職 員 紹 介
  
   
小杉亮太   服崎耕司   金子心哉
   
外務省 大臣官房 情報通信課
平成24年採用 Ⅱ種(電気・電子・情報)
  在エジプト大使館 外交官補(アラビア語研修員)(現在は在アメリカ合衆国大使館 外交官補(アラビア語研修員) に所属)   外務省 大臣官房 在外公館課 営繕室
平成20年採用 Ⅱ種(電気)
    平成25年採用 総合職(工学)    
   
(匿名)   (匿名)   (匿名)
   
外務省 大臣官房 在外公館課 営繕室
平成21年採用 建築
 
  外務省 国際情報統括官組織 課長補佐
平成12年採用 Ⅱ種
  外務省 国際情報統括官組織 技官
令和3年採用 一般職
       
(匿名)        
       
在アメリカ合衆国日本国大使館・三等理事官
令和元年採用 一般職(電気・電子・情報)
 
       
  
 

小杉亮太
 
外務省 大臣官房 情報通信課
 
平成24年採用 Ⅱ種(電気・電子・情報)
 
◇ 学生時代の専攻分野は?
電気電子工学
 
◇ 志望動機は?
 外交の最前線である在外公館で勤務できることに大きな魅力を感じました。大使館、総領事館、代表部等の在外公館での業務はどれも責任重大 に感じましたが、自分自身の見識を広げられる貴重な経験になると思い、入省することを決めました。
◇ 採用後の経歴は?
 入省後約3年半は本省で勤務し、外交通信システムの運用保守業務、情報通信分野に関する企画調整業務を主に担当しました。その他にも、政府専用機運行に関する業務、サミット等大型ロジでの外交通信システム構築・運用業務にも従事しました。
 平成27年から米国で1年間の語学研修を受け、その後国際連合日本政府代表部で約3年半勤務し、各種システムの運用管理、情報セキュリティ対策等を担当しました。また、在勤中には国際暗号学会に2回参加しました。
 令和2年から在大韓民国日本国大使館、令和4年に本省に戻り、情報通信課で勤務しています。
  
◇ 日々の仕事の様子は?
 大使館内の各種システムが正常に稼働するよう、サーバーのメンテナンス、パソコンやプリンターの設定作業、館内からの各種問合せに対応しています。現地大使館だけでの対応することが困難な障害には、本省又は現地業者と連携しつつ、問題解決に取り組みます。 
 
◇ 自己の成長を実感したエピソードは? 
  海外に長期間滞在していると、様々な困難に直面します。特に語学研修中はホームステイや学校の手続きなど、慣れない国・言語であっても基本的には全て一人で対応する必要があります。当初は困り果てて途方に暮れることも多かったですが、最終的には大きな負担に感じることもなく様々な問題に対応できるようになり、語学の面でも精神的な面でも成長できたと感じました。 
 
◇ 仕事と生活(家庭、趣味、地域活動など)の両立は?
 令和元年、子供が生まれました。海外での出産に不安があったため、妻と相談し日本で出産することに決めました。上司や職場環境に恵まれ、その年は何度か日本に帰国し、運良く出産にも立ち会うことができました。その後も育児の関係で何度か有給休暇を取得しましたが、職場の手厚いサポートのおかげで、仕事と育児を両立することができています。
 子供が生まれてからは、効率性を意識し、なるべく残業をしないよう心掛けていますので、仕事とプライベートのメリハリが付き、充実した日々を過ごしています。
 
 (令和4年12月)

服崎耕司
 
在エジプト大使館 外交官補(アラビア語研修員)(現在は在アメリカ合衆国大使館 外交官補(アラビア語研修員)に所属)
 
平成25年採用 総合職(工学)
 
◇ 学生時代の専攻分野は?
環境・エネルギー工学
 
◇ 志望動機は?
 もともと気候変動やエネルギー資源の問題に興味を持ち、そういった地球規模の課題を解決することを目指して、大学では工学を専攻。就職を考えた時、日本・世界の将来世代の安全と幸福に資することを目指し、世界に介在する多種多様な課題に挑み続けたいという思いで、外務省で働くことを選んだ。
  
