第1編 人事行政

第2部 グローバル社会を切り拓く国家公務員を育てるために

はじめに

我が国を取り巻く環境は大きく変化している。例えばICT技術など技術革新の急速な進展により、ヒト・モノ・カネや情報の国境を越えた移動は従来以上に急速に拡大し、経済活動や国民生活において諸外国との関わり合いは避けて通れないものとなっている。一方で、近年、グローバル化の進展への反動も広がっており、これまで自由貿易の恩恵を受けていた国々の中でも保護主義や内向き志向が現れてきている。国際情勢にこのような大きな変動が生じている中で、我が国は、諸外国を相手に、新しい時代のルール作りを主導するとともに、国際社会の平和と安全及び繁栄のために、時代の要請に応じた国際協力を一層進めていかなければならない。また、国内の行政を見ても、これまであまり国際的な関わり合いがないと考えられていた分野を含め、諸外国に与える影響や諸外国から受ける影響、増加する在日外国人への影響などを考慮する必要が生じており、こうした国際情勢や関連する国際条約などを念頭に置いて政策の企画・立案やその実施を進めていかなければならなくなっている。

このような状況変化により国際関係の課題は複雑・高度化し、各府省におけるこれらの業務の重要性も高まっており、現在も、国内だけでなく世界各国で我が国の国家公務員が国際関係業務に取り組んでいるところである。今後、国際関係に関する業務量の増加や業務内容の多様化、複雑・高度化は一層進展すると予想され、こうした業務を適切に担うためには、国際感覚を備えつつ、国家公務員としての高い専門性や使命感を有する多様な人材の確保・育成を更に進め、組織全体の力を高めていくことが重要な課題になると考えられる。

本報告においては、各府省における国際関係業務の状況や人材の確保・育成に関する取組を紹介した上で、これからの国際人材に求められる資質・能力や国際人材の確保・育成を進めるに当たって必要な取組について言及することとしたい。

第1章においては行政における国際関係業務の現状等を、第2章においては人事院及び各府省における国際人材の確保・育成に関する取組の状況を紹介する。その上で、第3章において、これからのグローバル社会に適応した国際人材及び人事管理の在り方並びに国際人材の確保・育成を行っていくための今後の方策について述べるとともに、民間企業における先進的な取組などを参考として紹介する。

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