第31回(平成30年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

農林水産省 九州農政局

  平成28年の熊本地震、平成29年の九州北部豪雨と2年連続で未曾有の自然災害に見舞われる中、被災地域の営農再開に向けて各種取組を行ったほか、速やかな復旧・復興を目指す自治体への直接的な支援を迅速に行うなど、被災地域の復旧・復興に大きく貢献したことが認められました。

 
 
 
 

☆始めに、九州農政局ではどのような業務を行っているのでしょうか。

九州は、温暖な気候や多様な地勢をいかした園芸や畜産が盛んな地域で、我が国の基幹作物である水田での米・麦・大豆のほか、バラエティ豊かな農業を展開しています。このような地域において、九州七県の食の安全と消費者の信頼確保、食料の安定供給、農業の持続的発展、農村地域の振興といった農政推進の役目を担っており、消費者・生産者の皆様はもとより地方自治体等とも連携しながら九州農業の一層の推進に取り組んでいます。

 

☆平成28年4月の熊本地震、平成29年7月の九州北部豪雨の災害時において、九州農政局はどのような役割を担っていたのでしょうか。

両災害とも局内に災害対策本部を直ちに設置し、本局との連絡調整のため職員を政府現地災害対策本部(九州北部豪雨においては政府現地連絡調整室)に派遣しました。
 被災地域については、早急に営農再開の道筋をつけるため、損壊した農地・農業用施設等の被害状況の把握、営農再開に向けた復旧技術等について支援を行いました。
 熊本地震では、県管理農地海岸も被災し、熊本県知事の要請を受け直轄代行により、七海岸を復旧させることとなり、被災2箇月後の6月には緊急応急工事に着手しました。
 さらに、罹災証明の発行に必要な住家被害認定調査の現地作業、市町村の窓口業務支援、食料等支援物資の搬入・搬出作業、避難所における炊き出しに延べ約590名、九州北部豪雨では、営農再開支援業務、災害査定等に延べ約202名の農政局職員を派遣しました。

 

☆これらの災害において農業経営の生産基盤である農地・農業用施設等に甚大な被害をもたらしましたが、どのような対応を行ったのでしょうか。また、対応に当たって、苦労された点や留意されている点などがありましたらお聞かせください。

熊本地震では、発生が4月の中旬で、代掻き・田植えまでの期間が短かったことから、速やかな営農再開を目指し査定前着工という仕組みを使い、災害査定が終わらなくても応急的な復旧を進めました。被害を受けた約12,000ヘクタールのうち、大きな地割れがあり作付け不能な100~200ヘクタールを除いた大半の農地で営農を再開しました。九州北部豪雨では、甚大な被害を受けた福岡県朝倉市の堀川用水(国内最古の三連水車)の早期復旧のため被害状況を調査し、地元団体とともに堆積した土砂・流木等の除去を行い、被災から約一箇月で水を送ることができました。かんがい期を迎えた地域農業のシンボルである三連水車が動き出したことで地元から喜ばれました。

 

☆被災地域においては、今もなお復旧・復興に向けて御苦労されていると思いますが、農業経営の支援に際してどのような対応をされているのでしょうか。

熊本地震においては、被災農業者に支援内容を早期に広く周知するため、テレビ放送の画面テロップにより支援対策を掲載していただきました。農業者の方々から、畜舎や農業用ハウスの再建、修繕等、営農再開に向けた幅広い支援項目に対し、約200件の問合せが寄せられ、丁寧な対応を行ってきました。
 また、創造的復興ということで、被災した農地の一部については、単純に元に戻すのではなく大区画化し、よりよい農地にしていくという取組を進めています。
 九州北部豪雨においては、速やかな経営再開、農地等の早期復旧等に向けた支援対策について、地方自治体等関係団体を対象に説明会を開催し、周知を行うとともに、各種支援策についても関係団体と営農再開に向け協議を重ねました。

 

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。

九州では、今まで述べました災害のほかにも自然災害が発生しています。これは九州だけに限らず、全国的に見ても自然災害が多くなっている傾向にあるのではないでしょうか。そのため、今まで以上に国民一人一人が防災意識を高め、災害に備える必要があります。
 九州農政局は引き続き、地方自治体等と連携しながら、農業者の方々に寄り添い、単なる復旧にとどまらない創造的復興にも資するよう全力で支援を行い九州農業の発展に向けて取り組んでまいります。

 
▲泡熊本地震後、ヘリ積み込み作業
 
▲九州北部豪雨三連水車除去作業
 
▲九州北部豪雨ビニールハウス倒壊
 
 
 

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