◇ 採用後の経歴は?
 本省での中東第一課勤務時代には、エジプト政変、大量の難民流出や化学兵器使用問題を含めたシリア危機への対応、ISILによる邦人人質事件など多くの緊急事態対応を経験。また、二度の総理中東訪問にも同行し、政府専用機で中東を駆け巡るという貴重な体験。二年の本省勤務を経て、現在はエジプトのカイロにて、専門言語であるアラビア語の語学研修中。
  
◇ 日々の仕事の様子は?
 本省時代は課全体のタスクを把握しつつ、他課との窓口となって業務の橋渡しをする役割を主に担っていた。また、イスラエル・パレスチナ合同青年招聘や総理主催イフタール開催など、自分が主担当として取り組んだ業務もあった。
 エジプトでは語学研修に専念しており、毎日大学に通ってアラビア語能力の向上に努めている。将来的には、外交業務上のコミュニケーションや情報収集の他、首脳や大臣、大使間の通訳を務めることを目指している。
  
 
◇ 専門性はどのように活かされていますか?
 今のところ専門性を直接発揮できる部署(気候変動、原子力・核不拡散等)に配属されたことはないが、工学分野で身につけた体系的なものの考え方と知的体力・根性は、どんな分野で働く際も活きていると感じる。 
 
◇ 仕事の面白み、やり甲斐は?
 目まぐるしく移り変わっていく国際社会や日本国内の関心・懸案事項に対応していくスピード感と、二国間・多国間の外交関係において「長い目で見て何が大事か」を常に考え政策に反映していく長期的かつグローバルな視野との両方が必要とされ、そのバランスを取っていく感覚は他で味わえない醍醐味だと思う。 
 
◇ 自己の成長を実感したエピソードは? 
 度々起こる突発的な事態に対して、今自分が何をすべきか、どのような優先順位で取り組むべきかを瞬時に判断し、他の課員と連携して的確に対応することができるようになった。 
 
◇ 仕事と生活(家庭、趣味、地域活動など)の両立は?
 ハイレベルな語学研修に加え、サッカー・ソフトボールなどのスポーツやバンド活動も毎週楽しむ充実したカイロ・ライフ。イスラエル・パレスチナでのサマーコース参加や、イラン・トルコへの個人旅行も貴重な体験。
 
◇ 今後関わっていきたい政策課題などは?
 環境・エネルギーとアラビア語・中東という自分の二つの専門性を軸としつつも、総合職としてどんな外交分野でも一人前の外交官としてマネジメントし、局課や大使館といったグループをリードしていける存在になりたい。
 
 (平成28年11月)
 
金子心哉
 
外務省 大臣官房 在外公館課 営繕室
 
平成20年採用 Ⅱ種(電気)
 
◇ 学生時代の専攻分野は?
電気電子工学
 
◇ 志望動機は?
 海外で働くことを希望し、民間企業も含めて就職活動をしていましたが、外務省にて理系の採用があることを知り、世界中のどの国にも赴任できるチャンスがあることに加えて、国のために貢献できる仕事に興味を持ちました。特に海外での1年間の語学研修は大変魅力的でした。 
  
◇ 採用後の経歴は?
 入省直後の本省での在外公館課営繕室勤務では、各国の大使館施設に係る修繕や相談の対応、新大使館施設の設計業務、また、横浜で行われたアフリカ開発会議(TICAD)の応援など、様々なことを経験しました。
 その後、アメリカ合衆国ワシントンDCの語学学校及びバージニア州のコミュニティーカレッジ等にて1年間の英語の語学研修期間を頂きました。
海外勤務では、主に新しい大使館施設を建設するプロジェクト及び改修工事の業務に加えて、首相や外務大臣の海外出張時のロジ業務等を経験することができました。
平成20年度:本省在外公館課営繕室にて勤務
平成22年度:1年間アメリカで語学研修
平成23年度:在米国大使館にて勤務
平成24年度:在イラン大使館にて新営プロジェクト担当
平成27年度:在カタール大使館にて新営プロジェクト担当
平成30年度:在タイ大使館にて大規模改修工事を担当
平成31年度:現職。在外公館課営繕室にて勤務
 
