第29回(平成28年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

林野庁 中部森林管理局計画保全部治山課
、木曽森林管理署、南木曽支署

 平成26年7月の長野県梨子沢での土砂災害、同年9月の御嶽山の火山災害に際し、被災状況の確認、監視カメラ、雨量計の設置及び治山ダムの設置・補修を行うなど、二次災害の防止や地域住民の安全・安心の確保に大きく貢献したことが認められました。

 
 

☆始めに、中部森林管理局や森林管理署などではどのような業務を行っているのでしょうか。
 中部森林管理局は、富山県、長野県、岐阜県、愛知県内の国有林65万haを所管しており、その適切な管理経営を通じて、森林のもつ国土保全等の公益的機能の高度発揮、林業の成長産業化への貢献、山村地域の振興、森林の総合利用を図っています。
 特に、木曽地方の天然木曽ヒノキは全国的に有名で、貴重な森林の計画的な育成と利用を図り、森林・林業の発展に取り組んでいます。

☆平成26年7月に長野県南木曽町の梨子沢で土砂災害が、同年9月に長野・岐阜県境の御嶽山で火山災害が発生しました。これらの災害に対して、中部森林管理局、木曽森林管理署、南木曽支署の各官署が総力を挙げて対応に当たられた中で、特に苦労された点や注意された点をお聞かせください。
 両災害とも中部森林管理局内に災害対策本部を直ちに設置し、連絡調整のため被災自治体や政府現地対策本部へ職員を派遣しました。ヘリコプターにより上空から被災状況の把握をまず行った上で、徒歩により現地調査に入りました。急峻な地形と不安定な巨石が残る中で、安全に十分配慮しつつ、土石流発生現場の状況をできる限り早く関係機関等へ提供できるよう努めました。また、森林総合研究所の研究者らとともに、応急対策方針の早期決定などに取り組みました。

☆二次災害が発生する危険のある中で、調査や治山ダムの建設を行ったとのことですが、どのような状況下でどのような作業を行われたのかお聞かせください。
 地元住民などから二次災害を防ぐ緊急対策を強く要請されました。
 このため、私たちは、国土交通省や長野県などと連携し応急対策を実施することとしたのですが、例えば、梨子沢は土石流が再び発生するおそれのある狭い谷筋です。同時に幾つもの調査や工事を行わざるを得ないため、関係機関等からなる「安全協議会」を組織して対応しました。工事車両の通行管理や地元住民の安全・環境対策などを協議し、地域の方々が一刻も早く元の生活が取り戻せるよう努めました。

☆また、危険が伴う状況において作業に当たられるなど、職員の方々の御苦労は大変なものであったと思われますが、特に印象に残ったことなどがあればお聞かせください。
 御嶽山では噴火後に噴火警戒レベルが3に上がり、被災区域に立ち入ることができなくなりました。このため、土石流発生のおそれのある渓流に監視カメラを設置して、地元の役場内でモニターできるようにしました。さらに、既設治山ダムの上流の土石を取り除き、土石流が発生した場合の被害を抑制できるようにしました。
 このような緊急対策について、地元の方々から感謝の言葉をいただいたときには、苦労が報われた気持ちになり、一層身が引き締まる思いです。

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。
 地球温暖化に伴う気候変動により大雨の発生頻度が増加すると指摘されており、今後、山地における災害の発生リスクが一層高まることが懸念されます。林野庁では総合的な治山対策により「緑の国土強靭化」を推進していますが、山地災害から自らを守るため、国民の皆様一人一人が危険な箇所を把握し、適切に行動することが重要です。避難経路の確認など日頃から防災意識を高めていただくようお願いします。

▲研究者等との応急対策の検討状況

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