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第1編 《人事行政》

【第2部】 幹部職員等の育成と選抜

第1章 我が国における幹部職員等の育成・選抜の実態

第1節 各府省における昇進選抜の実態

1 グループ別人事管理の概要

大規模な府省において行われている実際の人事管理では、当該府省に存在する多様な職務とそれに要する知識・能力や経験の違いに応じ、専門別、学歴別等に複数の人事グループが形成され、そのグループの中で人事管理を行うことを基本とする運用がみられる。その場合、官房に置かれる人事担当課は、一部の人事グループの人事配置と府省全体の人事の取りまとめを行うことにとどまり、人事配置は、各人事グループで決定することが一般的となっている。

さらに、上位ポストを中心に、求められる専門性や勤務経験の違いなどを背景に、人事グループ別に配置されるポストがおおむね固定化されている。こうしたグループ別に仕切られた人事運用により、採用年次が同じで同程度の評価を受けている者であっても、所属する人事グループによって昇進ペースの違いを生じる結果となっている。典型的なキャリアシステムが本府省の旧Ⅰ種採用事務系職員(後述)でみられるのは、府省内関係者間や各府省間における調整業務を行うジェネラリストに適した上位ポストの数が多く、他の人事グループより早く上位ポストまで昇進するためと考えられる。

各人事グループ内での個別の人事配置は、長期の観察による人物評価等を基本として決められてきており、多くの場合、同一採用年次の者の間での能力や適性の比較によって昇進選抜が行われてきている。

グループ別人事管理は、職種も業務も多様で大規模な組織において、関係する職員とそれらの職員が配置されるポストについて一定の範囲を設定し、その中で職員の有する能力・適性と業務上求められる能力・経験の間でのマッチングを図るという機能を果たしている。これにより、一定の専門領域を必要とする分野を中心とした配置、ローテーションが可能となり、専門性を備えた人材の部内育成が図られてきたと考えられる。

図1 グループ別人事管理のイメージ

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