◇ 日々の仕事の様子は?
 現在、コロナ禍のため、海外へ出張することができない代わりに、WEB会議を用いて、現地大使館や設計業者と新しい大使館施設の設計図面等について打合せを行っています。
 
◇ 専門性はどのように活かされていますか?
 工学部で学んだ知識が、直接活かせる機会は少ないと思いますが、大学時代の研究室において、皆と協力して一つのテーマを追求していくプロセスは、建築現場において多くの人と協働して良い建物を完成させることと似通っています。 
◇ 仕事の面白み、やり甲斐は?
 大使館の監督職員として施工図面のチェック及び現場の検査だけでなく、建築許可証の申請、電気・水道等のインフラ引き込みに係る申請、資機材輸入時の免税交渉など、外国当局との交渉も重要な仕事になります。現地業者のエンジニアや作業員と共に打合せや検査を行う一方で、時には相手国の政府高官と会うこともあり、幅の広い層と様々な人種・業種・組織を相手にする仕事にやりがいと面白みを感じます。
◇ 自己の成長を実感したエピソードは? 
 文化やバックグラウンドの全く異なる人々と仕事をすることは、当然苦労も多いですが、それを乗り越えた時は、自分の成長を感じます。
 
◇ 仕事と生活(家庭、趣味、地域活動など)の両立は?
 趣味でドラムを叩くのですが、在外赴任地においてバンド仲間ができたこと、地元のバーで演奏したこと等、忘れられない体験ができました。
 
◇ 今後関わっていきたい政策課題などは?
 今後とも色んな国のプロジェクトに携わり、経験と知見を増やし自分を成長させていきたいという希望を持っています。どの国においても、その国ならでは特殊事情があり、日々新しい発見と刺激的な在外生活を送ることができるのも、この仕事の醍醐味です。
 
  (令和2年12月)

 
  
(匿名)
 
外務省 大臣官房 在外公館課 営繕室
 
平成21年採用 建築
 
◇ 学生時代の専攻分野は?
建築
 
◇ 志望動機は?
 就職活動をしている中で、外務省に施設整備を行っている部署があることを知り、自分の専門性を活かしながら、海外で日本の顔となる在外公館施設(日本国大使館等)の一生(土地取得、設計、工事、維持管理、改修、解体、売却等)にかかわる仕事ができることに大変魅力を感じました。
  
◇ 採用後の経歴は?
 採用後2年間は、本省在外公館課営繕室にて、在外公館施設の修繕計画の内容確認や技術者派遣業務等に従事しました。営繕とは、官庁用語で施設を新しく建設したり、修繕したりする意味です。3年目に語学研修で1年間イギリスで英語を学びました。4~5年目は、在英国日本国大使館(イギリス・ロンドン)に勤務し、老朽化していた事務所の大規模改修工事や宿舎等の国有施設の修繕工事に携わりました。その後4年間本省で企画や採用に関する業務に従事し、並行して海外の建設工事の工事監理などのプロジェクトにも携わりました。また、国土交通大学校や財務省等の研修にも参加させていただきました。直近では、人事交流により防衛省(沖縄防衛局)に出向し、米軍提供施設建設工事に関する米軍との調整業務を担当していました。
 
◇ 日々の仕事の様子は?
 中東・アフリカ地域の在外公館施設の営繕関係相談窓口を務めていたときには、例えば、事務所の空調設備が老朽化により十分な温度設定ができない施設については、設計業務を発注し、設計業者を現状調査のため現地へ派遣し、大使館事務所を運営させながらの工事計画を策定するための打ち合わせを行っていました。また、職員増加に伴い狭隘で使い勝手が不便な事務所の増改修設計業務の調整にも携わりました。
 現在は、防衛省出向から外務省(営繕室)に戻り、日本政府が世界中に所有する在外公館施設のうち国有財産である物件の管理や財務省理財局とのやり取りを担当しています。
 
