第34回(令和3年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

厚生労働省 成田空港検疫所、関西空港検疫所、東京検疫所、横浜検疫所

  新型コロナウイルス感染症が発生して以来、国内への新型コロナウイルスの流入及び国内での感染拡大を防止するため、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客等への検疫を始めとして、検疫所職員一丸となって水際対策を実施し、国民の健康と安全の確保に大きく貢献したことが認められました。

 
 
 
 

☆はじめに、検疫所ではどのような業務を行っているのでしょうか。

検疫所の業務は、検疫法に基づく検疫業務及び港湾衛生業務と食品衛生法に基づく輸入食品の監視・指導業務に大別されます。このうち、検疫業務は、我が国に常在しない感染症(検疫感染症及びその他国民の健康上重大な影響を及ぼす感染症)の病原体が海外から国内に侵入することを防止するため、海外より来航する船舶、航空機及びその乗組員、乗客に対して検疫を行うとともに、患者を発見した場合には、隔離、停留及び消毒等の防疫措置を講じるものです。昨今、世界的な拡がりを見せている新型コロナウイルス感染症の流行状況を踏まえ、国民の健康と安全を守るため水際対策強化を行っております。

 

☆新型コロナウイルス感染症が発生して以来、国内への新型コロナウイルスの流入及び国内での感染拡大を防止するため、検疫所職員一丸となって水際対策を進められておりますが、業務の中で、特に御苦労の多かった点や御留意されていた点をお聞かせください。

検疫所においては、毎年新型インフルエンザ等を想定しての訓練を実施してきましたが、新型コロナウイルス感染症ではこれまで経験したことがない規模の検疫を行うことになりました。発生初期には大型クルーズ船の全員検査がありました。その後も、空港の大半を使用しての全員検査や、指定国・地域からの入国者を一定期間、施設待機させるなど、これまでに経験したことのない事態の連続で、検疫所としても模索の続く日々でした。
 また、新型コロナウイルスの変異株が発生した際は、急遽水際対策強化を行うこととなり、入国者が機内で初めて情報を知ることもあり、納得されない入国者も発生するため、そのような方には、検疫官が一人一人に丁寧な対応を心がけております。

 

☆業務を通じてやりがいを感じられるのは、どのようなことでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の変異株が発生した際は、病原性や強毒性が未知であるため、国内でのまん延をできるだけ遅らせ、その間に医療体制等の整備のための時間を確保することが、水際対策の基本方針とされております。対応する部署により異なりますが、現場の検疫所の職員は、国民の健康と安全を守るため、ウイルスの流入を防ぐことを目的としております。このため、検疫の仕事によって国内への流入防止につながったときには大きなやりがいを感じています。具体的には、水際での初めてのウイルス確認や変異株等の第一例目を発見できたとき、また、発生初期の頃に遺伝子解析により検疫所で検出された株について国内での拡散を食い止められていた報告があった際は、やりがいを感じました。これに加えて、水際措置に納得されない入国者の方へ丁寧に時間をかけて措置についての説明をし理解を求め、最終的に納得し措置に応じていただいたとき、さらに待機施設や療養施設から退所される待機者、療養者の方々から労いや感謝の言葉を頂いた時にも業務への理解を得られたことへのやりがいを感じています。

 

☆今後の業務への抱負をお聞かせください。

国民の健康、安全、生命を守るため、引き続き、強い使命感を持ち、全力で新型コロナウイルス感染症の水際対策に邁進してまいります。

 

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。

検疫所業務は平時にはわずかな職員で検疫感染症の侵入や輸入食品の安全を監視するという、あまり目立たず地味な業務です。SARS、エボラ出血熱、新型インフルエンザ等の発生により検疫強化される度に業務に注目が集まりましたが、今回の新型コロナウイルス感染症のように長期間これほど業務が注目されることはありませんでした。
入国者の一部の方からは、やり過ぎだ、手続きが複雑だとの御批判や、受け入れる側の国民の皆様の一部からはもっと厳しく対応すべきだ、との御批判も受けております。検疫所は法令に基づき、また、政府の決定に従い対応し、個別案件にできるだけ丁寧に対応することを心がけております。 検疫所の職員だけではとても対応しきれない現在の業務量に、官民含む多くの関係機関の皆様の協力を頂き、国民の皆様の協力を仰ぎながらここまで対応することができました。心より感謝を申し上げますとともに引き続き御理解と御協力を重ねてお願い申し上げます。

 
▲航空機からの事前通報審査の様子
 
▲検体採取の様子
 
▲病原体検査の様子
 
 
 
 

-総裁賞受賞者一覧に戻る-

 

Back to top