記者会見

令和8年8月7日 人事院勧告・報告における川本総裁記者会見の概要

【冒頭発言】

 川本でございます。本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 本日、人事院は、国会と内閣に対しまして、
 ・公務員人事管理に関する報告
 ・給与改定に関する勧告・報告
 ・職員の勤務時間及び休暇の改定に関する勧告
 ・国家公務員災害補償法の改正についての意見の申出
 を行いました。
 
 まず、給与改定についてです。
 民間企業の賃上げの状況等を反映して、本年も高水準のベースアップを勧告しています。
 全体では平均15,056円、3.51%の引上げです。
 業務遂行の中心となる中堅層以上の職員には昨年を上回る引上げとし、引き続き初任給の引上げも行います。
 特別給、いわゆるボーナスは0.05月分引き上げ、年間4.70月分とします。
 
 人事管理上の大きな課題である転勤への対応にも取り組みます。
 国家公務員は全国津々浦々での行政サービス維持のため、転勤の機会も多いのですが、転勤に伴う経済的負担を軽減するため、新たに「転居手当」を設けます。
 この手当は、単身赴任者であるか否かにかかわらず、転居を伴う転勤をする職員全員を対象とします。
 「転居手当」の新設により、例えば、東京から大阪に転勤した場合、年間では、家族での赴任や独身者であれば約22万円、単身赴任者であれば約85万円、この額が3年間支給されます。
 また、地方から地方へと転勤する職員のインセンティブ向上のため、広域異動手当の支給割合を引き上げます。
 
 今、申し上げた給与は、人材確保のための重要な要素です。
 ただし、給与だけでなく、働き方、人材育成、採用等を一体として見直す必要があります。
 本日は、本年の公務員人事管理報告で触れている、人事院が実現する「これから」の公務についてもお話ししたいと思います。
 
 我が国をとりまく環境は厳しいものがありますが、課題を解決し、未来を切り開くために、優秀な人材を確保し、職員が能力を十分に発揮できる環境を実現することが急務です。
 これまで人事院は、採用試験改革、給与制度の見直し、勤務環境の改善などに取り組んできました。
 その成果は少しずつ表れていると思います。
 総合職試験申込者は前年より約10%増えています。
 また、今年度の総合職試験の新規採用職員アンケートで「周囲の優秀な学生の進路はどこですか」と聞いてみると、この10年で初めて、「国家公務員」が一番多くなりました。
 ただ、ここで歩みを緩めるわけにはいきません。
 人材マネジメントの改革は道半ばです。
 人事院は、職員の挑戦を支え、その挑戦に報いる人材マネジメントの実現に向けて、人事制度改革を加速していきます。
 
 具体的には、実現したい「これから」の公務として、4つの柱を掲げました。
 1つ目が、「実力本位で活躍できる公務」、
 2つ目が、「働きやすさと成長が両立する公務」、
 3つ目が、「誰もが挑戦できる開かれた公務」、
 4つ目が、「高い使命感とやりがいを持って働ける公務」 です。
 
 第一に、「実力本位で活躍できる公務」です。
 外部労働市場でも高い競争力を有する人材の確保のため、本府省幹部職員等を対象とした人事制度見直しが急務です。
 本府省幹部職員等について、
 採用年次にとらわれない実力本位の人事制度を構築することとし、本年は制度の骨格を示しました。
 具体的には、民間企業との人材獲得競争で見劣りしない給与水準を確保することを目指します。
 それには、能力・実績に応じた人事運用を徹底する必要があります。
 本府省幹部職員等のポストが、若年層を含め他の職員の目標となることも意識して制度設計していきます。
 
 第二に、「働きやすさと成長が両立する公務」です。
 転勤への対応として、転居を伴う転勤をする職員全員に対する手当を新設することは申し上げた通りです。
 また、長時間勤務が生じている職場への支援を充実させ、月100時間などの上限を超える超過勤務の更なる縮減を進めます。
 あわせて、カスタマー・ハラスメント対策を推進します。
 個人の事情に応じて柔軟に働けるよう、理由を問わない年7日の無給休暇を新設します。
 そして、時代にあった国家公務員災害補償制度となるよう、職員と死別した配偶者が夫である場合にのみ課せられた、受給要件を撤廃し、男女で差が出ないようにします。
 さらに、国家公務員に求められるスキル、すなわち公務で獲得できるスキルを示した「スキル一覧」を活用して、職員が学び続け、成長を実感できる環境を整えます。
 
 第三に、「誰もが挑戦できる開かれた公務」です。
 採用試験の申込者数の増加に気を緩めず、採用プロセスをアップデートしていきます。
 まず、CBT方式、つまりオンライン試験を段階的に導入します。
 令和9年度には経験者採用試験に、令和10年秋には総合職試験教養区分に、令和11年春には総合職試験全体に導入します。
 これにより、海外の大学等の学生も含め受験機会を拡大し、日程にも自由度を持たせ、受験者の利便性向上を図ります。
 また、人手不足が深刻な技術系人材の採用ルートを拡充します。
 さらに、いったん公務を離れたアルムナイ人材や、民間の専門人材を円滑に採用できるよう、人材プールを整備し、府省とのマッチングを推進します。
 
 第四に、「高い使命感とやりがいを持って働ける公務」です。
 本年3月には、公務のブランドメッセージ「国のミライをつくる、唯一無二の挑戦がある」が策定されました。
 このメッセージを公務の中・外、双方への魅力発信の柱に据えます。
 また、高校生、大学1、2年生、技術系人材に対する情報発信を強化し、公務を進路としてイメージできる機会を拡充します。
 また、国家公務員行動規範の更なる浸透に取り組み、誇りとやりがいを持って働ける文化を育んでいきます。
 
