験者採用試験(係長級(事務)))
 
 
1 国家公務員になろうと思ったきっかけは何ですか?

(金原氏)
  前職では公認会計士として監査法人に勤めていましたが、地方自治体を対象とした会計監査をした際に、監査で指摘したことが市民に対する貢献につながることにやりがいを感じました。大学生の時に会計士になるか公務員になるかで迷っていたこともあり、公務員になれる最後の機会になるだろうと思い、より広い舞台で専門性を活かせる場として、会計検査院を志望しました。

(後藤氏)
  私は以前はNGOや大学で女性支援に関する業務に携わっていました。結婚・出産で仕事から一旦離れたことなどもありましたが、経験者採用試験の存在を知り、これまでの経験を国の将来のために活かせればと思って受験しました。
(金原氏)


(榊原氏)
  前の会社にいたときに2年間金融庁に出向した経験があったのですが、出向期間中の仕事がダイナミックで魅力的だったことと、職場に尊敬できる上司・同僚が多かったことが、金融庁への転職を考えるきっかけになりました。
 
(山田氏)
  私は大学で地質学の研究をしていましたが、31歳の時に研究職に見切りをつけて一念発起して就職活動を始めました。31歳という年齢から新卒での採用は難しく、民間会社の中途採用もなかなか受からない状況が続きましたが、たまたま農水省で地質学の専門知識を持った職員が不足していることを知って、挑戦してみようと思ったことが国家公務員になろうと思ったきっかけです。


(細川氏)
  私はこれが5度目の転職になります。まず、新卒で保険会社に採用されたのですが、会計の専門家になりたいと思って会計士を目指しました。会計士となってから監査法人に就職しましたが、35~40歳までには独立して事務所を開きたいと考えていたので、経験を積むために、上場会社に転職して経理の仕事に携わり、その後会計コンサルティング会社に転職しました。
  公務員を目指したきっかけとしては、子供の将来を考えたときに農林水産業への関心が芽生え、そうしたところ、経験者採用試験というものがあることを知り、受験して農水省に採用されたという経緯です。

(佐藤氏) 
  私は3年間建設会社の技術研究所で働いていました。転職するつもりはあまりなかったのですが、地下水学会から農水省の経験者採用の案内メールが届いたので面白そうだなと思って説明会に参加したのがきっかけです。建設会社では施工が主ですが、国の機関だと計画と施工、維持管理の業務にも幅広く携われる点に魅力を感じて志望しました。  
(細川氏)


(原氏)
  私は6年間旅行会社に勤務した後、地方自治体に転職しました。地方自治体では、最初は観光系の課に配属されたのですが、その後別の部署に異動になりました。異動先でもまた違ったやりがいは感じておりましたが、今後の自身のキャリアパスを考えたときに、やはり旅行や観光の業務に携わっていたいと思っていたところ、ホームページで観光庁の経験者採用試験のことを知って志望しました。
 
2 試験のためにどのような準備をしましたか?


(金原氏)
  公務員試験の過去問を見たところ、特に数的処理は時間内に解くことが難しそうだと思いましたので、過去問集を購入して重点的に勉強しました。面接対策としては、想定問答を作成するなどの準備をしました。

(後藤氏)
  国家公務員総合職試験を受験した知人から、採用試験のおおまかな内容を聞いて情報収集しました。経験論文試験については、今まで自分が何をしてきたのか、何を達成できたのかについて時間内にきちんと書けるように、自宅で時間を計って書く練習をしました。

 
(榊原氏)
(榊原氏)
  過去問を見て一応の準備はしましたが、化学や物理といった教養科目は学生時代の記憶に頼って解いたようなものでした。準備のほとんどを経験論文試験の対策に充てましたが、経験論文では特に自分自身の過去の業務経験について書きました。
 
(山田氏)
  6年前に国家公務員Ⅰ種試験を受験した経験があったので、公務員試験の内容がどのようなものかは大体分かっていました。数的処理などの問題は頭の回転がよくないと解けないなと思ったので、頭が働くように当日の朝にチョコレートを食べるなどしました(笑)。

(細川氏)
  過去問を購入し、試験問題の傾向を掴んでから試験に臨みました。また、国家公務員にな った大学の同級生から、政策討議や官庁訪問のアドバイスをもらって参考にしました。

(佐藤氏)
  過去問を参考に準備しました。面接対策は、国家公務員が書いた本を参考にノックの仕方やおじぎの仕方から勉強しました。

(原氏)
  経験論文試験と面接の対策として、これまでの自分の経験をきちんと書けるように、話せるように振り返りました。
 
3 今、どのような仕事をしていますか? また、前職での経験を現在の業務にどのように活かしていますか?


(金原氏)
  この4月に採用されたばかりなので、今は検査対象機関の情報収集をするなど今後の実地検査の準備をしているところです。今後検査を実施していく中で、これまでの会計士としての経験を活かしていけると思います。

(後藤氏)
  私は現在、女性活躍推進法案に関わる業務に携わっています。法律の制定に携わるのは初めてなので、日々勉強です。社会人としての経験があるので、自分が新卒の頃と比較すると、自分から動けるように努めています。今後は今までの経験で培った女性支援に関する知識を活かしていきたいと思っています。

(榊原氏)
  今は税制に関する業務に携わっています。前職と業務の内容が全く違うので、今のところ前職の経験を直接には活かせていないですが、まずは現在の業務に全力で取り組み、金融庁全体の仕事の流れを覚えることが大切であると考えています。その上で、幅広い金融庁の業務の中で、これまでの経験も活かしていきたいです。

(山田氏)
(後藤氏)

