我が国においては、長期雇用の対象となる職員については、官民を通じて人事当局が配置や昇進選抜を決定することが一般的である。これに対し、欧米諸国では欠員が生じた際に職員がこれに応募する方式が一般的にみられる。
こうした部内公募や場合によって部外を含む公募を原則とする方式は、比較的職務の範囲が明確でそれに求められる資格・経験も明確であるという業務運営を前提として、キャリア開発は人事当局ではなく個人の意思と責任で行うことを原則とし、高い処遇を求めて組織を移動することも当然とする社会システムを背景として機能してきている。このような公募を原則とする方式は、個々人の職務範囲が弾力的な大部屋主義の執務形態の下、新規学卒者を採用後は人事当局が育成・配置する我が国の一般的な組織運営・人事管理手法とはにわかになじみにくいところがあると考えられる。
なお、公募制については、組織活力の向上を目的として導入することや、部内では得られない専門性を要する一部の業務を対象として導入することが考えられる。