はじめに

人事院は、公務の民主的かつ能率的な運営を国民に対し保障するという国家公務員法の基本理念の下、人事行政の公正の確保と職員の利益の保護等その使命の達成に努めてきており、人事院勧告制度を始めとする公務員制度は、行政運営の基盤として重要な機能を果たしている。

令和5年8月の人事院勧告では、社会経済情勢や国際情勢が激変する中、国民の利益を守り世界最高水準の行政サービスを提供し活力ある社会を築くため、行政の経営管理力を高め、公務組織の各層に有為な人材を誘致し、育成することが不可欠であり、そのためにも、異なるバックグラウンド、キャリア意識、人生設計を持つ職員一人一人が躍動でき、Well-beingが実現される公務を目指すことを示した。現在、公務組織を支える人材の確保、職員の成長と組織パフォーマンスの向上、多様なワークスタイル・ライフスタイルの実現とWell-beingの土台となる環境整備について取組を進めている。

また、国家公務員の人材確保が危機的状況にある中で、優秀な人材を公務に誘致するためには、国家公務員の人事管理について、時代環境に即したものとするだけでなく、新たな時代を見据え、これまでの延長線上ではない、抜本的な構造改革に取り組む必要がある。そこで、公務員人事管理の在り方について聖域を設けることなく骨太かつ課題横断的な議論を行うため、各界有識者による会議(「人事行政諮問会議」)を令和5年9月から開催し、令和6年5月に中間報告をいただいた。

本年次報告書は、主として令和5年度における人事院の業務の状況をまとめたものであり、第1編は「人事行政」全般について、第2編は「国家公務員倫理審査会の業務」の状況について記述している。このうち第1編は2部からなり、第1部は、令和5年度における人事行政の主な動き並びに人事行政諮問会議の概要及び同会議による中間報告について記述している。次いで第2部では、令和5年度の人事院の業務状況について、各種資料を掲載して記述している。

本年次報告書により、人事行政及び公務員に対する理解が一層深まることを願うものである。

なお、人事院は、令和6年1月に、人事院の使命やあるべき姿、人事院職員が働く上での拠り所となる価値観を示す、ミッション・ビジョン・バリューを策定・公表した。今後、人事院職員一人一人がこれを踏まえ、人事行政に関する諸課題の解決に更に取り組んでまいりたい。

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