第1編 《人事行政》

【第2部】 次世代の行政の中核を担う30代職員の育成と公務全体の活性化 〜意識調査を通じて課題と対策を探る〜

コラム イギリスにおける職員意識調査結果とハイスコア職場の取組事例

イギリスでは、2009年から毎年、全省庁共通の職員意識調査(Civil Service People Survey)を実施している(調査の概要等については、平成28年度人事院年次報告書を参照)。全体結果のほか、機関、性別、人種、障害の有無、健康状態、年齢、役職段階、職種、勤務地など、様々な属性ごとの集計結果がイギリス政府ホームページに掲載されている。年齢別を含む最新(平成30年4月末現在)のものでは、2017年の調査結果について、調査を所管する内閣府が属性ごとの集計結果を公表している。

同集計結果では、年齢階層間のエンプロイー・エンゲージメント(職員が組織目標に貢献し、やりがいを感じること)・スコアは、最も若い年齢階層である16歳〜34歳が最も高く(62%)、年齢階層が上がるほどスコアは低くなっている(最大で5ポイント差)(※)。また、役職段階でみると、役職段階が低いほど同スコアが低く、役職段階が高いほど同スコアが高くなる傾向にあり、最も低い役職段階である事務補助職と上級公務員(Senior Civil Service:各省・各エージェンシーの課長級ポスト以上に在職する幹部公務員)との間で約20ポイントの差があった。

※ これらは単純比較の結果である。内閣府は、2015年調査について年齢以外の影響要因を統制した上での分析結果を公表しており、当該分析結果では世代間の差は特段みられなかったとのことであった。

2017年の国家公務員全体のエンプロイー・エンゲージメント・スコアは61%であり、同スコアに寄与する質問項目の分野ごとにみると、「研修・啓発」(53%)、「リーダーシップとマネジメント」(47%)、「給与とその他の便益」(30%)のスコアが他の分野と比べて低めとなっている。調査結果は、課などの各職場のチーム単位でフィードバックされ、職場単位でエンプロイー・エンゲージメント・スコア改善の取組が行われており、上級公務員の業績評価シートには自らが管理するチームの直近の同スコアが記載される。そのため、各職場の管理職員がエンプロイー・エンゲージメントを醸成するための手助けとなるよう、政府のホームページでは、同スコアが高い職場での取組事例が掲載されており、例えば以下のような内容が紹介されている。

○ 人材育成への投資

チームリーダーが、チーム目標として研修を優先付けた。このため、研修と能力開発のために多くの予算を確保でき、チームが全役職段階の職員への投資に真剣に取り組んでいることを実証できた。研修受講費用の職場負担は職員から好評価を得た。

○ 部下の特性の丁寧な把握

部下の強み・弱みの理解に時間をかけるとともに、ある業務課題について遂行できると思うか部下から申告してもらった。この結果、業務に職員を無理に合わせて低いエンゲージメント下で職務従事させるのではなく、職員の強みに合わせて業務を調整することが可能になり、あわせて、(現在の能力では困難な業務に取りかかる時間を省くことで)職員が必要なスキルを身に付けるため能力開発を行う時間を確保できた。

○ 丁寧なフィードバック

4〜6週間ごとの上司と部下の1対1ミーティングと、上司・人事当局・所掌業務の関係者等からのフィードバックを行うシステムを導入した。

○ 失敗ミーティング

オープンな信頼関係を構築する手段の一つとして「失敗についてのチームミーティング」を導入した。この会議では、チーム内の全員が「上手くいかなかった時の例」を他のメンバーと共有することが奨励される。重要な点として、初めにリーダーから電話での失敗談を話すことから始めた結果、メンバーは自分の例を正直に話すことができるようになった。失敗は大抵不快なトピックだが、こうした内容を共有することによって、メンバー間で多くの共通テーマが浮かび上がり有意義であった。同時に、この会議によって、失敗のリスクは挑戦精神があることの裏返しであり、そこから学ぶことができれば失敗自体は悪いことではないということが強調され、より信頼し合える環境の構築に役立った。