記者会見

令和7年8月7日 人事院勧告・報告における川本総裁記者会見の概要

【冒頭発言】

 川本でございます。本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 本日、人事院は、国会と内閣に対しまして、公務員人事管理に関する報告を行うとともに、給与改定に関する勧告を行いました。

 まず、給与改定についてですが、民間企業の賃上げの状況等を反映して、全体では平均15,014円、3.62%の引上げと、高水準のベースアップを勧告しています。若年層に重点を置きつつも、中堅層以上の職員には、昨年を大幅に上回る引上げとしています。
 これにより、本府省採用の総合職大卒の初任給は30万円を超えます。
 また、特別給、いわゆるボーナスは0.05月分引き上げ、年間4.65月分とします。
 本年の給与改定が、優秀な人材の確保と職員の更なるモチベーション向上につながり、一人一人の国家公務員が、より一層高いパフォーマンスを発揮することを期待いたします。
 本日は、本年の人事院勧告・報告に寄せて、人事院が実現する「これから」の公務についてお話させていただきます。
 
 国家公務員は、国民の安全・安心な暮らしを守り、国を支えるという、大変に重要で、やりがいに満ちた、唯一無二の仕事をしています。国内外の情勢が激しく変化する中、世界に誇れる社会を作り、未来につなげていくためには、それを担う公務組織が、多様で優秀な人材が働きたいと思えるような、「選ばれる場所」である必要があります。
 人事院はこれまで、採用試験の大幅な見直し、柔軟な働き方の推進、給与制度のアップデートをはじめ、人事制度の様々な面から改革を行い、公務職場の魅力を高める取組を進めてまいりました。
 その成果として、総合職試験教養区分や一般職試験の申込者数が増加するなど、明るい兆しも見られます。
激しい人材獲得競争が今後も続く中で、こうした成果を継続し、さらに高めていくため、改革を新たなフェーズに進める必要があります。
 人事院は、国家公務員一人一人の成長と挑戦を支えるための人材マネジメント改革に、スピード感を持って取り組みます。
 具体的には、実現したい「これから」の公務として、次の4つの柱を掲げています。
  1つ目が、「高い使命感とやりがいを持って働ける公務」、
  2つ目が、「実力本位で活躍できる公務」、
  3つ目が、「働きやすさと成長が両立する公務」、
  4つ目が、「誰もが挑戦できる開かれた公務」です。
 
 第一に、「高い使命感とやりがいを持って働ける公務」を実現します。
 人事院は、本年5月に、「国家公務員行動規範」を策定しました。職員が日々の仕事に取り組む上で、この行動規範を意思決定のベースとすることにより、自己を規律し、イノベーティブな行動につながることが期待されます。行動規範を職員に浸透させ、公務組織の活性化を図ります。
 「選ばれる」公務組織となるためには、「公務のブランディング」の取組も重要です。国家公務員の仕事に対して持たれているイメージと、その魅力や処遇・勤務環境など改善が進む現在の状況との間には、ギャップがあると思っています。
 本年7月、34府省等の約130人の職員の参加を得て、公務のブランディングのための府省横断チームを発足しました。公務一丸となって、公務の魅力の浸透と発信に一体的に取り組みます。
 
 第二に、優秀な人材をこれからも確保・定着させていくため、「実力本位で活躍できる公務」を実現します。
 特に、政策の企画立案や高度な調整などを担う職員の獲得・リテンションのために、人事制度を刷新します。その際、給与、勤務時間、任用等を一体的に検討します。
 給与体系は、年功的なものから、職務・職責をより重視した新たな制度へと転換を図ります。
 この新たな人事制度については、令和8年度に骨格を示し、令和9年度に具体的内容を明らかにします。本年度はそれに先行して、官民給与の比較対象とする企業規模を見直したことに加え、本府省の幹部・管理職員への手当の拡充、昇格に一定の期間を求める在級期間の仕組みの廃止などを実施します。
 
 第三に、「働きやすさと成長が両立する公務」を実現します。
 長時間労働、とりわけ月100時間の上限を超える超過勤務の最小化に向けて、それぞれの職場の実情をくみ取った縮減策を示し、調査・指導の更なる強化を不退転の決意で進めます。
 また、職員の自己実現や社会課題の解決につながる自営兼業を、令和8年度から可能とします。
 さらに、職員の様々な事情に応じて取得できる無給の休暇の仕組みを検討し、令和8年夏に措置の内容をお示しします。
 カスタマー・ハラスメント対策や、公平審査における苦情・紛争への対応の充実、職員の健康と安全を守る環境整備も進めます。
 加えて、職員の主体的な学びと成長を支援するため、国家公務員に求められる能力、すなわち公務職場で獲得できる能力をわかりやすく示すなど、職員のキャリア形成を後押しします。
 
 第四に、「採用プロセスのアップデート」として、採用の仕組みを包括的に見直し、「誰もが挑戦できる開かれた公務」を実現します。
 具体的には、受験者の利便性の向上や受験機会の拡大を図るため、CBT方式の採用試験を段階的に導入します。民間のWebテストの活用も視野に、まずは経験者採用試験での実現を目指します。
 また、採用におけるインターンシップの一層の活用を、令和8年度の採用プロセスから進めます。
さらに、公務を一度離れた方を採用する、いわゆるアルムナイ採用を迅速に行えるようにすることや、技術系人材の確保のための採用ルートの構築など、人材確保の裾野を更に広げます。
 
 なお、本日、報告及び勧告を石破総理大臣にお渡した際に、総理から次のようなお言葉をいただきました。
「地方を含め、民間給与で広がりを見せている賃上げの状況が反映されたものであるとともに、公務全体の人材確保や、政府の進める賃上げに資する内容になっている。今回の人事院勧告が各地域の賃上げや処遇の改善に良い影響を及ぼすことを期待したい。」とおっしゃっておられました。
 このようなご期待にしっかり応えるべく、スピード感をもって対応してまいります。
 
 最後になりますが、私は、6月25日に総裁として再任され、二期目の任期に入りました。
 さきほど申し上げた具体的な施策を進めるべく、お二人の人事官や事務総局と一丸となって、取組の進捗を公開しながら、透明性とスピード感を持って全力で取り組んでまいります。
 
 私からは以上です。

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