令和5年度国家公務員安全週間

令和5年度国家公務員安全週間ポスター

令和5年度国家公務員安全週間実施要領

1 趣旨

 国家公務員安全週間は、各府省、各機関が災害の根絶を期して、安全管理に関する施策の充実、安全意識の高揚及び安全活動の定着を図り、職員の安全を確保することによって公務能率の向上に資することを目的として行うものである。

2 期間

  令和5年7月1日(土曜日)~7月7日(金曜日)

3 主唱者

  人事院・内閣官房内閣人事局

4 主催者

  各府省

5 主唱者の実施事項

 主唱者においては、各府省、各機関が実施する職員の安全管理対策を支援するため、次の事項を実施する。
 
(1) 安全週間の周知
 安全対策会議、広報誌、ホームページ等を通じて周知を行う。
(2) 安全対策会議等の開催
 中央及び地方において、それぞれ開催する。また、主催者の要請に応じ、適宜講師の派遣、あっせんを行う。
(3) 資料の作成、配布
 広報資料を作成し、主催者に配布する。
(4) 標語の募集、標語作成者の表彰
 安全に関する標語を募集し、決定する。また、標語の作成者を表彰する。

○標語

『他人事 無関心が事故のもと』

(警察庁 関東管区警察局 荻原 博文 氏作)

