第28回(平成27年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

財務省

門司税関 厳原税関支署

 国境の離島である対馬において、限られた人員で多数の入国旅客者の旅具通関業務に当たり、盗難被害に遭った市指定有形文化財である仏像等を発見・摘発するなど、文化財の国外流出阻止に貢献したことが認められました

 
 
 

☆厳原税関支署ではどのような業務を行っているのでしょうか。また、国境の離島である対馬での業務にはどのような特徴があるのでしょうか。
 厳原税関支署は、明治16年、長崎県の対馬に厳原長崎税関出張所として設置されて以来、130有余年の歴史を有する税関官署で、壱岐も含めた二つの離島を管轄しています。
 対馬は、朝鮮半島から僅か50キロメートルに位置する国境の島であり、厳原税関支署では、入出国者への旅具通関業務のほか、主に韓国を貿易相手国とする輸出入貨物の通関業務、銃器や覚醒剤を始めとする不正薬物等の社会悪物品の密輸入を水際で阻止するための監視取締業務などを行っています。
 近年においては、対馬は韓国人の人気旅行先として入出国者が激増しているため、旅具通関業務の比重が高くなっていることが特徴の一つです。

☆入出国者が激増しているとのことですが、限られた職員で多数の税関業務に当たられる上での御苦労などをお聞かせください。
 平成11年7月、韓国釜山港と島内南部に位置する厳原港との間で高速旅客船が就航したのを皮切りに、現在では厳原港に週10便、島内北部の比田勝港に週17便の合計週27便の定期旅客船が就航し、平成26年の入出国旅客数は約40万人で、海上旅客の入出国者数としては博多港に次いで全国第2位となっています。
 また、厳原税関支署の所在する厳原港と比田勝港は、陸路で92キロメートル離れており、職員は両港の旅具通関業務に対応するため、見通しの悪い区間や場所によっては離合もできない山岳道路を片道約2時間運転して移動し、比田勝港における旅具通関業務に当たっています。
 加えて、土・日曜日を含め、厳原港と比田勝港の両港で同時刻に定期旅客船が入港し、両港で旅具通関業務に対応する必要もあるため、支署長以下、限られた職員で365日対応のシフト勤務体制を執り、国民の安全・安心を水際で守ることに専心しています。

☆盗難被害に遭った市指定有形文化財を手荷物検査で発見・摘発されたことも受賞理由に挙げられていますが、日々の税関業務ではどのようなことに留意されているのでしょうか。
 少人数かつシフト勤務を行っているため、全ての職員が旅具通関業務のほか、監視取締業務、輸出入通関業務等の税関業務全般に精通する必要があり、幅広い知識と業務遂行能力が要求されます。そのために、業務や語学等の研修を通じて職員のスキルアップを図りながら、交替時の引継ぎミスがないように職員間のコミュニケーションも大事にしています。
 また、関係機関との協力体制も重要です。盗難仏像等の摘発では、市指定有形文化財の国外流出を阻止できましたが、日頃から関係機関との連携を強化し、地域の信頼関係の構築に努めたことが実を結んだと思います。

☆入出国旅客数は今後も増えていくと思われますが、税関業務の今後の課題や見通しについてお聞かせください。
 対馬は、韓国人にとって格安で海外旅行ができる人気のスポットであり、日帰り観光や魚釣り等のほか、免税品の購入を目的とする旅行者は今後もますます増えていくことが見込まれます。
 税関においては、入出国旅客に対する迅速かつ適正な旅具通関の確保と社会悪物品等に対する水際での密輸阻止を両立することが求められています。厳原税関支署では、限られた職員で急増する入出国旅客に対応するため、より一層効率的かつ効果的な旅具通関業務等を行っていく必要があると考えています。

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。
 繰り返しになりますが、国民の安全・安心の確保につながる水際取締りは私ども税関の重要な使命であり、国民の皆様の期待に応えるため、支署職員が一丸となって最大限の努力を行ってまいりたいと考えています。
 また、国民の皆様には、地元の小中学校等の薬物乱用防止講演でも申し上げていますが、国民の安全・安心を脅かす危険ドラッグも含めた不正薬物に絶対に手を出さないという意識と断わる勇気を持っていただくとともに、密輸出入に関する税関への情報提供について御協力をよろしくお願いします。

▲摘発された仏像及び経典

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