 なお、本日、報告及び勧告を高市総理大臣にお渡した際に、
 総理から、
 ・今回の人事院勧告は、物価上昇を上回る賃金上昇を我が国に定着させるという、高市内閣の進める賃上げ環境整備と軌を一にするもの。
 ・国家公務員が、「国益」を支える役割を果たせるよう、「人材確保」や「処遇改善」に資するものであると認識している。
 といったお言葉をいただき、
 また、
 ・ブランドメッセージ「国のミライをつくる、唯一無二の挑戦がある」
 についてもご評価いただきました。
 このようなご期待にしっかり応えるべく、スピード感をもって対応してまいります。
 
 最後に、人事院のミッションは、「公務員を元気に 国民を幸せに」です。
 このミッションを胸に、人事院は、国家公務員の皆さんが使命感とやりがいを持ち、挑戦を続けることができる公務の実現に全力で取り組みます。
 このことが、国民に対する行政サービスの質を高めることにつながると信じています。
 私からは以上です。
 

令和8年6月17日 令和7年度年次報告書に関する川本総裁記者会見

【冒頭発言】

 川本でございます。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。
 本日、令和7年度の人事院の業務に関する年次報告、いわゆる「公務員白書」を国会と内閣に提出しました。
 今回の白書では、令和7年度の人事院業務を振り返るとともに、特別テーマとして「転勤」を取り上げ、これからの転勤の在り方と施策を提案しています。

 まず、令和7年度の業務を振り返ります。
 激しい人材獲得競争の中で、公務が「選ばれる」職場となるよう取組を進めてきました。具体的には、公務のブランディング、職務・職責をより重視した給与、月100時間を超える超過勤務の最小化、採用手法の更なる見直しといった、様々な施策を展開してまいりました。
 
 3月には、公務のブランドメッセージとして、「国のミライをつくる、唯一無二の挑戦がある」を策定し、公表しました。このブランドメッセージは、社会全体に公務の本来の有り様を伝えるためのもので、様々な府省の職員が公務の仕事の価値や魅力について議論を重ね、生まれたものです。このメッセージを活用しながら、公務の仕事の価値を発信していき、少しでもポジティブな面が伝わると良いなあ、と思います。

 この春実施の総合職試験、一般職大卒程度試験の申込者数は、いずれも増加しており、明るい兆しが見られました。
 一方で、優秀な人材の確保・定着に向けては、なお一層の対応が必要と考えております。職員が挑戦し続けられる公務職場であるために、現在の施策を加速するとともに、新たな取組に着手し、人事院は引き続き改革に取り組んでまいります。
 この夏の人事院勧告・報告にも、ぜひ注目いただければ幸いです。

 次に、本年の特別テーマである「転勤」についてご説明いたします。
 転勤は、職員の生活と人生設計に直結するものです。これまで長い間、転勤は職員に受け入れられてきたわけですが、働き方やライフスタイルが多様化し、官民を問わず、転勤を避けたいと考える人が増えているとの指摘があります。転勤は、人材確保の観点から議論すべき重要な課題となっています。
 
 今回、人事院は、職員アンケート、各府省、民間企業、諸外国へのヒアリングを通じて、実態を把握しました。
 職員アンケートの結果、5割程度の職員が転勤に否定的な意識を持っていることがわかりました。転勤に「できれば行きたくない」とする理由としては、「金銭的負担」が最も多い結果となりました。属性別に見ると、単身者や、育児や介護を行っていない場合でも、半分の職員が転勤に否定的な意識を持っています。
 一方で、配偶者がいて就業している場合でも、4割を超える職員が転勤に肯定的な意識を持っていることも明らかになりました。また20代の方が、他の世代に比べて転勤に肯定的な意識を持っていることもわかりました。
 
 こうした結果から、各府省では、実際には転勤が可能な者や希望する者を十分に把握できていない可能性があります。
 また、「転勤は大変」というイメージが先行している場合もあります。職員自身にとっても、転勤を自らのキャリアの中でどのように位置づけるのかを考えることが必要であり、そのための情報提供が十分かという課題もあります。
 
 今後は、各府省において人材マネジメント全体を見直す中で、個々の職員の意向や事情を踏まえつつ、転勤を行う目的や必要性について、改めて検討することが重要ではないか、という示唆が得られました。
 
 その上で、今後の施策としては、大きく2点考えられます。
 1点目として、転勤についての情報提供とコミュニケーションを増やすことです。各府省が、転勤の目的や必要性を職員に丁寧に説明し、可能な限り個々の職員の事情や考え、転勤できるとすればその条件などに配慮していくことが考えられます。それと同時に、職員自身が、転勤をキャリアの中でどう位置づけるのか、深く考えられるような仕組みが重要です。
 2点目は、転勤に係る負担を軽減することです。負担は金銭的なもの、時間的なもの、いろいろですが、例えば、引っ越し準備に必要な時間の確保や宿舎不足への対応、少なくとも経済的にマイナスにならないこと、さらに、新たな金銭的インセンティブを創設することが考えられます。
 特に、金銭的インセンティブについては、人事院として、今後の勧告・報告で具体的な対応をお示しできるよう、検討を進めてまいります。
 各府省においても、今回の特集を、転勤の意義・必要性について考える一助としていただければと思います。

 最後になりますが、公務のブランドメッセージにもあるように、公務の仕事には、「国のミライをつくる、唯一無二の挑戦がある」と思います。
 職員の皆さんが、やりがいを実感しながら挑戦できる環境を作り、職員の皆さんの挑戦にしっかりと報いるため、人事院として全力で取り組んでまいります。
 改めて、この夏の人事院勧告・報告にも注目いただければと思います。
 
 私からは以上です。
 

過去の記者会見

 過去の記者会見はこちら
 
Back to top