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第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

第2章 公務員の高齢期の雇用問題等

1 雇用と年金の接続


(1)平成23年度までの動き

平成25年度以降、公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が60歳から65歳へと段階的に引き上げられることに伴い、60歳定年制の下では定年退職後無収入となる期間が生ずることから、雇用と年金の接続が課題となっている。この課題に対処するため、人事院は、平成23年9月30日、国会及び内閣に対して、「定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出」を行った。

これに対し、政府は、平成24年3月23日、平成25年度以降に定年退職する職員が再任用を希望する場合には任命権者が再任用(フルタイム)を行うものとし、これにより雇用と年金の接続を図ることとするとの基本方針を決定した。

(2)今年度(平成24年度)の動き

定年退職を迎える者の能力と経験を再任用により活用していくためには、再任用職員が担う職務の検討、人事管理の見直しや関連する環境整備が行われる必要がある。

このため、平成24年度においては、基本方針に基づいた制度設計、組織活力の維持や職員の能力の活用のための環境整備について政府全体で検討が進められた。そうした中で、人事院としても、政府全体としての具体的な施策の取りまとめに向けて政府における検討に参画するとともに、平成24年8月8日の給与勧告時の報告では、新たな再任用に関する課題と取組、高齢期雇用に関わる環境整備について本院の考え方を述べた。

政府において、平成25年3月26日、雇用と年金を接続するための当面の対応策として、定年退職する職員が再任用を希望する場合に、国家公務員法の規定に基づき現行の再任用の仕組みにより、当該職員が年金支給開始年齢に達するまで再任用するものとすること等を内容とする「国家公務員の雇用と年金の接続について」が閣議決定された。

今後、平成26年度からの雇用と年金の接続のための再任用の運用に向けて、各府省において、再任用職員の職務・配置の具体化を行う必要があるとともに、今後再任用職員の大幅な増加が見込まれる中での行政事務の執行体制の見直しや、60歳前の職員も含めて能力実績に基づく人事管理を徹底するなどの人事管理全体の見直し等を検討していく必要がある。人事院としても、各府省において具体的に想定される再任用職員の職務や働き方を踏まえ、給与制度上の措置について必要な検討を行う。

また、平成26年度以降の再任用の運用状況を検証しつつ、雇用と年金の接続の在り方について改めて検討していく必要があると考えており、閣議決定においても、年金支給開始年齢の段階的な引上げの時期ごとに、人事院の意見の申出を踏まえつつ、段階的な定年の引上げも含め検討を行うこととされている。


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