出生サポート休暇 職員向けQ&A

対象範囲

   問 出生サポート休暇の対象となる「不妊治療」とは具体的に何を指すのでしょうか。

○ 出生サポート休暇の対象となる「不妊治療」とは、不妊の原因等を調べるための検査、不妊の原因となる疾病の治療、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精等を指します。「等」に含まれるものとしては、例えば、排卵誘発法があります。
  (規則15―14運用通知第14の第1項(7)、規則15―15運用通知第4条関係第1項(8))

   問 出生サポート休暇の対象は、不妊治療の過程のどこまででしょうか。体外受精に係る移植後の経過観察、ホルモン補充、妊娠判定等のための通院は対象となるのでしょうか。

○ 体外受精に係る移植後の経過観察、ホルモン補充、妊娠判定等のための通院も出生サポート休暇の対象となります。不妊治療を行っていた職員が妊娠し、不妊治療クリニック等から産婦人科等に受診先が変わった場合には、妊産婦である女子職員の健康診査及び保健指導(いわゆる妊婦健診)として、人事院規則10―7第5条に規定する職務専念義務免除の対象となります。

   問 「通院等」には何が含まれますか。移動や入院も含まれるのでしょうか。

○ 出生サポート休暇の「通院等」とは、医療機関への通院、医療機関が実施する説明会への出席等をいい、これらの通院や出席において必要と認められる移動(自宅又は職場と医療機関等との間の移動)を含みます。また、入院も出生サポート休暇の対象となります。

   問 遠方への移動を伴う通院も含まれるのでしょうか。

○ 自宅又は職場と医療機関等との間の移動について、その距離に関わらず、出生サポート休暇の対象となります。ただし、遠方への移動が必要であっても、出生サポート休暇の期間は5日の範囲内から10日の範囲内となることはなく、また、忌引休暇(規則15―14第22条第1項第13号)のように、往復に要する日数が加算されることもありません。

   問 配偶者の不妊治療の付添い・送迎などの場合も出生サポート休暇の対象となるのでしょうか。

○ 職員本人が何ら治療を受けず、単に配偶者の通院に付き添うためだけの場合は、出生サポート休暇の対象となりません。
   ただし、配偶者の診断結果やその後の不妊治療の方針について医師から説明を聞く場合等は、不妊治療に含まれると解され、出生サポート休暇の対象となります。

休暇の期間

   問 当該年(非常勤職員の場合は当該年度)の当初は休暇の期間(日数)が5日の範囲内となる不妊治療を受けていましたが、当該年(年度)の途中から体外受精又は顕微授精を受けることとなった場合には、休暇の期間は、何日となりますか。また、当該年(年度)の当初は、体外受精又は顕微授精を受けるため、休暇の期間が10日の範囲内でしたが、当該年(年度)の途中でそれ以外の不妊治療を受ける場合には、休暇の期間は、何日となりますか。

○ 当該年(年度)の当初はタイミング法や人工授精を受けていて休暇の期間が5日の範囲内であり、当該年(年度)の途中から体外受精又は顕微授精を受けることとなった場合には、体外受精又は顕微授精を受ける時点から休暇の期間は10日の範囲内となります。その後については、体外受精又は顕微授精以外の不妊治療を受けることがあっても、休暇の期間の上限は10日から5日の範囲内に変わることはありません。

   問 休暇の期間(日数)については、「人事院が定める不妊治療」に係る通院等の場合には10日の範囲内とされていますが、人事院が定める不妊治療をしつつ、並行して別の不妊治療を行うことがある場合、6日目以降は人事院が定める不妊治療の場合にしか出生サポート休暇を取得できないのでしょうか。

○ 当該年(年度)において、体外受精等の人事院が定める不妊治療を受ける時点で、休暇の期間は10日の範囲内となります。その後、それ以外の不妊治療を受けることが、日数に影響を与えるものではありません。

   問 年(年度)の途中に採用された場合の休暇の期間(日数)はどうなりますか。

○ 当該年(要件を満たす非常勤職員にあっては当該年度)の途中での採用であっても、休暇の期間に変わりはありません。

   問 ある年(年度)において休暇の期間(日数)が10日の範囲内となった場合、翌年(翌年度)はどうなるのでしょうか。

○ 休暇の期間は1暦年(非常勤職員の場合は1会計年度)ごとのため、翌年(翌年度)において、自動的に10日の範囲内となるわけではありませんが、体外受精又は顕微授精を継続している場合、翌年(翌年度)においても10日の範囲となります。
   なお、翌年(翌年度)に治療が継続している場合、再度証明書類の提出を求めならければならないものではありません。

   問 出生サポート休暇の繰り越しはできるのでしょうか。

○ 出生サポート休暇は、5日(又は10日)の範囲内で使用できるものであり、あらかじめ付与されるものではないことから、仮に5日(又は10日)使用しなかった場合でも、翌年(翌年度)に繰り越されることはありません。

