1 健康の保持増進
(1)心の健康づくり対策
近年、長期病休者のうち、心の健康の問題による長期病休者が6~7割を占める状況となっており、心の健康に関し、職員の状況に応じて、1次予防(健康不全の未然防止)、2次予防(健康不全の早期発見、早期対処)及び3次予防(職場復帰支援、再発防止)の各取組を推進していくことがますます重要となっている。
こうした状況を踏まえ、人事院としては、「職員の心の健康づくりのための指針」(平成16年勤務条件局長通知)に基づき、以下のような各府省における職員の心の健康づくり対策に重点的に取り組んできている。
ア 心の健康づくり研修の開催、職員の意識啓発のためのガイドブックの作成等、心の健康づくりの推進を図ってきている。令和5年度においては、6月に本院において、本府省の健康管理担当者等を対象とする「各府省意見交換会(メンタルヘルス対策)」を初めて実施し、心の健康の問題による長期病休者が増加する中でのメンタルヘルス対策について、各府省における実態や取組等を共有し、意見交換を行った。また、10月には、「国家公務員健康週間」の取組として、各府省における心の健康づくりの施策の効果的な実施を図ることを目的に、「心の健康づくり対策推進のための各府省連絡会議」を実施し、メンタルヘルス対策や職場環境改善、復職時の再発防止対策等について、各府省の取組状況等の共有を行った。さらに、メンタルヘルスに関するガイドブックやセルフケアに関する自習用教材を周知し、職員の意識啓発を図った。
イ 職員の心の不調を未然に防止することが重要であるとの認識に基づき、平成27年12月にストレスチェック制度を導入したところであり、各府省において実施されている。また、過度のストレスがなく、いきいきとした職場の実現を目指す職場環境改善について、平成28年11月に「「心の健康づくりのための職場環境改善」について」(平成28年職員福祉局長通知)を各府省に提示し、各府省のより積極的な取組を支援してきている。また、令和4年2月に人事院心の健康づくり指導委員会職場環境改善ワーキンググループにおいて取りまとめられた、「ストレスチェックにおける職場環境改善の取組について~職場環境改善とハラスメント予防について~」報告書を踏まえ、ストレスチェックを活用した職場環境改善の具体的な取組等について各府省へ周知し、各府省に更なる取組を求めている。令和5年度においては、職場環境の改善に当たり、改善策の検討及び実施を支援する者等を対象にしたファシリテータ研修を人事院の本院及び各地方事務局(所)(全国5か所)において実施した。
ウ 心の不調を早期に発見し早期に対処するための取組として、専門の医師等が対応し、各府省の職員、家族等が利用できる「こころの健康相談室」(全国10か所に設置)を開設している。令和5年度における相談件数は、合計290件であった。若年者や遠方に居住する職員が利用しやすい環境の整備を図るため、令和4年度から本院及び一部の地方事務局においてオンライン相談を導入し、令和5年度には全ての窓口にオンライン相談を拡充した。
エ 心の健康の問題による長期病休者の職場復帰及び再発防止に関して、専門の医師が相談に応じる「こころの健康にかかる職場復帰相談室」(全国10か所に設置)を開設している。令和5年度における相談件数は、合計152件であった。