第31回(平成30年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

国税庁 沖縄国税事務所 間税課 主任鑑定官

  沖縄県の伝統的銘酒である泡盛の品質改善や製造技術の向上を図るための技術指導等に積極的に取り組み、泡盛業界の発展に大きく貢献するとともに、泡盛の伝統的熟成技法の継承に資する活動等に参画し文化的側面からも大きく貢献したことが認められました。

 
 
 
 

☆始めに、沖縄国税事務所間税課主任鑑定官ではどのような業務を行っているのでしょうか。

主任鑑定官は、間接国税の適正かつ公平な賦課の実現を図るとともに、酒類製造者の技術基盤の向上を図るための施策を実施しています。
 特に沖縄県の伝統的銘酒である「泡盛」については、重要な地場産品でもあるため、本土復帰時から重点的に取り組んでおり、泡盛製造者が抱える技術的課題を解決するための指導相談や、製造者から出品された古酒などの審査を通じて品質向上を図る泡盛鑑評会を継続的に行ってきました。
 近年では、泡盛の香味の「見える化」を図るため、泡盛フレーバーホイールを作成して普及を図っているほか、沖縄の伝統的な古酒貯蔵方法である「仕次ぎ」のコンクールを開催するなど、従来にない方向からの取組を行っています。

 

☆沖縄県の伝統的銘酒である「泡盛」の製造技術の向上等に資する取組において、苦労された点や留意されている点をお聞かせください。

本土復帰当時は、品質改善のための技術指導が急務であり、初代鑑定官は各製造場を熱心に回り、雑菌汚染を抑えるため自ら清掃用具を持参して衛生環境の改善を指導したと聞いています。
 このような親身な取組により各製造場との信頼関係が築かれ、以後、代々の鑑定官の技術指導が受け入れられて品質向上が図られてきたことから、今後も製造者等との信頼関係を大事に業務に取り組んでいきたいと考えています。

 

☆泡盛の伝統的熟成技法である「仕次ぎ」について、文化的側面から貢献されたとのことですが、どのような点について貢献されたのでしょうか。また、苦労された点などありましたらお聞かせください。

世界的に見ても極めて稀な酒類の貯蔵方法である「仕次ぎ」により、戦前は100年を超えて貯蔵された泡盛が存在していたと言われていますが、そうした泡盛古酒や仕次ぎの詳細な方法は戦禍によりほぼ失われてしまいました。戦後、泡盛愛好家らの手で地道に復活への活動が続けられていますが、現在、泡盛製造者の間ではほとんど継承されておらず、また、この貯蔵方法が泡盛の香味に与える影響も十分に解明されていません。そこで、泡盛仕次古酒・秘蔵酒コンクールを開催し、官能評価(きき酒)及び理化学分析によりその香味の特徴を解析するとともに、その結果を踏まえて仕次ぎ文化の発展・継承に資する講演会を開催しました。
 これまで接点がなかった一般の泡盛愛好家からの出品を求めることに苦労はありましたが、コンクールの開催により、失われかけた「仕次ぎ」文化に世間の耳目を集め、仕次ぎの再評価に貢献したとして、多くの方から賞賛の声を頂きました。

 

☆ 業務を通じてやりがいを感じられるのは、どのようなことでしょうか。

主任鑑定官は、高い専門性をいかして酒類の技術的側面から業務に従事していますが、その成果が単に技術面にとどまらず、酒類が文化伝統的な価値を高め、酒類業の健全な発達を促進し、ひいては国民生活の豊かさに結びついていくことにやりがいを感じています。
 また、製造者からの相談対応などで技術的な課題の解決に結びついた際には、直接、関係者と共に喜びを分かち合える充実感があります。

 

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。

日本には、古くから清酒、焼酎・泡盛など、各地に伝統的銘酒が存在し、近年では日本らしさを持ったワイン・ビール・ウイスキーなども盛んに製造され、広く親しまれています。
 また、これらは世界でも評価されつつあるところです。
 今後とも地域の伝統的銘酒を含めて多様な酒類を一層楽しんでいただけるよう、日本産酒類の発展のため技術面から業務に取り組んでまいります。国民の皆様には、是非、全国各地のお酒を知っていただき、適正飲酒の範囲内で楽しんでいただきましたら幸甚です。

 
▲泡盛の臨場技術相談の様子(もろみ)
 
▲泡盛の臨場技術相談の様子(蒸留機)
 
▲泡盛の臨場技術相談の様子(瓶貯蔵)
 
 
 
 

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