石綿等有害物質に係る業務に従事した職員の離職後の健康管理について
(平成18年3月31日職職―98)
(人事院事務総局職員福祉局長発)
 
 標記について、人事院規則10―4(職員の保健及び安全保持)(以下「規則」という。)及び人事院規則10―4(職員の保健及び安全保持)の運用についての一部改正が行われ、特別健康管理手帳制度が新たに設けられましたが、その運用等に当たっては、下記の事項に留意してください。
 
 
1 特別健康管理手帳の導入の趣旨
  規則第26条に基づく健康管理手帳は、規則別表第2第1号若しくは第3号に掲げる業務又は規則別表第3第2号に掲げる業務に従事する職員がこれらの業務に従事しないこととなった場合に、当該職員の所属する各省各庁の長の申請に基づき交付している。
 現行の健康管理手帳は、職員が当該業務に従事していたことを証明するものであり、在職中の特別定期健康診断の円滑な実施に資するものであるが、医師が所見を適切に記入する書式としては適当でないため、離職後の健康管理には活用しにくいものとなっている。また、職員の健康管理の記録の保存期間は、現行、職員の離職後5年間であり、石綿等、離職後も長期間の経過観察を必要とする有害物質等の記録保存としては不十分である。
 今回の改正は、近年の社会における石綿による健康被害の状況にも鑑み、公務における有害物質に対する対応の充実を図ることとしたものである。具体的には、診察した医師が直接適切に所見を記入することができる書式の特別健康管理手帳を制定し、30年~40年という長期間の経過観察を必要とする石綿等の有害物質に係る健康管理について、職員が自ら長期的に対応できるように措置するとともに、特別健康管理手帳を交付した場合の申請書等を長期間保存し、もって職員の離職後も見据えた長期的な健康管理制度を構築することとしたものである。
 
2 交付対象及び要件
 (1) 特別健康管理手帳の交付対象者については、長期にわたる健康管理が必要な者として、民間と同様に労働安全衛生法施行令第23条に定める業務及び労働安全衛生規則第53条に定める要件に該当する職員を基本とするが、公務に存在が想定される業務に限定して規則別表第4の2に規定した。
 (2) 特別健康管理手帳の申請、交付については、職員の在職中の健康管理は、各省各庁の長が実施しており、職員が自ら健康管理を行う必要性が生じるのは離職後であることから、当該職員の離職時又は離職後に人事院が定める要件に該当した場合に、各省各庁の長が行うものとした。
  このうち、じん肺、ベリリウム、石綿については、単に当該業務に従事していたのみでなく、一定の要件に該当する場合に交付するため、申請に当たり、交付申請書に医師の所見及びエックス線写真等を添えて、人事院に提出するものとする。
 
3 交付を受ける者への支援等
 (1) 特別健康管理手帳の交付を受けた者の健康診断等の健康管理について、各省各庁の長は、健康診断の受診勧奨、必要な情報の提供等の適切な援助等を行うものとする。
 (2) 特別健康管理手帳の交付を受けた者の健康診断について、政府の「アスベスト問題に係る総合対策」中の「国民の健康相談等の対応」において、石綿関連作業に従事し退職した者への健康診断の実施が事業者に要請されていることに鑑み、各省各庁により無料での実施等の配慮を行うものとする。
 (3) じん肺、ベリリウム、石綿については、特別健康管理手帳の交付の要件に該当するまで長期間の注意深い経過観察を要し、この間適切な健康管理が必要であることから、交付要件に該当しない場合であっても、離職後の健康診断について各省各庁により無料での実施等の配慮を行うものとする。
 
4 申請書等の保存期間
  特別健康管理手帳の申請及び特別健康管理手帳交付後の健康管理等を適切に行うために、特別健康管理手帳の申請書等については、30年間(じん肺に係るものは7年間)保存するものとする。
(人事院規則1―34(人事管理文書の保存期間)の改正)
 
以   上
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