第1編 人事行政

第2部 令和5年度業務状況

第8章 国際協力

第2節 国際協力・国際交流

4 開発途上国等に対する技術協力

行政の基盤である公務員制度を整備し、ガバナンスを向上させるという開発途上国が抱える共通課題を踏まえ、人事院は、独立行政法人国際協力機構(JICA)が主催する開発途上国の政府職員を対象とした研修の実施等に協力している。

(1)人事管理研修

各国の人事行政の改善に資することを目的とし、各国の中央人事行政機関等の上級幹部職員を対象とする「上級人事管理セミナー」と、課長補佐級職員を対象とする「人事行政セミナー」の2コースが実施されている。

いずれのコースも、我が国の人事行政について、その基本的な考え方や運用、新たな動向等を紹介するとともに、討議や各国との比較研究を通じ、各国の人事行政の実情に適合した人材マネジメントを参加者自らが考えることを内容としている。

各コースの実施状況は次のとおりである。

ア 上級人事管理セミナー

令和5年度は、10か国・地域から10人が来日し、約2週間にわたり実施された。

平成3年度の開始から令和5年度までの参加者は、合計71か国・地域299人である。

イ 人事行政セミナー

令和5年度は、12か国・地域から12人が来日し、約2週間にわたり実施された。

平成11年度の開始から令和5年度までの参加者は、合計76か国・地域256人である。

(2)上級国家行政セミナー

各国の中央政府機関の上級幹部職員を対象に、我が国のガバナンスと社会経済の発展の経緯を紹介しつつ、様々な政策課題についての討議等を通じて、各国の社会経済の発展に資する行政の在り方を考える研修である。

令和5年度は、14か国から14人が来日し、約3 週間にわたり実施された。昭和61年度の開始から令和5年度までの参加者は、合計83か国・地域384人である。

(3)ベトナム政府への支援

公務員採用試験の多肢選択式試験問題に思考力を問うものを取り入れるベトナム政府の取組に対し、JICAの技術協力プロジェクトを通じて、人事院は協力・支援を行っている。令和5年度には、取組を主導する同国内務省の職員等10人の訪日研修の際に、試験問題作成等に関する講義、採用試験会場の運営準備の視察を行った。

5 マンスフィールド研修

米国国務省は、マイク・マンスフィールド・フェローシップ法(1994年4月成立)に基づき、我が国に対する深い理解を持つ同国政府職員の育成を図るための研修(マンスフィールド研修)を行っている。

人事院は、外務省と協力して、研修員の各府省等への受入れの協議・調整、オリエンテーション、調査見学等を企画・実施している。

令和5年度は第27期研修員10人が来日し、10か月間の予定で日本の政府機関等での実務研修に参加している。

6 外国からの調査訪問対応

我が国の公務における人事管理、人材育成等についての実態の把握等のため、令和5年度は、カナダ、中国、インドネシア、韓国、ノルウェー、シンガポール、台湾、ベトナムの8か国・地域と国連訓練調査研究所(UNITAR)から合計15回にわたり外国政府職員等が来訪した。

これら訪問者に対しては、それぞれの国・地域における人事行政等の現状や訪問者個々の問題意識に応じて我が国の公務員制度やその運用実態等について説明等を行うとともに、意見交換を行った。

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