開発途上国にあっては、国家の発展に向け、行政の基盤である公務員制度を整備し、ガバナンスを向上させることが緊要性の高い共通課題であるところ、その際に我が国の例に学びたいという要望が数多く寄せられている。こうした要望を受け、人事院は、独立行政法人国際協力機構が主催する開発途上国の政府職員を対象とした研修の実施等に協力している。
各国の人事行政の改善に資することを目的とし、各国の中央人事行政機関等の上級幹部職員を対象とする「上級人事管理セミナー」と、課長補佐級職員を対象とする「人事行政セミナー」の2コースが実施されている。
いずれのコースも、我が国の公務員制度や人事行政について、その基本的な考え方や運用、新たな動向等を紹介するとともに、討議や各国との比較研究を通じ、各国の人事行政の実情に適合した人材マネジメントを参加者自らが考えることを内容としている。
各コースの実施状況は次のとおりである。
平成24年度は、9か国9人を対象に、約2週間にわたり実施された(資料8-2)。
このセミナーが開始された平成3年度から平成24年度までの参加者は、合計63か国(地域)211人である。
平成24年度は、12か国13人を対象に、約3週間にわたり実施された(資料8-2)。
このセミナーは、平成11年度から「人事行政研修」として実施してきたものを平成16年度から「人事行政セミナー」と改称して継続している。平成11年度から平成24年度までの参加者は、合計62か国(地域)146人である。
各国の中央政府機関の上級幹部職員を対象に、我が国のガバナンスと社会経済の発展の経緯を紹介しつつ、様々な政策課題についての討議等を通じて、各国の社会経済の発展に資する行政の在り方を考える研修である。
平成24年度は、9か国9人を対象に、約3週間にわたり実施された(資料8-2)。昭和61年度の開始から平成24年度までの参加者は、69か国(地域)286人である。
上記(1)、(2)は複数国を対象とする研修であるが、このほか、個別国からの要請に応じた技術協力も必要に応じ行ってきている。
平成23年度にベトナム政府から、独立行政法人国際協力機構を通じ、幹部職員の人材育成等への協力要請が人事院に対して寄せられ、同国からの調査団の来訪や当院からの現地調査等が行われた。この結果、同国の幹部育成を所掌するホーチミン国家政治行政学院に対する技術協力プロジェクトの内容がまとまり、人事院は、同国の幹部を対象とする研修プログラムの一部を支援することとなった。
そのため、公務員研修所の有するこれまでの蓄積やノウハウに基づき、平成25年度から27年度末にかけて、ベトナムにおいて我が国の幹部行政官や学識経験者等による講義や演習等を行うとともに、研修員の一部を日本国内に派遣して行う研修について必要な支援を行うこととしている。