◇ 専門性はどのように活かされていますか?
 設計業務や工事の受注者と話す際に、学生時代に学んだ知識が活かされると感じます。しかしながら、実際は奥が深いので、学生時代に学んだ知識をベースに仕事で使う知識をどんどん学んで在外公館施設整備の専門性を高めていくことになります。
◇ 仕事の面白み、やり甲斐は?
 日本と法令や慣習の異なる国で建設工事を行うことは、お互いのルールを理解し信頼関係を築くまでに時間はかかりますが、その国の業者と協力しながら工事の完成を迎えた時は感無量の気持ちでいっぱいでした。
 在外公館施設の歴史は、その国での外交の歴史です。ガイドブックにも載りますし、日本の顔となり、邦人保護の最後の砦となり、日本と世界とを繋ぐ日本外交の架け橋の舞台となる施設整備に従事できることに大変やりがいを感じます。
 
◇ 自己の成長を実感したエピソードは? 
 ロンドンに勤務し始めたころは、日本と文化も商慣習も異なる国で想定外のトラブルに遭遇しバタバタしていましたが、慣れてくるとそういったトラブルの対処も冷静になって焦らず自分で考えて対応できるようになりました。結局は、経験がものをいうのだと実感しました。
 
◇ 仕事と生活(家庭、趣味、地域活動など)の両立は?
 平日はあまり体を動かす機会が少ないので、休日は、趣味の合気道やヨガで汗を流してリフレッシュしています。
 
◇ 今後関わっていきたい政策課題などは?
 在外公館施設の専門家としての経験を積み、老朽化の進んでいる在外公館施設を時代のニーズに合った施設へ計画的に改善していきたいです。
  (令和2年12月)

 
  
(匿名)
 
外務省 国際情報統括官組織 課長補佐
 
平成12年採用 Ⅱ種
 
◇ 学生時代の専攻分野は?
電気電子工学
 
◇ 志望動機は?
 新しい分野を立ち上げていく時の採用で、一から関われることまた仕事内容が情報収集・分析という事で学生の頃の研究姿勢に非常に似ていたためやりがいがあり面白さを感じたため。
  
◇ 採用後の経歴は?
 入省後は衛星画像の判読・分析業務ということで、まずは情報収集・分析の基礎及び衛星画像の判読・分析の基礎を学びました。当時は衛星画像自体珍しく省内のブリーフィングへの活用をめざし、政策立案の際にどのような情報が必要なのか模索していました。年々衛星も新しいものが打ち上がり新しい活用の仕方など我々の活動に役立てるよう国際的なフォーラムなどに出席しました。
 
◇ 日々の仕事の様子は?
 日々得られた情報を元にそこから何が言えるのか、信頼性はどれだけあるのか注意しながら、政策立案をされる部署に対し、必要な情報・分析を提供するようつとめています。
 
◇ 専門性はどのように活かされていますか?
 大学で研究していた分野とはまったく違いますが、情報収集・分析・報告といったサイクル、また答えに終わりがない事は同じことであり、仕事に対する姿勢に対し活かされていると思います。
 
◇ 仕事の面白み、やり甲斐は?
 業務を行うにあたり軍事・文化・建築・地理など必要な知識の範囲がひろい所にやり甲斐を感じる。
 
◇ 自己の成長を実感したエピソードは? 
 地域の専門家の方にブリーフを行った際に対象地域に実際に行って見てきたようだと感想を言われ深く分析できたと思えたとき。
 
◇ 仕事と生活(家庭、趣味、地域活動など)の両立は?
 思い込みが一番の業務の妨げになるので、休日は業務のことはいったん忘れるように映画を見たり、食べ歩きしたりのんびりしてます。
 
  (令和4年12月)

 
  
(匿名)
 
外務省 国際情報統括官組織 技官
 
令和3年採用 一般職
 
◇ 学生時代の専攻分野は?
物性物理、宇宙物理、素粒子物理
 
◇ 志望動機は?
 国際情勢には以前から関心がありましたが、私の専攻・適正とは全く相容れない世界だと思っていました。外務省が理系求人をしているとホームページで知ったとき大変驚いたと同時に、この世界では理系人材は替えが利かない希少な力として活躍できるのではないかと思い、志望しました。
  
◇ 採用後の経歴は?
 採用直後は総務業務を通じ、外務省の業務一般について身に付けました。その後、徐々に画像分析業務の比重を増やし、現在は専属です。
 
◇ 日々の仕事の様子は?
 画像情報の入手→分析→幹部・担当官に報告、という流れが業務の基本です。分析や報告の質の向上、情報ニーズの調査のため、同じ局内の分析員との情報交換、公電のチェック等も欠かせません。テレワーク時は分析・報告に資する公開情報の収集・検討が中心になります。
 
