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国家公務員制度改革の動向

2 人事院の取組


人事院は、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的とする国家公務員法の基本理念の下、人事行政の公正確保の機能及び労働基本権制約の代償機能を担うとともに、人事行政の専門機関として時代の要請に応える人事施策を展開してきた。このような立場から、国家公務員制度改革に関し、人事行政の公正を実現するために必要な機能が確保され、かつ、適切で実効性のある労使関係制度となるよう、長年にわたり蓄積してきた知見と経験に基づき、必要な意見を述べることは本院の責務と考えている。

このような認識の下、人事院は、平成24年6月に国会と内閣に提出した「平成23年度年次報告書」において、諸外国の労使交渉の仕組みと実態を紹介し、これを踏まえた協約締結権の付与に関わる基本的な論点を提示したほか、同年8月の人事院勧告の際の報告においては、国家公務員制度改革の理念と改革に関する人事院の認識を示すとともに、国家公務員制度改革についてのこれまでの経緯を振り返り、今後の議論に資するよう、4法案が定める改革案に関し、特に重要と考える論点を改めて提示した。

同報告では、協約締結権付与については、公務の労使交渉においては給与決定に市場の抑制力が働かないこと、国会の民主的コントロールの下での使用者側の当事者能力には限界があること、労働組合の代表性をいかに確保するかを整理する必要があること、また、人事行政の公正の確保については、採用試験の出題や合否判定等は、組織的に一定の独立性を有する第三者機関が行う仕組みとする必要があること、幹部職員の適格性審査に第三者機関が適切かつ実効的に関与する必要があること、幹部職間の転任には、適性の厳正な検証や異動の合理性・納得性を高めるための措置が必要であることなどを論点として提示した。

国家公務員の使命は、憲法の定める「全体の奉仕者」として、国家・国民のために高い志気を持って公正に職務を遂行することである。国家公務員制度では、長い歴史を経て、メリットシステム(成績主義)等の基本原則が確立されている。人事院としては、憲法の基本理念の下、国家公務員制度の基本原則を踏まえ、今後とも、時代の要請に対応した必要な改革の実現に向けて、引き続き、その使命・責務を適切に果たしていきたいと考えている。


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