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兼成未央 |
気象庁 大気海洋部予報課航空予報室空域予報班
平成21年採用 Ⅱ種(物理) |
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◇ 学生時代の専攻分野は? |
物性物理
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◇ 志望動機は? |
小さい頃から空を見上げるのが好きだったため、中学生のとき富士山測候所をはじめとする測候所の存在を知ったことが、気象庁を目指したきっかけです。
静岡県に住んでおり、地震や火山にも興味があったことから、気象庁の行っている防災をはじめとする様々な業務について知れば知るほど働いてみたいと考えるようになりました。国の業務に従事する技術系国家公務員であることも魅力のひとつでした。
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◇ 採用後の経歴は? |
採用後から今まで、航空気象に携わってきました。
まずは中部航空地方気象台の観測課で航空気象観測や機器の点検を行いました。その後、静岡空港出張所で観測に加えて解説業務に携わり、東京航空地方気象台では東京国際空港及び周辺空港の予報業務を担当しました。現在は、航空予報室の空域予報班で空域の予報を担当しています。
また、どの官署においても調査研究業務を行い、航空気象に関する理解を深めてきました。
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◇ 日々の仕事の様子は? |
航空予報は、航空機の安全と効率的な運航にかかわる気象情報を提供する業務です。その中でも空域予報班は、日本付近や太平洋上の気象監視を行い、航空機の運航に大きな影響をもたらす気象などの現象に対する注意を喚起するために、シグメット情報(SIGMET)や国内悪天予想図などを発表しています。具体的には、福岡飛行情報区の空域を対象に、強い乱気流や着氷、雷電、台風、火山の噴煙等が観測または予想される場合、その現象の広さ、高度及び移動速度について、予想期間を示して発表しています。
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◇ 専門性はどのように活かされていますか? |
得られたデータをよく見て考える点は実験に通じるところがあります。
気象の専門性は持ち合わせていませんでしたが、採用後の手厚い新人研修をはじめに、様々な研修・e-laning等を数多く受講させていただきました。加えて、先輩方の残した数々の資料や調査研究・事例解析があり、勉強には事欠かかない環境です。
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◇ 仕事の面白み、やり甲斐は? |
航空観測では合羽を着て雷雨の中走り回って観測したり、5人程度の小さな官署では機器の交換や点検にも主体的に携わったりと、それぞれの官署毎の特色や面白みがありました。
特にやりがいがあったのは、東京航空地方気象台での予報業務です。東京国際空港は航空機の離着陸数が多いため、滑走路の運用に関わる気象現象について、より正確な予報を求められていました。管制官とのホットラインを通じて目先の予報を伝えるときは、非常に緊張しましたが、常に実況と予想資料を良く見て考えるため、学ぶことの多く、興味深い業務でした。
また、航空路機上観測にて操縦室に搭乗させていただき、パイロットの方々が実際に気象情報を活用してくださっているのを見たときは感慨深かったです。
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◇ 自己の成長を実感したエピソードは? |
初めて気象観測報を発信したときは、定時報で特筆すべきこともなかったにもかかわらず、何回も確認してドキドキしながらボタンを押したことを覚えています。
現在も、重要な気象情報や警報を発表するときは、正しい情報を提供できているか誤った情報を発信しないか緊張感をもって臨んでいますが、以前よりも冷静に判断できるようになったことが、成長した点だと考えます。
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◇ 仕事と生活(家庭、趣味、地域活動など)の両立は? |
今までに2回、1年半近い育児休暇を取得させて頂き、職場の皆様には大変お世話になりました。ご迷惑をお掛けしてしまうにもかかわらず、様々なお心遣いと暖かい雰囲気で育児休暇へと送り出してくださって嬉しかったです。
家族の協力と理解ある職場のおかげで、出産後も夜間勤務ありの交代制勤務を続けています。平日昼間に自由になる時間が多い勤務であることが子育てを行ううえで大きな利点となっており、こどもの習い事の送り迎えや学校・幼稚園の行事に参加しています。
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◇ 今後関わっていきたい政策課題などは? |
日々の気象現象と密接に関わり、自分で予報を組み立てて発表することができる業務にやりがいを感じています。今後も家族との時間を大切にしつつ、適切な気象情報の発信に努めていきたいです。
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(令和2年10月) |