2 勤務時間・休暇制度等に関する調査研究
(1)公務における勤務時間・休暇制度等運用状況調査
公務における勤務時間・休暇制度等の適正な運用を図るとともに、これら制度の検討に資するため、国の官署を対象に、勤務時間、休暇、育児休業等に関する諸項目について、その運用状況の調査を実施している。
令和5年度は、各地方事務局(所)において、42官署について調査し、各官署における勤務時間・休暇制度等の運用実態を把握するとともに、これら制度に関する意見・要望の聴取等を行った。
調査の結果、全体的にはおおむね良好に処理されていると認められたものの、一部に法規の理解不足等に起因する誤りが認められたので、その是正の確保を図るため、必要な指導を行った。
令和4年度までの調査結果については、誤りやすい事例や特に注意を要する不適正事例を各府省に示し、勤務時間・休暇制度等の適正な運用の徹底を図った。
また、第1部Ⅰ第1章第3節2(1)に記載した勤務時間調査・指導室が実施する勤務時間の管理等に関する調査も勤務時間・休暇制度等運用状況調査として実施している。
令和5年度に勤務時間調査・指導室が実施した調査では、対象となる職員ごとに客観的に記録された在庁時間と超過勤務時間を突合し、大きなかい離があればその理由を確認するなどして、客観的な記録を基礎とした超過勤務時間の適正な管理等について指導を行った。具体的には、本府省の19機関を調査するとともに、同室が地方の5官署を直接訪問する形式の調査を新たに実施し、合計で約1,200人の直近1月分の在庁時間と超過勤務時間のデータを突合した。その結果、超過勤務時間はおおむね適正に管理されていたものの、一部で超過勤務時間が適正に記録されていない事例があり必要な指導を行った。その後、該当府省において適切な対応がなされ、超過勤務手当の追給や返納などが行われた。さらに、他律部署・特例業務の範囲が必要最小限のものとなるよう指導を行ったほか、管理職員のマネジメントに関する助言等を行った。
(2)民間企業の勤務条件制度等調査
国家公務員の勤務条件の諸制度を検討するための基礎資料を得ることを目的として、毎年、「民間企業の勤務条件制度等調査」を行っている。
令和4年の調査は、全国に所在する企業規模50人以上の企業のうち、無作為に抽出した7,556社を対象として、令和4年10月1日現在における労働条件等の諸制度について調査を実施した。また、調査の回答は、全ての調査項目についてオンライン調査システムを利用した回答も可能とした。
本調査結果のうち、休暇制度に関するものについて見ると、季節的な休暇制度がある企業における休暇を使用できる時期は、夏季(7~9月)及び冬季(1月・12月)が多く、次いで6月・10月であった。この結果も踏まえ、夏季休暇の使用可能期間の見直し(第1部Ⅰ第1章第3 節1(1)ウ参照)を行った。