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第1編 《人事行政》

【第2部】 幹部職員等の育成と選抜

第3章 幹部職員等の育成・選抜システムの見直し

第1節 幹部職員等の育成・選抜の制度化


第1章において述べたとおり、各府省においては、新規学卒者を採用し、部内で管理職員・幹部職員を育成・選抜する人事管理が行われているが、こうした人事管理は、国公法等に制度として定められたものではなく、人事運用の一部として長く行われてきたものである。人事運用で行うことは、必要に応じ弾力的で多様な対応も許容するという側面もある一方で、運用であるがゆえに年次一律的な昇進慣行の見直しや旧Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員の登用といった課題に全府省で足並みをそろえて取り組むことを困難にしてきたという側面もあると考えられる。一方、幹部職員の多くが政治任用であるアメリカを除く主要国(イギリス、フランス、ドイツ)においては、管理職員・幹部職員の育成・選抜が制度化されている。

昇進管理をめぐる状況の変化に適切に対応し、今後とも志気の高い管理職員・幹部職員を確保し、その高齢化を避けるためには、現在の人事運用との連続性を考慮しつつ、管理職員・幹部職員の育成・選抜の制度化を図った上で、随時、必要な制度改正を進めていくことが考えられるところである。

管理職員・幹部職員の育成・選抜の制度化に当たっては、育成対象者の人事配置を誰がどう決めるのか、育成から外れた者の人事管理をどのように行うのかなど、各府省における現行のグループ別人事管理の実態も踏まえた設計を行わなければ、制度化を行ったとしても、再び運用と制度とが乖離し、制度が形骸化するおそれがある。まず、実現可能性のある慎重な制度設計を行う必要がある。

※ 平成20年に制定された国家公務員制度改革基本法では、幹部候補育成課程を整備することが定められており、平成21年、平成23年に提出された国家公務員法等の一部を改正する法律案に盛り込まれたが、いずれも衆議院の解散により廃案となっている(参考参照)。

幹部職員等の育成・選抜の制度化を図る場合の主な論点としては、次のようなものがある。


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