 過去の国家公務員安全週間における標語

6 主催者の実施事項

 主催者においては、職員の安全を確保するため、次の事項を実施する。
 
 (1) 全ての府省、機関が実施する事項
 ア 安全管理体制の充実
 各府省、各機関の長は、職員の安全を確保する責任を自覚し、自らの安全に対する姿勢や理念を安全管理の基本方針として表明するとともに、重点課題等を明示することにより、安全管理水準の向上を図る。
 また、安全管理者は、職員の安全に係る計画の作成、実施、評価及び改善に関する事務を適切に実施するとともに、安全管理活動を積極的に推進するために、安全管理者、安全管理担当者、危害防止主任者等の責任と権限を再度確認し、過去の災害事例の分析等により、必要に応じた安全管理規程等の整備・見直しを行う。
 その際、人事院規則10―4(職員の保健及び安全保持)に定められた業務ごとに危害防止主任者が適正に指名されているか、所定の職務が適切に遂行されているかについての確認を行う。
イ 職員の安全意識の啓発
 職員一人一人が安全に対して関心を持つよう、省内掲示板等を活用するなどにより、標語を始めとして、災害防止対策や安全管理体制などの周知を行い、また、災害が発生した場合には、その状況を速やかに職員に周知し、情報を共有することにより、安全意識の高揚を図る。
ウ 職場内の実態把握の推進
 職場内の安全パトロールを実施して、危険箇所等の有無の点検や、設備的欠陥の排除を徹底するなどして、安全な職場環境を確保し、また、職員の日頃の作業や行動の実態を把握し、必要な改善を図ることにより不安全行動の防止を徹底する。
エ 安全に関する委員会等の開催
 安全に関する委員会、職場懇談会等を開催し、安全対策の課題、改善点等の検討を行い、また、職員の意見を聴取する機会を設けるなど、職場の安全管理活動への積極的参加を促進する。
オ 安全教育等の実施
 安全管理の基本である4S(整理・整頓・清掃・清潔)活動を推進し、具体的な災害事例等を基に、災害を未然に防ぐために必要な安全教育を計画的に実施する。
 また、危害のおそれの多い業務等については、所定の資格等を有する職員が適切に配置されているかを確認し、無資格の職員が業務に従事する可能性を完全に排除するとともに、危害防止のために必要な教育について、視聴覚教材を活用するなどして効果的に実施する。
カ 主要災害の防止対策の推進
① 転倒による災害の防止
 事務室、作業場、階段、廊下等の破損や障害物等の有無の確認及び照明器具等の点検を実施し、必要に応じた整備・補修等を行う。また、職場のバリアフリー化(段差の解消等)に配慮するとともに、通路等の凍結防止措置を講じるなど庁内外における転倒による災害の防止に努める。
 特に、執務室内に雑然と置かれた書類、事務用具、通路上の障害物などを起因とした転倒による災害が多く発生しているため、4S活動の徹底を行う。
② 墜落・転落による災害の防止
 安全パトロール等を通じて、職員が業務の実施や通行に伴って墜落・転落するおそれのある箇所を的確に把握し、墜落・転落による災害を防止するために必要な措置を確実に講ずる。
 また、階段昇降時における墜落・転落を防止するため、手すりの使用や足元確認などの基本的注意事項を周知徹底する。なお、手すりのない階段がある場合には手すりを設置するなど、設備面での改善措置を検討・実施する。
 脚立、踏み台やはしごは、使用方法等によっては墜落・転落による災害を引き起こす危険な用具であることを十分認識させ、使用前に用具を点検する、安定した床面で固定する、保護帽も併せて使用する、安全靴等を履くなど安全な使用方法及び作業方法を周知徹底し、慎重に行動するよう注意を促す。実際に令和3年度には、脚立から転落したとみられる職員が死亡するという災害が発生していることを踏まえ、災害を未然に防ぐための対策を徹底する。
 高所で作業を行う際には、滑り止めや手すり等の設置、作業を行う時間帯や現場に応じた作業手順の検討・作成、フルハーネス型墜落制止用器具の適切な使用の徹底など、墜落・転落を防止するための策をあらかじめ講じ、職員に周知する。
③ 動作の反動等による災害の防止
 無理な動作、不自然な姿勢、動作の反動などに起因した、筋を違える、足をくじく、腰を痛めるなどの災害を防止するため、適切な作業空間や使用目的に合った用具の確保、取り扱う物の重量の調整等を行い、急激な動作や無理な姿勢での作業を避け、身体への負担軽減を図るよう指導を徹底する。
④ 交通事故による災害の防止
 交通安全に関する教育の実施や各種講習会への参加促進等により、自動車等を運転する職員に対して交通法規の遵守の徹底と交通安全意識の向上を図るとともに、職員に対して、自動車に同乗する際には後部座席においてもシートベルトを着用する必要があること、徒歩で移動する際には周囲の交通状況に十分注意を払い、自ら危険を回避する意識を持つことも必要であることを周知し、注意喚起する。
 また、警察等からの交通事故発生情報のほか、職員からも、特に注意を要する一時停止等の交通規制の箇所、路面の凍結を原因としたスリップによる交通事故の危険を感じた事例(ヒヤリ・ハット事例)等の情報を日常的に収集し、管内の交通安全情報マップを作成するなどして職員に示し、注意を要する箇所等の情報を職員間で共有するなど、交通事故による災害防止に対する注意喚起を図る。
 なお、自転車も道路交通法上の「車両」であり、時として、他人及び自分に対しても危険な乗り物になるということを十分認識させ、ブレーキや灯火等の点検を習慣化することや交通法規の再認識等により、交通事故防止に対する意識の向上を図る。
キ 高年齢職員に配慮した職場環境の改善
 「国家公務員法等の一部を改正する法律」が令和5年4月1日から施行され、定年が段階的に引き上げられることに伴い、一般職の国家公務員における高年齢職員はますます増加することが見込まれることから、高年齢職員がより安心・安全に働ける環境づくりを一層推進していく必要がある。
 高年齢職員の心身機能の変化やその個人差に十分配慮し、高年齢職員が安心して安全に働ける職場環境づくりを行うよう、厚生労働省が策定した「高齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」における措置を参考として、施設の改善や作業手順の確認・見直し等の実施可能な災害防止対策に積極的に取り組む。
 また、職員に対しては、高年齢職員に係る災害防止対策の取組に協力するよう周知するとともに、高年齢職員に対しては、心身機能の変化が転倒、墜落・転落等の災害のリスクにつながり得ることを理解し、自らの身体機能や健康状況を客観的に把握して健康や体力の維持管理に努めるよう、写真や図、事例を交えて周知する等の方法により注意喚起する。
ク 適切な健康管理の実施
 職員の健康状態に起因する災害を防止するため、テレワークを含め、職員の業務の繁忙や心身両面にわたる疲労の状態等に日頃から配意し、適切な勤務管理、健康管理、職員の運動の推進に努める。
ケ 緊急事態に対する措置の点検・整備等
① 緊急連絡等
 火災、地震、事故等の災害に応じた緊急連絡網を確認・整備する。
② 避難訓練等
 火災、地震等の自然災害その他職員に危害が及ぶおそれのある緊急事態の発生に備え、備品等の転倒・落下防止措置、避難設備、救命用具、救急箱等の点検・整備を行うとともに、危害を最小限度にとどめることができるよう、避難訓練、防火訓練、救急救命訓練その他想定される緊急事態に対応した職員の訓練等を適切に実施する。
 
(2) 本府省において実施する事項
ア 府省全体の安全管理体制等の確立
 各府省の長は、府省全体の安全管理体制を強化するため、当該体制についての確認及び点検、安全管理者や安全管理担当者への指導及び教育、適正な人員配置等を行うなど、必要な整備・見直しを図る。また、災害発生時の報告体制等の整備・見直しを図るとともに、府省全体の災害発生状況の把握、分析を行う。
イ 府省全体の災害防止対策の実施
 災害防止のため、府省特有の災害事例や報告のあった災害発生状況の分析結果等に基づき、的確な災害防止対策を策定し、類似の災害が発生しないよう努める。
 さらに、災害が頻発している府省はもとより、災害発生件数の少ない府省においても、不休災害や災害に至る一歩手前の事例(ヒヤリ・ハット事例)の発生状況も含めて把握、分析し、職場における危険有害要因の発見に努め、潜在的な危険性、有害性の低減を図るべく、的確な災害防止対策の実施に努める。

