第1編 人事行政

第2部 令和5年度業務状況

第5章 職員の勤務環境等

第8節 服務及び懲戒

2 懲戒

(1)懲戒制度の概要、懲戒処分に関する指導等

各府省等の任命権者は、職員が、①国公法若しくは倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合、②職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合、③国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合のいずれかに該当するときは、当該職員に対し、懲戒処分として免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができることとされている(国公法第82条第1項)。その具体的手続は、国公法及び規則12-0(職員の懲戒)に定められている。

人事院は、毎年の懲戒処分の状況を公表するとともに、各府省等に対し、担当者会議等の機会を通じて、懲戒制度の厳正な運用について徹底を図っている。

(2)懲戒処分の状況

令和5年に懲戒処分を受けた職員数は240人(免職12人、停職57人、減給110人、戒告61人)であり、前年に比べて6人増加している。

処分数を府省等別に見ると、法務省が最も多く、次いで国税庁、国土交通省、海上保安庁、厚生労働省の順になっている。また、処分の事由別に見ると、公務外非行関係(窃盗、暴行等)、一般服務関係(欠勤、勤務態度不良等)、交通事故・交通法規違反関係、通常業務処理関係(業務処理不適正、報告怠慢等)の順に多くなっている(資料5-2、5-3)。

令和5年中において、懲戒処分を行った事例としては、国家公務員倫理規程違反事案を除くと、以下のようなものがあった。

● 刑務官による受刑者への暴行・不適切処遇事案

数名の受刑者に対し、複数の刑務官が暴行や不適切な処遇を行ったとして、刑務官10人に対して停職処分が、刑務官3人に対して減給処分が行われた。このほか、行為者として刑務官4人に対して訓告、刑務官4人に対して厳重注意、刑務官1 人に対して注意の矯正措置が行われ、監督者として刑務所長を始めとした4人に対して厳重注意、処遇首席を始めとした4人に対して訓告の矯正措置が行われた。また、上記場面を現認したにもかかわらず上司への報告を怠ったなどとして刑務官3名に対して注意の矯正措置が行われた。

● 在外日本国大使館での公金等横領事案

在外日本国大使館において、同大使館の金庫に保管していた公金等を私的目的で借用しては返却するとの行為を繰り返し行っていたとして、外務省職員1人に対して免職処分が行われた。また、同大使館の出納官吏であった外務省職員1名に対して戒告処分が行われた。

各任命権者は、懲戒処分が行われるべき事件が刑事裁判所に係属している間においても、人事院の承認を経て、適宜、懲戒処分を行うことができることとされている(職員が、公判廷における供述等により、懲戒処分の対象とする事実で公訴事実に該当するものがあることを認めている場合には、人事院の承認があったものとして取り扱うことができる。)。この手続により、令和5年においては、6省庁で11人(免職5人、停職1人、減給5人)に対して懲戒処分が行われた。

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