  今は勉強を兼ねていろいろな会議に出席しているところです。また、離島の水資源の不足が問題となっており、農業用水の確保のために、地下水の残量などのデータ解析を行っていますが、大学での研究者としての経験から数字やデータに強いので、今の業務に活きています。今後は大学で研究した地質学の知識が活きてくると思います。

(細川氏)
  今のポストは法令係長ですが、法令協議や引用法令照会のとりまとめ、調整業務を行っています。今のポストで省内の動きや仕事の流れなどを覚えた上で、今後は、今までの経験を活かして農業の6次産業化や地方活性化の業務に携わりたいと思っています。

(佐藤氏)
  今は地滑り調査のマニュアルを作成しています。これまでは、そのマニュアルを使って現場で調査をする立場だったので、現場での経験をマニュアル作りに活かせると思っています。

(原氏)
  ユニバーサルツーリズムの促進(高齢者や障がい者等を含む誰もが旅行を楽しめる環境作り)に携わっています。これまで、地域の受け手である地方自治体と、送り手である旅行会社の両方の経験がありますので、今後その経験を活かしていければと思います。
 
4 採用される前、国家公務員に対してどのようなイメージを持っていましたか? 実際に働いてみて、採用される前のイメージとギャップがありますか?

(金原氏)
 上下関係が厳しいイメージでしたが、実際はそうでもないと感じています。また、役所は堅い人ばかりかと想像していましたが、職場で接する人は親切な人が多いですね。

(後藤氏)
 それほどギャップは感じていません。部署によって違いはあるでしょうが、少なくとも今の職場は働きやすく、非常に恵まれていると思います。保育園の送迎等に対して周囲の理解・サポートがあり、かといって変に特別扱いもされないところが良いです。

(榊原氏)
  金融庁はとても職場の風通しが良いです。どの部署においても、中途採用職員やプロパー職員、民間からの出向者などが知恵を出し合い、協働しています。

(山田氏)
(佐藤氏)

  採用前、公務員は白いワイシャツを着ている人ばかりかと思っていましたが、意外とおしゃれなワイシャツを着ている人が多いという印象です(笑)。
  仕事については、マネジメントや判断、合意形成という仕事だけをするのかと思っていましたが、実際には大学でやっていた研究と似ていて、証拠に基づいて、根拠をもってロジックを作り、議論を重ねた上で、最後に何らかの結論を導き出すという仕事でした。配属先に配慮していただいたのかもしれないですが、研究業界の人間からすれば仕事に入りやすかったです。

(細川氏)
  前職では比較的長期間に渡るプロジェクトに従事することが多かったですが、今の業務では、毎日大量の協議が来るので、瞬時の判断、事務処理能力が求められます。業務量が非常に多く、大変なことも多いですが、国家公務員の皆さんは一生懸命国のために働いていてすごいなあと思います。

(佐藤氏)
 霞が関は激務だと聞いていましたが、今の職場では、実際には水曜・金曜が定時退庁日で、休日もしっかりと取れています。また、自分よりかなり年上の方とも率直な意見交換ができて、風通しの良い職場だと感じています。

(原氏)
  国家公務員は堅い、厳しいというイメージがありましたが、周りの方はフランクに接してくれています。観光庁は民間企業や地方自治体などからの出向者が多く、まさに「開かれた観光庁」という感じがします。
(山田氏)



  
5 経験者採用試験等を通じて国家公務員への転職を目指す方々にメッセージをお願いします。


(金原氏)
  会計士の方に向けたメッセージになってしまうかもしれませんが、国は財政が厳しい状況で、これから会計監査はますます重要になってきます。民間の会社の監査もやりがいはありますが、会計検査院では国という広いフィールドで監査ができるので、やりがいはたくさんあります。是非一緒に働きましょう。

(後藤氏)
  国家公務員には、純粋な熱い気持ちで職務に臨んでいる人が多いので、そのような人達のチームに加われて嬉しく思っています。経験者採用試験の面接で、4年間の育児による仕事のブランクを肯定的に捉えてもらえたことが印象に残っています。出産・育児により離職せざるを得なかった方にとっては、経験者採用試験は自分の経験を活かす絶好の機会ですので、是非挑戦してほしいです。また、再就職や転職を考えている奥さんをお持ちの男性の方は、このような機会への挑戦を勧めて、背中を押してあげてください。

(榊原氏)
  国家公務員はきわめて幅広い仕事に携わることができ、また、多様な人材から構成される職場だと思います。経験者採用試験を通じて国家公務員になる道があることはあまり知られていないかもしれませんが、自分の経験を公務に活かしたい人に対して門戸は開かれています。こうした職場を魅力に感じる方は、思い切って転職を考えていただければと思います。

(山田氏)
  自分の今までの経験を評価してもらった上で非常にスケールの大きい仕事に携わることができているので、責任感・プライドを持って仕事に臨んでいます。転職を考えている方には、自分が公務に求められている人材であるということを知って、是非、経験者採用試験にトライしてほしいと思います。
(原氏)


(細川氏)
  公務の世界は、どの省庁に行っても幅広くかつ専門的なことをやっていて、いわば会社の中に会社がある感じです。また、異動のローテーションが2年なので、2年ごとに会社が変わる感じで、様々な人といろいろな業務に携われるのも国家公務員の魅力ですね。

 (佐藤氏)
  日本のために働きたいという人は、是非挑戦してみてほしいです。

(原氏)
  観光庁はいろいろなバックグラウンドを持った人がいて、中途採用でも受け入れてもらいやすい環境があるので、あまり構えることなく挑戦してみてほしいです。東京オリンピックの開催に向けて、観光庁の役割もより一層重要になってくると思いますので、きっと刺激的で楽しいと思います。
 
座談会の様子(平成27年5月実施)
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