(3) 各機関の実状に応じ、重点的に実施する事項
ア 機械設備等の安全化及び安全な作業方法の確立
 機械設備等については、安全カバー等の安全防護措置の状況等を点検するとともに、確実に安全化された機械設備等の使用を積極的に推進する。また、危険又は有害な業務については、安全管理規程や取扱説明書等で定める作業標準の確認を行い、安全の視点から不備がないか、実態に即したものとなっているか、修理の際や緊急時にも対応したものとなっているかを点検するなど、より安全な作業方法の確立に向けた取組を積極的に推進する。
 また、フォークリフト等の車両系荷役運搬機械を用いて作業をする際には、職員に挟まれや巻き込まれ等の危険が生じるおそれがあることから、作業場所の広さ、荷の種類等に応じた作業計画を定め、関係職員の立入禁止範囲や誘導者の配置等を明確にしておく。
イ 職場ごとの状況に応じた災害防止対策の推進
① 危険設備等
 人事院規則10―4(職員の保健及び安全保持)で定期検査等の実施が義務付けられているボイラー、クレーン等の危険設備については、所定の検査等の実施を確認するとともに、高経年施設・設備の計画的な更新・優先順位を付けた点検・補修を行う。
② 危険有害物質等
 爆発性、引火性を有する物質又は酸欠、中毒などを引き起こす物質である危険有害物質等を使用する機関等にあっては、死亡災害等の重大な災害を防止するため、事前に「安全データシート(SDS)」等により当該物質の危険有害性情報、当該物質に係る作業標準、作業手順書、機械設備の情報等を把握の上、リスクアセスメント(危険性又は有害性の特定、リスクの見積り、リスク低減措置の内容の検討)及びその結果に基づく措置の推進を行う。また、危険有害物質等を取り扱う作業場においては、リスクアセスメントの結果及びその結果に基づく措置の内容について、関係職員に周知する。
 なお、化学薬品については、地震の揺れによる保管場所からの落下や容器の破損により出火を引き起こす危険性があることから、その管理には十分に注意を払うよう指導を徹底する。
③ 船舶
 船舶での転倒、墜落・転落等の災害を防止するため、通路等の滑り止めの措置、手すりの設置等、設備の整備・改善を促進するとともに、船員に対する安全教育を実施する。
 また、係留作業、海上における作業等の特に危険が伴う作業については、人事院規則10―4(職員の保健及び安全保持)に定める危険を防止するための措置を確実に講ずるとともに、あらかじめ具体的な役割分担や詳細な作業手順を定め、関係職員に周知徹底する。
④ 放射線業務
 放射線業務従事者に対する安全教育を徹底するとともに、放射性同位元素の数量確認、放射線発生装置に係る施設・設備の点検・整備、管理区域の線量当量率の測定及び各種記録作成の確認等を確実に実施する。また、放射線に被ばくするおそれのある区域で作業に従事させる場合には、人事院規則10―5(職員の放射線障害の防止)及び人事院規則10―13(東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等の除染等のための業務等に係る職員の放射線障害の防止)等で定める線量の基準を超えることのないよう被ばく線量の測定を実施するとともに、保護具等の適切な装着により被ばく線量の低減化を図る。
⑤ 武道訓練等
 武道訓練、レクリエーション等における災害を防止するため、安全管理対策の徹底と指導体制の充実、訓練施設等の点検・整備に努め、職員の体格や体力及び技能レベルに配慮して、災害発生・重症化防止のための十分な準備運動や的確な指導・対応を徹底し、指導者についても指導能力向上に努める。
 特に、武道訓練については、近年、新型コロナウイルス感染症対策により訓練が自粛され、災害が減少していたが、今年度からは訓練再開が本格化することが見込まれる。武道訓練は災害の危険性が非常に高く、また訓練再開直後は職員の技術・体力面が低下している可能性があることから、これまで以上に安全対策を講じる必要がある。災害発生要因の分析に当たっては、準備運動の不足等の表面的な原因の解明にとどめず、当該災害を引き起こすに至った背景要因についての検討を行い、多角的な視点で再発防止対策を策定し、確実に実施する。
⑥ 熱中症予防対策
 熱中症を予防するために、暑さ指数(WBGT)を把握し、その値に応じた熱中症予防対策を実施するとともに、職員に対して熱中症予防対策の浸透を図る。また、熱中症発症時・緊急時の措置についてあらかじめ確認、周知するなど、熱中症予防対策に関する安全管理体制を図る。
※WBGT値とは、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数のことをいう。
⑦ その他
 異なる部署等が共同で作業を行う場合には、指揮命令系統を明確にして関係職員に周知徹底する。また、災害事例を活用してグループ討議を行うことなどにより、職員の危険に対する感受性の向上を図るとともに、各機関の実態に応じた安全対策の強化及び推進に努める。
 
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