第33回(令和2年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞
 
法務省 福岡保護観察所 北九州支部 北九州自立更生促進センター
 
 民間では受け入れ困難な刑務所出所者を24時間365日体制で多く受け入れ、独自のプログラムによる薬物依存・問題飲酒等の指導や就労支援を実施し、入所者の社会復帰・再犯防止に尽力するなど、公務の信頼を高めることに大きく貢献したことが認められました。


                        
 
☆はじめに、法務省福岡保護観察所北九州支部北九州自立更生促進センターではどのような業務を行っているのでしょうか。
 北九州自立更生促進センターは、平成二一年六月北九州市小倉北区西港町の海沿いに開所しました。罪を犯し刑務所に収容される多くの人は、出所して親族等のもとに戻り、社会生活を再スタートしますが、中には受刑を繰り返す中で親族や知人等との関係が切れたため、出所後の住居確保が困難である人、あるいは犯罪の背景に薬物依存、アルコール依存等を抱えているため、社会復帰後に問題に応じた回復訓練が必要な人がいます。当センターではこのような問題を抱えている人を一定期間入所させ、保護観察官による濃密な指導監督、補導援護を行うとともに、民間の依存症回復訓練施設と連携しながら、薬物、アルコール、ギャンブルなどの依存症問題に対する支援を行っています。加えて、当センター退所後も安定した生活を維持するための第一歩として、民間の協力雇用主の協力を得て強力な就労支援を行うなど、保護観察対象者の自立と再犯防止を図るために日々の業務を行っています。
 
 ☆日本初の自立更生促進センターとして平成二一年六月に開所されて以来、就労支援や薬物依存に対応した指導等に御尽力されていますが、日々の業務の中で、特に御苦労の多い点や御留意されている点をお聞かせください。
 当センターでは、ほとんどの入所者が過去に何らかの依存に関連した問題行動を起こしているため、入所後から一か月間は、午前、午後、夜間に依存回復訓練を行います。そして、入所後一か月が経過する頃から、就労と依存回復訓練を両立させた生活になります。彼らの中には、もともと人間関係や生活の変化を苦手としている者が多く、この切り替えが大きなストレスとなります。そのため、職員は、彼らからの不満や不安に対して敏感にアンテナを張り巡らせ、心情把握に努めています。彼らに対する声掛けにおいても言葉を選びながら一語一語丁寧に語り掛けています。私たちは、保護観察官と保護観察対象者という関係ですが、人間と人間の心の通った関係形成に努めています。
 
☆地域住民や関係者の理解を得るために、実施している活動があればお聞かせください。
 当センターは、受刑中から出所後の生活環境を整え、保護観察期間中に彼らに対して指導監督を行います。しかし、再犯防止の観点からは保護観察期間が終了した後も、彼らが地域内で健全な生活を維持するために様々な機関との関わりを持つことが重要になります。その中で、地域内で彼らが頑張っている姿を確認したときや、退所後に、センターに元気な顔を見せに来てくれた時に、本当にこの仕事のやりがいを感じます。また、日々の生活の中で、彼らの気持ちに変化が生じ、行動が少しずつ変化していく過程に彼らと関わることができることに喜びややりがいを感じます。
 
☆今後の業務への抱負をお聞かせください。
 地域の方々に育てていただいた当センターは、昨年、開所一〇周年が経過し、新たな再犯防止策を模索する時期へと歩みを進めています。依存回復支援施設としての機能強化や地域に根ざした施設として様々なことにチャレンジしていきたいと考えています。
 
☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。
  今回の受賞に際し、まずは開所以来当センターを支えて下さっている日明校区をはじめとする地域の皆様、更生保護関係団体等の方々に対しまして改めて深く感謝申し上げます。今回の受賞を契機として、今後、更に入所者の自立した生活の構築、再犯防止に最大限に尽力し、犯罪のない安全・安心な社会づくりに貢献していく所存です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。



                               
                                 
 ▲料理教室の様子

              
回復訓練ミーティングの様子  (天気の良い日は野外)(イメージ)



                               
                                 
 ▲玄関付近の花壇(関係団体寄贈)
                       

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