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人事院総裁談話

令和3年8月10日 人事院勧告・報告 総裁談話

1 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大や大規模な自然災害などの危機的な事態が次々と生じる中、国民の安全·安心を確保するため、全国各地で公務員が日々全力で職務に精励しています。厳しい環境の下、困難な業務に対し誇りを持って真摯に取り組んでいる公務員各位に対し、心からの敬意を表します。その一方で、公務に対する国民の信頼を損なうような事態が相次いでいることは極めて遺憾であり、特に職員に範を示すべき立場にある幹部職員には、改めて国民全体の奉仕者としての強い自覚を持つよう求めます。


2 近年、就業意識の多様化や勤務環境への関心の高まりなどを背景に、公務の志望者が減少し、若年層職員の離職も増加しています。また、専門的な知識や経験を十分に備えた職員が不足するなど、人材の確保は喫緊の課題です。新規学卒者を採用して計画的に育成するだけでなく、民間での経験や国際的な知見を有する者など、官民の垣根を越えて時代環境に適応できる能力を有する人材を誘致することが不可欠です。

 公務職場全体の魅力を高め、個々の職員が能力や経験を十全に発揮し、意欲を持って全力で働くことのできる環境を実現するためには、幹部職員等の組織マネジメントが極めて重要であることに加えて、仕事と家庭生活の両立が図られるよう、長時間労働の是正が必要です。勤務時間制度の柔軟な運用を通じたテレワークの活用等、個々の職員の事情に応じた働き方が可能となる働きやすい勤務環境の整備が求められています。

 

3 人事院としては、このような公務職場が置かれている課題を認識するとともに、近時のデジタル改革の進展を踏まえ、次のような取組を全力で推し進めます。

 人材の確保及び育成については、採用試験の申込者数の減少を食い止め、志望者を増加させていくため、就職先としての公務に対する学生の認識等を把握するほか、技術系の人材確保に向けた活動を強化するなどの新たな取組を行います。また、本年9月に新設されるデジタル庁が民間から多くの人材を採用していく動きがある中、各府省が必要とする様々な専門分野の民間人材を確保できるよう、周知活動を強化するとともに、任期付職員について、公正性確保等の要件を明示し、各府省限りで採用できる範囲を拡大します。

 女性の採用及び登用の促進のため、政府の取組と連携しつつ、広報活動や研修の充実等を図り、各府省の採用·登用の目標達成を支援します。さらに、マネジメント能力のかん養を図るための研修を充実させ、幹部職員向けのマネジメント研修を抜本的に改定します。

 良好な勤務環境の実現に向けては、人員配置や業務分担の見直しを通じて超過勤務を必要最小限のものとするよう、各府省の人事管理責任者に対し指導するとともに、各府省の組織全体としての取組を促していきます。また、超過勤務手当の適正な支給について、人事院が実施している調査や監査等のあらゆる機会を通じて各府省に対する指導を徹底していきます。長時間労働を是正するためには、業務量に応じた要員が確保される必要があることに加え、国会対応業務の改善を通じた超過勤務の縮減も喫緊の課題であり、国会等の一層の御理解と御協力をお願いいたします。

 テレワークの推進は業務プロセスの変革やデジタルトランスフォーメーションの推進を通じた行動変容の観点やワーク·ライフ·バランスの観点等から重要です。このため、有識者による研究会を設け、テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方について検討を行います。加えて、勤務間インターバルの確保の方策についても検討します。

 

4 また、男性職員による育児の促進や女性職員の活躍促進のため、育児休業の取得回数制限を緩和するよう、国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出を行いました。あわせて、昨年5月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」において不妊治療と仕事の両立のための職場環境整備の推進が掲げられる等の状況を踏まえ、公務においても不妊治療のための休暇を新設します。
 
 さらに、非常勤職員の出産·育児等に係る休暇を新設·改善する等、妊娠、出産、育児等と仕事の両立支援のための措置を一体的に講じていきます。

 

5 国家公務員の給与の改定について、本日、人事院は、国会及び内閣に対し、勧告を行いました。本年は、月例給について、民間給与との較差が極めて小さいことから、改定を行わないこととしました。また、特別給(ボーナス)については、公務が民間を上回ったことから、年間4.30月分に引き下げることとしました。

 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置として、情勢適応の原則に基づき国家公務員の適正な処遇を確保しようとするものです。勧告を通じて、職務に精励している職員に適正な給与その他の勤務条件を確保することは、職員の努力や実績に報いるとともに、人材確保にも資するものであり、組織活力の向上、労使関係の安定等を通じて、行政の効率的、安定的な運営に寄与するものです。

 国会及び内閣におかれては、人事院勧告制度の意義や役割に深い理解を示され、勧告どおり実施されるよう要請いたします。

 国民各位におかれては、行政各部において多くの公務員がそれぞれの職務を通じ国民生活を支えていることについて、深い御理解を賜りたいと存じます。


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