◇ 専門性はどのように活かされていますか?
 主観を排除すること、ありうる可能性を比較検討すること、評価に必要な情報を収集することなど、画像分析の業務プロセスは科学研究のそれと極めて似ています。専攻分野如何によらず、科学に真摯に向かってきた人には適性があると思います。
 
◇ 仕事の面白み、やり甲斐は?
 担当地域の専門家として、省内幹部へ直接プレゼンをするというのが特徴です(ちなみに私は入省2年目にして幹部へ報告を行いました)。その責任感と緊張たるや並々ならぬものですが、報告後にポジティブなフィードバックを頂いた時の、責任感の重荷が達成感に変わる感覚は何にも代えがたいものでした。
 
◇ 仕事と生活(家庭、趣味、地域活動など)の両立は?
 土日・祝祭日が安定して確保できオフの計画が立てやすいです。テレワークも活用してオンオフの切り替えがしやすいです。
 
  (令和4年12月)

 
  
(匿名)
 
在アメリカ合衆国日本国大使館・三等理事官
 
令和元年採用 一般職(電気・電子・情報)
 
◇ 学生時代の専攻分野は?
電気工学
 
◇ 志望動機は?
 技術系公務員であり、かつ自分には縁遠いと考えていた海外勤務をする職業とはどのようなものなのかと興味を持ちました。そして、具体的な業務内容を知るうちに「外交の舞台を技術的な立場から支える」仕事に強い関心を抱き志望しました。語学は不得手でしたが、入省から2~3年間は勤務時間内で英語等の語学研修が、その後も海外での語学研修が用意されていたので、外国語への苦手意識だけで好奇心を抑えるのはもったいないと思えたことも採用試験に応募したきっかけの一つです。
  
◇ 採用後の経歴は?
 入省から2年間、本省にて世界中に所在する在外公館施設の維持管理に関する業務を担当しました。施設の修繕にまつわる現地公館からの相談対応や、予算執行のための事務・調整は担当した業務のうちの一部です。また、在外公館施設の設計から工事までの一連の建設プロジェクトにも、現地公館、設計・施工業者等との間に立って各種調整をする役割で携わりました。他にも、「即位礼正殿の儀」に応援要員として関わり、外務省の一員として普段とは全く異なる業務を経験することができました。
 入省3年目には英国での語学研修の機会をいただき、現地大学院の電気工学修士課程に1年ほど身を置きました。この研修を通じて語学力の向上や専門知識を深めることはもちろん、実際に外国で英語を駆使し問題解決に取り組むという在外勤務には必要不可欠な基本姿勢が鍛えられたと感じています。それと同時に、一時的に組織・仕事から離れ、異国の風習や日本との考え方の違いを一個人として学べたことは、自分の視野を広げる上で有意義なものだったと思っています。最終的に修士号の学位を取得できたことは達成感にもつながりました。
 英国での語学研修後は、在アメリカ合衆国日本国大使館の営繕担当として勤務しています。本省勤務の時にも関わっていた在外公館の営繕業務ではありますが、実際に自分がその現場に立つことで初めて見えてくる部分が多くあり、先輩技官の方々から日々様々なことを教わる毎日です。
 
◇ 日々の仕事の様子は?
 本省で勤務していた時には、各在外公館から寄せられる営繕関係の照会や相談に対応したり、在外公館施設の建設プロジェクトでは本省と現地関係者とのオンライン会議に参加したりしていました。
 在外勤務では、大使館施設の不具合を解消するための工事の企画・発注、突発的に生じるトラブルの対応や定期的な点検が主な担当業務です。 設備トラブルや建物の老朽化に対する修繕工事を企画する場合、関係者と現状を確認し、工事の内容やその範囲等を踏まえた実施の方針を工事業者と協議しながら検討します。大使館は重要な日本外交の拠点であり、その機能維持のために各種外交日程・行事を考慮しつつ施工方法や工事日程を調整することも重要な任務の一つです。
 
