これまでの人事慣行では、同一採用年次の者を管理職員までほぼ一斉に昇進させていたことから、早い昇進ペースを維持するために本府省課長級以上の上位の官職に就いている者を適宜公務外に転出させる必要があり、民間企業や関連法人等への再就職が行われていた。この再就職に対しては、官民癒着の温床である、再就職先の報酬や複数回受け取る退職金が高額である、補助金等が再就職先に流れているのではないかなど、行政の在り方をめぐって厳しい批判が行われ、このような批判に対応して、次のような措置が採られてきた。
① 平成14年の閣僚懇談会申合せにより、早期退職慣行を是正するため、幹部職員の勧奨退職年齢を3歳以上高くすることを目標に、5年間かけて段階的に引き上げることとした。
② 平成19年の国公法の改正により、従来人事院が行っていた営利企業への再就職の事前審査を廃止するとともに、各府省人事当局が再就職のあっせんを行うことを禁止した。
③ 平成21年の閣議決定により、独立行政法人等の役員人事について、公務員OBが就いているポストの後任者を任命する場合等は原則公募により選考を行うこととした。
④ 平成21年度末には、官民人材交流センターによる再就職支援業務を停止した。
⑤ 平成22年の退職管理基本方針の閣議決定により、管理職員等の役員出向先となる独立行政法人等の範囲を拡大することとされた。
これらの措置により、近年、管理職員や幹部職員の勧奨退職者数は急速に減少してきている。