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市原 慎介 |
警察庁 サイバー警察局 サイバー企画課 課長補佐
平成22年採用 Ⅰ種(理工Ⅰ) |
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◇ 学生時代の専攻分野は? |
土木工学
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◇ 志望動機は? |
学生時代に交通工学を専攻していて、交通行政への関心から警察庁の説明会に参加したことがきっかけでした。
採用担当者からの説明で、警察が取り扱う業務のフィールドの広さ、誰もが安全・安心を感じることができる社会をつくる仕事のやりがいに魅力を感じ、生涯をかけてこの仕事に携わってみたいという思いから志望しました。
また、政策の企画等だけではなく、現場活動に当たる都道府県警察等の職員として活躍する機会があるなど、他の業務・職種では得られない経験を積むことができるという点も、大きな魅力でした。
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◇ 採用後の経歴は? |
警察庁に採用された場合、都道府県警察や関係省庁に出向して勤務する機会があります。ここでは、私が出向先で経験した業務を紹介します。
埼玉県警察では、日頃寄せられる県民や企業からの被害相談等に向き合って部下職員と対策の方向性を議論したり、サイバー分野で取り組むべき課題や施策を戦略的に取りまとめるなど、サイバーセキュリティの対策・防犯等を担当する責任者として、創意工夫を凝らしました。
内閣サイバーセキュリティセンターでは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のサイバーセキュリティ対策を総合的に推進する業務を担当し、大会関係組織のセキュリティリスクの低減、事案発生時の支援体制の構築に関する取組を推進しました。大会の成功という共通の目標に向けて、セキュリティ関係企業や関係省庁から出向する職員と、汗を流してきたことは、貴重な経験となりました。
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◇ 日々の仕事の様子は? |
現在は、サイバー警察局サイバー企画課課長補佐として課の企画調整業務を担当しています。深刻化するサイバー空間の脅威に対する警察の取組方針等について、局全体の業務を俯瞰しながら検討することが主な業務となります。
また、警察の主な任務は、犯罪の取締り、防犯対策ですが、これらは警察のみで対応できるものではなく、産学官が連携し、社会全体で取組を進めていかなければならないものでもあります。よりよい取組を推進できるよう、外部組織と調整を行う窓口機能を担うことも、私の重要な業務のひとつです。
めまぐるしく変化する社会の情勢に取り残されることがないよう、世の中の動向に注意を払い、的確な提案等ができるように心がけています。
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◇ 専門性はどのように活かされていますか? |
行政機関にあっても、施策の推進に当たっては、コストを意識して効果的・効率的に取り組むことが求められます。
理系の研究分野では、仮説を立て、様々な観点から分析等することで、科学的な根拠や裏付けを積み重ね、新たな知見等を生み出していきますが、こうしたアプローチは行政官の業務にも求められます。施策の企画立案、個々の事案対応においても、学生時代に身につけた知識や経験はきっと役立つと思います。
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◇ 仕事の面白み、やり甲斐は? |
犯罪の取締り、防犯対策どちらの活動も警察の業務は報道で取り上げられる機会が多いですが、報道等を通じて、自身の業務が社会をよい方向に進める取組として注目されていることを知ると、自身の責任の大きさを再認識するとともに、やり甲斐を感じることができます。
また、行政官の仕事は、人事異動で担当業務を後任に引き継ぎながら中長期的に取組を発展させていくものが多くあります。過去に自身が同僚等と試行錯誤して始めた取組が、当時は注目等されなくても、次のステップに進んでいく様子を確認できたときには、とてもうれしく思います。
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◇ 自己の成長を実感したエピソードは? |
キャリアを積むと、自身の係を持ち、チームとして業務を推進していくことになります。採用間もない頃は自身の担当業務をこなすのに精一杯でしたが、チームの舵取り役として、より幅広い業務を、同僚職員と試行錯誤しながらやり遂げたときには、自身の成長を感じることができます。
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◇ 仕事と生活(家庭、趣味、地域活動など)の両立は? |
2017年に第一子、2021年に第二子が誕生しました。育児に伴う休暇・休業の制度等が整備され、職場全体でその活用が強く推奨されていることから、出生のタイミングで数週間の休暇を取得し、また、子供や妻の体調不良時には積極的に休暇を取得しています。
子育ては初めての経験で、共働きであることから不安もありましたが、上司や同僚のサポートを受けながら、安心して仕事と生活を両立することができています。足下の私生活に余裕がなく、不安がある状況では、仕事に専念することが難しくなってしまいますが、警察庁ほか国家公務員の働き方改革は着実に進展しており、安心して働くことができる環境になっていると考えます。
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◇ 今後関わっていきたい政策課題などは? |
業務で担当するサイバー分野をはじめ、社会の情勢が急速に変化する中、警察が直面する政策課題はますます複雑化し、その解決には様々な主体との連携が不可欠となっています。警察庁内はもちろんですが、都道府県警察、他省庁等様々なフィールドでそれぞれの政策課題に関わっていくことで、広い視野と知識を身につけていきたいです。
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(令和4年12月) |