(2)有識者からの意見聴取の実施
倫理審査会では、各界の有識者から、国家公務員の倫理保持の状況や倫理保持のための施策、これからの官民連携と倫理保持の在り方などについての意見聴取を行っている。令和5年度においては、弁護士、民間企業コンプライアンス担当役員から個別に意見を聴取した。
〈有識者からの主な意見等〉
(1)主な意見
- ・ 倫理保持というと自らを縛る方向での意識付けになってしまいがちであるが、自らを守る術であるという意識改革が必要。そのような意識がないと巻き込まれもするし、足をすくわれることにもなりかねない。基本的には公務員が常識に照らして対応すれば問題は生じないということを理解する必要がある。
- ・ 人はミスをするものであり、それをいかに早く検知できるか、また、ミスしたことについて声を上げやすい雰囲気が醸成されているかが重要である。ミスが小さな段階で声を上げることができる職場であれば、処分にまで至らないケースもあるし、不祥事を未然に防止することにも繋がる。
- ・ 各府省において、どの部署、どの地域に不祥事が発生するリスクが存在しているかについて、リスク分析することが重要である。職員アンケートの結果によると、不祥事の原因として個人の資質を挙げる人が多いようであるが、それが許されている雰囲気や看過されるような組織運営が行われているということを表すものであるため、必要に応じて結果を深掘りする必要がある。
- ・ 国家公務員倫理に関する理解促進については、非常に多岐にわたる手法で内外に働きかけがなされていると評価している。一つ、地方における業界に対する浸透策は課題であると思っており、各種団体と意見交換する中でお互いに知恵を出して取り組むことが有効ではないか。
(2)民間企業の取組状況の具体例
- ・ 社外有識者、労働組合の代表者、社内委員などで構成される取締役会の諮問機関を設置しており、毎年、当該諮問機関が企業倫理に関する提言を作成し、提言に基づき全社的な取組を行っている。
- ・ 通報相談窓口への連絡は、法令違反や社内規定違反に限らず、相談レベルのものであってもぜひ活用するように、ハードルを上げないようにして社内に周知している。外部の通報相談窓口を設置するだけでは活用されないため、全従業員に携行カードと詳細版の案内冊子を配布している。
- ・ 企業倫理に関する社内指針を進歩させるための活動として、年10回のグループ活動を行っている。グループ活動では、役員、従業員のほか、非正規従業員や派遣社員も含めて全員が参加し、立場を超えてグループとなり、全社統一のテーマでミーティングを行うこととしている。職場でのコミュニケーションの円滑化、コンプライアンスマインドの醸成を図る場として継続して実施している。
- ・ 過去の不祥事を風化させないための活動として、年2回、うち1回は再発防止に向けた様々なテーマでの活動、もう1回は前向きなテーマとして、社会課題解決に向けてというテーマで講演会などを実施しており、企業倫理を「自分事」として考えるための機会としている。
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