◇ 専門性はどのように活かされていますか?
 電気的な基礎知識は建築設備の仕組み、故障の原因を把握する上で役に立ちます。しかしより仕事に活きてくるのは学生時代に身につけた問題解決に向けた論理的な思考をする習慣だと思います。技術面はもとより現地の慣習や法令等も合わせた合理的な問題解決への道のりは、実験した結果(手元にある情報)を元に考察(原因の特定)し、結論を出す(解決策の実行)プロセスに似ていると感じます。
 
◇ 仕事の面白み、やり甲斐は?
 「外国における日本を代表する施設」である在外公館施設を維持管理したり工事したりする際には、適切な管理・工事方法を選定することもさることながら、発注者側である我々と受注者側である業者側の双方の認識や理念の違いにより生じる諸問題に対する妥協点を探ることは仕事を進める上でとても重要なポイントです。業務を発注する我々は日本政府を代表しており、受注する業者は基本的に現地に根差していることを背景に、例えば日本の法令に関わってくる支払時期などの契約内容を調整・協議する場面で時折円滑に事が運ばない場面があります。他にも、現地の法令や風土、工事の仕方や商慣習、その土地の業者の得意不得意等、日本国内の標準的な建物の維持管理・工事とは異なる要素 も考慮に入れる必要があります。現地の仕様の話をすると、リビングルームに設置されているコンセントは日本では100Vですが英国では230Vと高く、英国の電化製品のプラグは主に感電防止のためアース線が設けられており、また日本の製品と比べて大きいという物理的な違いがあります。他にも、アメリカの一軒家は広く大きいため、空調はパッケージエアコンではなくセントラル空調という場合があり、その場合には空調交換工事が日本の一軒家のそれと比べて大掛かりなものになってしまいます。こういった「日本との違い」を知ることは一つの面白みですし、「日本の普通」が通用しない環境であっても問題を克服し、また、施設を通じていかにして日本を表現するかを考えることはこの仕事の奥深さだと感じます。小規模な修繕工事であっても、その出来映えに日本国大使館としての特色が出せるのではないかと考えたりもします。 
 
◇ 自己の成長を実感したエピソードは? 
 施設トラブルが生じた場合、原因さえ特定できればすぐに改善対応ができるのですが、その原因究明が困難で時間を要する場合があります。それを専門業者に頼ることなく、自分の判断で解決できた時には、これまで積み上げてきた経験や知識が身に付いていることを実感します。一例を挙げると、工事のために業者が一時停止させたポンプが正常に運転しなくなり、工事業者が電気専門でなかったこともあり、復旧できずに困っていたところ、これまで身につけた電気の専門知識を活かして自ら配線図を確認しつつ、結線の現状を分析し、トラブルの原因を特定して早急に解決できたことがありました。自分で見た方が早く解決できるだろうと見込んだ対応が上手くいった場面でした。
 自分では判断できない施設トラブルに対しても、頼りになる先輩方に指示や助言を仰ぎ適切に対処できた際には、新たな知識や考え方を得られ、自己の成長に資する機会となったと感じます。
 
◇ 仕事と生活(家庭、趣味、地域活動など)の両立は?
 多忙な時期もありますが、その日の仕事をどこまで進めて自分の時間をどれだけ確保するかという裁量は個人に委ねられている部分があると感じます。休暇についても積極的に取ることが推奨されているので、休みにくさを感じたことはありません。こうしたプライベートの時間は自己研鑽のための資格の勉強や、リフレッシュ目的の旅行に使っています。
 
◇ 今後関わっていきたい政策課題などは?
 在外公館施設の新築工事に現地担当として携わりたいです。新築工事は普段の業務で扱っている修繕工事等と比べて施工の規模やその予算額が格段に大きく、それに比例するように国内外の関係者も多くなります。また、設計から竣工までに長い期間を要する一大プロジェクトとなるため、その現場の最前線に立つことは非常に責任が重く、決して簡単な業務ではありません。その一方で、長くその地に残る、日本を代表する建築物の建設に携われる機会は他でもなく営繕技官の特権だと思うので、是非挑戦していきたいです。
 
  (令和5年1月)
 
  
  
 
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