第30回(平成29年)

 

 

平成とともに歩んできた人事院総裁賞

 

 
 東京大学(情報学環・生産技術研究所)教授
 大島 まり  氏

 

 

このたび平成29年度の人事院総裁賞が発表され、個人部門は1名、そして職域部門では4グループに贈られることになりました。受賞者そしてグループの皆様方へ、心よりお祝い申し上げます。
 人事院総裁賞は、多年にわたり、国民全体の奉仕者としての強い自覚の下に職務に精励し、国民の公務に対する信頼を高めることに寄与した功績に対して、厳選な選考および審査を経て選ばれた職員又は職域グループに贈られます。そして、受賞者および代表者は授与式の後は、皇居において天皇皇后両陛下に御接見を賜ります、大変名誉ある賞と言えます。私自身、総裁賞の委員として参加することになり幾年か経ますが、毎回の選考のたびに、日々、公務の職に励み精進している方々の一端にふれることができ、心が洗われる思いを感じるとともに、励まされます。
 
平成29年度の個人部門は、独立行政法人造幣局事業部装金課技能長 上田稔様が受賞されました。長年にわたり、美麗かつ品格を兼ね備えた勲章、褒章および金属工芸品などの製造に貢献するとともに、築き上げられてきた卓越した知識と技能を伝承するために積極的に後進の育成に努めてこられた功績に対して受賞されました。一方、職域部門では、総務省行政管理局オフィス改革実行チーム、法務省東京保護観察所社会復帰調整官室、財務省税関研修所研修・研究部国際研修課及び教官、そして、気象庁観測部観測課気象測器検定試験センターの4グループが受賞されました。私たち国民が、安全で安心な生活を日々過ごすことができるために、それぞれの任務にチームとして取り組み、貢献されてきました。また、このたびは、オフィス改革など、世相を反映した、今まであまり取り上げてこられなかった職域が着目されました。企業とは異なる、公務員として取り組むべき仕事の重要さを一般の国民として再認識する良い機会になると思います。
 今回の人事院総裁賞は30回を迎えました。奇しくも、来年4月30日には今上天皇が退位されることから、今年が「平成」元号の最後の年となります。その観点から、本賞は平成とともに歩んできた賞と言えるのではないでしょうか。平成元年から30年が経ち、その間、日本はバブル経済とその崩壊、そして長きにわたる不況からリーマンショックと、様々な歴史的出来事を経験してきました。社会的に変化が激しい中で、たゆみなく仕事を続け、全うしていくことは容易なことではなく、忍耐、および努力が要されます。多くの公務員の方々が、縁の下の力持ちとして日本を支え、また後世に継承してことに貢献していらっしゃいます。その方々の中から代表となる人々を選び、表彰することは、表彰される方々だけでなく、私たち国民にとっても大事なことです。
 平成とともに歩んできた人事院総裁賞の精神を、今後も引き継いでいただきたいと、切に願っています。

(人事院総裁賞選考委員会委員)

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