休暇の請求、承認、証明書類等

   問 出生サポート休暇の請求手続はどのようにしたらよいでしょうか。

○ 出生サポート休暇の承認を受けようとする職員は、あらかじめ休暇簿に記入して各省各庁の長に請求しなければなりません。
   ただし、例えば、週休日又は休日に医療機関を受診したところ、次回の受診日が急遽週休日又は休日の翌日となった場合など、やむを得ない事由によりあらかじめ請求できなかった場合には、その事由を付して事後において承認を求めることができます。

   問 休暇簿の「理由」欄はどのように書けば良いでしょうか。

○ 休暇簿の「理由」欄については、通称(「出生サポート休暇」)や根拠条文を用いて記載することも差し支えありません。「理由」欄の記載例は、以下のとおりです。
   例)
    ・ 出生サポート休暇に係る通院等のため
    ・ 規則15-14第22条第1項第5号の2に規定する通院等のため
      【常勤職員の場合の例】
    ・ 規則15-15第4条第1項第9号に規定する通院等のため
      【非常勤職員の場合の例】
    ※この例示のとおり記載しなければならないものではありません。

その他

   問 出生サポート休暇を新設した趣旨はどのようなものでしょうか。

○ 国家公務員の不妊治療と仕事の両立を支援するため、令和3年の人事院勧告時の報告及び意見の申出の説明において、常勤職員、非常勤職員ともに、出生サポート休暇を新設する旨を表明しました。
   不妊治療と仕事の両立については、令和3年1月から2月にかけて、一般職の国家公務員を対象としたアンケートを実施したところ、不妊治療と仕事の両立を支援する措置について、職員のニーズがあること等が確認でき、有識者からも、仕事を続けながら治療を受けることができる環境の整備が重要であるとの意見がありました。
   令和2年5月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」においては、不妊治療と仕事の両立のための職場環境整備を推進することが掲げられ、民間企業においては取組を促進するための各種施策が講じられております。また、不妊治療への保険適用拡大に向けた検討も進められているところです。
   こうした状況を踏まえれば、不妊治療を受けやすい職場環境の整備は社会全体の要請であり、公務においても不妊治療と仕事の両立を支援する必要性は高いと考えられます。このため、職員の出生サポート休暇を新たに設けることとしたものです。

   問 出生サポート休暇の期間を原則5日の範囲内とし、体外受精及び顕微授精に係る通院等の場合には、10日の範囲内とした理由はどのような理由でしょうか。

○ 不妊治療には様々な段階があり、一般的な流れとして、検査から始まり、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療では妊娠しない場合に体外受精や顕微授精を行うこととなります。
   厚生労働省「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」によると、月経周期(25~38日程度)毎の通院日数目安は、一般不妊治療の場合、女性で「診療時間1回1~2時間程度の通院が2日~6日」、生殖補助医療(体外受精・顕微授精)を行う場合、特に女性は頻繁な通院が必要とされ、女性で「診療時間1回1~3時間程度の通院が4日~10日、診療時間1回あたり半日~1日程度の通院が1日~2日」とされています。
   このように、不妊治療のうち検査や一般不妊治療については生殖補助医療と比較すると通院日数が少ないと考えられること、仕事との両立を支援する目的で設けられている他の休暇との均衡を図る必要があること等を踏まえ、休暇の期間を原則5日の範囲内とすることとしました。
   一方、体外受精や顕微授精を行う場合には、頻繁な通院を要することから、休暇の期間を10日の範囲内とすることとしました。

   問 出生サポート休暇と病気休暇のいずれの事由にも該当し得る場合、いずれの休暇とするかを請求者本人の判断で選択可能でしょうか。

○ どちらの事由にも該当する場合、請求者の判断により出生サポート休暇か病気休暇のどちらを請求するのか選択することができます。病気休暇(非常勤職員の場合は私傷病休暇)は、不妊治療のうち不妊の原因である疾病の治療(例:精管閉塞や子宮内膜症による癒着に対する手術療法)に係る場合等、病気休暇の事由に該当する場合に使用することができます。一方、疾病に起因しない不妊(例:原因不明不妊)の場合や疾病の治療ではない不妊治療(例:体外受精、顕微授精)に係る場合は、病気休暇の対象となりません。

   問 出生サポート休暇の対象となる非常勤職員はどのような職員でしょうか。また、対象職員であるか否かはいつの時点で判断するのでしょうか。

○ 出生サポート休暇の対象となる非常勤職員は、次の①、②のいずれも満たす職員です。また、対象職員であるか否かは、休暇の請求の時点で判断することとなります。
  ①勤務日が週3日以上又は年121日以上である職員
  ②6月以上の任期が定められている職員又は6月以上継続勤務している職員
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