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第1編 《人事行政》

【第2部】 幹部職員等の育成と選抜

第3章 幹部職員等の育成・選抜システムの見直し

第1節 幹部職員等の育成・選抜の制度化

1 育成対象者の選抜

管理職員・幹部職員の育成には、ある程度の期間が必要であり、その間に重要政策の企画への参加、府省間調整、法律改正などの負荷の大きな業務経験や現場の管理職、海外留学などの限られた育成機会を効果的に活用し、これらの育成機会を集中的に付与する必要がある。このため、育成対象者は採用後比較的早期に選抜する必要があり、これにより優秀な人材を公務に誘致する効果も期待できる。民間企業でも早期選抜に取り組む企業がみられる。

早期選抜の一つの在り方として、政策の企画立案等の業務に従事するための高度の知識、技術、経験を検証する総合職試験からの採用者を管理職員・幹部職員の要員候補とすることが考えられる。この場合も、その後の昇任、配置等の人事管理が採用試験の種類の別にとらわれてはならないものであり、採用後の人事評価等の結果に基づいて能力・適性を欠くと認められた者は、管理職員・幹部職員には登用せず、他方で、一般職試験等により事務処理等の定型的な業務に従事するポスト等に採用された者であっても、採用後数年の勤務を通じて管理職員・幹部職員としての能力・適性を有すると認められた者は、管理職員・幹部職員の要員候補とする必要がある。

次に、採用後に、全員を対象として一部の地方公共団体で行われているような係長級の昇任試験を行うことによって選抜することが選択肢の一つとして考えられる。国においては、政策の企画立案等の業務についての能力・適性や専門性を総合職試験において把握し、各府省が採用者を決定する段階でも各府省の業務の中核を担える人材かどうかという観点も含めて選抜しており、管理職員・幹部職員の要員の選抜の方法としては、改めて筆記試験を中心とした昇任試験を行うよりも、勤務実績を的確に把握し、面接を含む厳正な人事評価を行うなどにより勤務を通じて蓄積された人材情報によって選抜を行うことが適当であると考える。


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