デジタル化が進展し、人材戦略の重要性が増大する新たな時代を見据え、優秀な人材を公務に誘致する上で不可欠である人材マネジメントのグランドデザイン構築が急務となっている。また、公務組織が現状のままでは、日本の国力や国際競争力、国際社会における存在感は更に低下してしまうおそれがあり、公務員人事の制度と運用を新たな時代にふさわしいものに変革していくことは、「未来への責任」とも言える。
人事院は、これまでも、国家公務員採用試験の前倒し、勤務間のインターバル確保の努力義務化、フレックスタイム制を活用した「勤務時間を割り振らない日」の対象職員の拡大等、異なるバックグラウンド、キャリア意識、人生設計を持つ職員一人一人が躍動でき、Well-beingが実現される公務を目指してきた。
しかし、現在の大きく変容する状況に対応し、公務が直面する国家公務員の志望者数減少、若年層職員の離職率の増加といった人材確保に係る危機的な状況を打破するためには、公務員人事管理全般について更に抜本的な方策を講ずる必要がある。
そこで、人事院は、令和5年8月の公務員人事管理に関する報告において、公務員人事管理の在り方について、聖域を設けることなく骨太かつ課題横断的な議論を行う各界有識者による会議を開催し、令和6 年に最終提言を得ること、その議論・提言を踏まえながら、公務員人事管理について抜本的なアップグレードを実行していくことを示した。
本稿は、当該有識者会議(「人事行政諮問会議」)における令和5年9月から令和6年4月末までの開催状況や同年5月に取りまとめられた中間報告について報告するものである。