(1)各府省における現状の把握及び取組の促進
各府省における職員に対する倫理意識のかん養や倫理的な組織風土の構築に向けての取組状況や課題について把握するとともに、他府省の取組を共有し各府省における今後の取組の参考にするための機会を設けた。具体的には、各府省において倫理保持について職員を指導すべき立場にある官房長等と倫理審査会会長・委員との懇談会を開催し、また、地方機関の長等と倫理審査会会長との懇談を行った。さらに、後述する「国家公務員倫理月間」の機会等を捉え、倫理研修の定期的・計画的な実施、職員の職務に係る倫理の保持のための相談・通報窓口の利活用促進の要請を行った。あわせて、各府省における倫理保持のための取組の参考となるよう、各府省で実施された啓発活動や倫理的な組織風土の構築のための取組の具体例の共有等を行った。
倫理制度の周知徹底及び各府省における倫理保持に係る取組の推進を目的として、本府省で実務を担う倫理事務担当者等を対象とした倫理制度説明会を令和5年4月及び同年10月にWebでそれぞれ1回実施したほか、地方機関の倫理事務担当者等に対しては、全国6箇所においてWeb又は対面での研修を開催した。
さらに、令和2年度から実施しているWebを通じた有識者講演会については、令和5年度は、幹部・管理職員向け(9月)及び一般職員向け(11月)に計2回実施し、本府省及び地方機関の職員に広く視聴を呼びかけた。幹部・管理職員向けには、駿河台大学の水尾順一名誉教授に「世のため、人のため、相手の期待に応えるコンプライアンスの実践」というテーマで質疑応答を含めたライブ配信での講演を行っていただくとともに、その模様を録画し、9月から10月にかけて2週間配信した。同講演会は、延べ3,700名ほどの職員が視聴(会議室等で複数名で視聴した場合も1名として集計。以下同じ。)し、「「コロナ禍で見えてきたリーダーに求められる資質」を簡潔に提示いただき、再確認することができた。」、「従来のコンプライアンスは、「規制」や「べからず」という概念だったが、各自が「世のため人のため」というプラス思考、攻めの姿勢で業務に取り組むことで、不祥事をなくすことができるということを学んだ。」といった感想が寄せられた。一般職員向けには、のぞみ総合法律事務所の吉野弦太弁護士に「個人の倫理と組織の倫理心の倫理と手続の倫理」というテーマで質疑応答を含めたライブ配信での講演を行っていただくとともに、その模様を録画し、12月に2週間配信した。同講演会は、延べ2,900名ほどの職員が視聴し、「倫理的対応に直面した際に後手に回ることがないよう、正しい知識を習得することの重要性を認識した。」、「公務員倫理と人としての良心の兼ね合いなど、公務員倫理の実践に当たっての留意点などを具体例をもとに理解することができた。」といった感想が寄せられた。