第34回(令和3年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

法務省 愛光女子学園 教育・支援部門

  日本最初の国立女子少年院として設置され、以降70年以上の長きにわたり、女子少年の矯正教育に尽力し、多くの課題を抱える女子少年に対して、職務に対する情熱と使命感を持ち、矯正教育に取り組み続けるなどし、公務の信頼を高めることに貢献したことが認められました。

 
 
 
 

☆はじめに、愛光女子学園教育・支援部門ではどのような業務を行っているのでしょうか。

愛光女子学園は、昭和二四年一月に、現在地である東京都狛江市に設置され、主に関東甲信越及び静岡の家庭裁判所で保護処分として第一種少年院送致決定を受けた、おおむね十二歳から二〇歳までの女子少年を収容する法務省所管の施設です。教育・支援部門は、在院者の特性に応じた適切な矯正教育その他の健全な育成に資する処遇を行うことにより、改善更生と円滑な社会復帰支援を図っています。少年が自立した社会の一員として生きていくために必要なことを学ぶ「アイスタ(愛光スタディ)」等職員の創意工夫にあふれた矯正教育を行っています。

 

☆日本最初の国立女子少年院として設置され、以後七〇年以上の長きにわたり女子少年の矯正教育に御尽力されておりますが、日々の業務の中で、特に御苦労の多い点や御留意されている点をお聞かせください。

女子少年院であることから女性職員が多く働いており、二四時間体制で少年の処遇に当たるために当直勤務を交替で行う必要があり、「仕事と家庭の両立」に苦労しながら勤務している職員もいます。また、被虐待経験、性被害経験、愛着の問題、発達上の特性等により不適切な行動を表出させ、それらが非行の一因となっていたり、大人への不信感が強く、適切な対人関係が築けなかったりする少年もおり、働き掛けに対して心ない言葉を投げ返され心身をすり減らすことも少なくなく、日頃少年たちと接する中ではそのような少年の行動の特性を理解し、専門性を持って丁寧かつ根気強く指導することが必要です。

 

☆業務を通じてやりがいを感じられるのは、どのようなことでしょうか。

少年が変化して、成長していく姿を目の当たりにできることです。少年に自発的な変化を促す働き掛けを日々行っていますが、少年自身が「変わりたい」、「変わらなければ」と自覚し始め自ら行動を変容させていく過程や、少年たちが本来であれば経験するはずであった様々なイベントを一緒に過ごす「育て直し」の時間は非常に貴重だと思っています。また、出院後に、少年院での経験を基に頑張っている様子を手紙で知らせてくれる少年もおり、少年院で過ごした時間や職員の言葉が少年の心の中に支えとして残り、社会の一員として生活していることはとても嬉しいです。

 

☆今後の業務への抱負をお聞かせください。

入院する少年は減っていますが、一方で、社会での生きづらさを抱えて非行等の問題行動により少年院に入院する少年たちはいます。少年院を出院してからが本当の「本番」だとよく少年たちには言っていますが、出院後に再犯・再非行に至らないようにするには、社会内に「受け皿」があることが重要です。少年たちに「居場所」と「出番」を作ること、そのために在院中から関係機関と連携し、出院後の支援体制をより強化するための「つながり」を構築するために今後もまい進し続けたいです。

 

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。

七〇年以上にわたり地域や関係者の方々に支えられて参りましたことに重ねて感謝いたします。女子少年院の少年たちは、過酷な人生を送ってきている者が少なくありませんが、今後、さらに、少年たちが自己の非行にしっかりと向き合い、出院後に社会の一員として自立して生きていくために、再犯防止に資するよう必要な支援を行うことに尽力し続け、犯罪のない安心・安全な社会づくりに貢献できるよう、法務教官としての職務に誇りを持ち続けて少年矯正に取り組んで参ります。

 
▲アイスタ授業風景
 
▲少年の居室の様子
 
▲入院する少年が作成した手芸科作品
 
 
 
 

-総裁賞受賞者一覧に戻る-

 

Back to top