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はじめに


人事院は、公務の民主的かつ能率的な運営を国民に対し保障するという国家公務員法の基本理念の下、人事行政の公正の確保と職員の利益の保護等その使命の達成に努め、人事行政の面から我が国の行政の一翼を担ってきており、人事院勧告制度をはじめとする公務員制度は、行政運営の基盤として重要な機能を果たしてきた。

現在、国家公務員の給与は、平成24年2月に成立した「給与改定・臨時特例法」により、「我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、一層の歳出削減が不可欠」との理由で、平成26年3月31日までの間、減額支給措置が講じられているという異例の状況の下にある。人事院としては、このような状況の下、国家公務員法に定められた責務を果たすべく国家公務員の給与改定について勧告を行うとともに、国家公務員制度改革に関しても、特に重要と考える論点を提示するなど必要な意見を表明してきた。平成24年の人事院勧告については、平成25年1月に完全実施の閣議決定が行われ、同年3月、法律案が国会に提出されている。

また、国家公務員制度改革については、平成23年6月、幹部人事の一元管理、非現業国家公務員への協約締結権の付与等を内容とする制度改革関連4法案が国会に提出されていたところ、平成24年11月、衆議院の解散により廃案となった。人事院としては、引き続き公務員制度についての論点整理や情報提供を通じて、人事行政の専門機関としての責務を適切に果たしたいと考えている。

本報告書の構成は、2編からなり、第1編は「人事行政」全般について、第2編は「国家公務員倫理審査会の業務」の状況について記述している。このうち第1編は3部からなり、第1部は平成24年度における人事行政の主な動きについて記述している。次いで第2部では、特別テーマとして「幹部職員等の育成と選抜」と題し、管理職員・幹部職員の育成と選抜のシステムについて現状と課題を整理し、見直しの方策等を提起した。第3部では、平成24年度の人事院の業務状況について資料的要素も含め網羅した。

本報告書により、人事行政及び公務員に対する理解が一層深まることを願うものである。

なお、平成24年度に実施した総合職試験(大卒程度試験)において、本来合格とすべき者を不合格として発表するという重大な誤りがあった。人事院としては、この事態を極めて厳しく受け止め、二度と繰り返されることのないよう細心の注意を払い、国家公務員採用試験への信頼回復に努めていく所存である。


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