第1編 人事行政

第2部 グローバル社会を切り拓く国家公務員を育てるために

第2章 国際人材の確保・育成に関する人事院及び各府省における取組

第1節 人事院における取組

3 その他

(1)採用試験の改善

国際政治や社会経済情勢が大きく変化し、行政課題が複雑・高度化、グローバル化する中において、国家公務員に有為な人材を確保していくことは極めて重要な課題である。人事院は、平成24年度に実施した採用試験体系の再編において、国際対応に重点を置いた採用を行うための措置等として、採用試験問題に占める英語の割合を高めるなどの能力実証方法の改善や、外国の大学の出身者なども受験できるように秋季に実施する総合職試験「教養区分」の設置などを行った。

また、採用試験については、その後も社会情勢の変化等に合わせた改善を行っており、平成27年度からは総合職試験の全ての試験区分で外部英語試験の活用を始めたほか、平成28年度には、国際関係の学部等からの学生が受験しやすいものにするため、総合職試験「政治・国際区分」における専門試験の試験内容の見直しなどを行った。

(2)行政研修における国際化対応

公務員研修所では、国内外における国際業務の増加に対応するため、国際感覚の向上を図り、国家公務員としての在り方を考えさせる、以下の研修を実施している。

ア 初任行政研修における国際化対応科目の実施

主に政策の企画・立案等の業務に従事することが想定される新規採用職員を対象に実施される初任行政研修において、平成20年度から、「外国から見た日本への期待」という科目を実施しており、駐日各国大使館に勤務する外交官等外国政府職員を講師に招き、講演と小グループによる意見交換を原則英語により実施している。このカリキュラムを通じて、日本と各国との相互理解や、国際社会において日本に期待される役割等についての理解と国際感覚のかん養を図っている。

イ 行政研修(課長補佐級)における国際コース実施

在外公館における勤務経験等を有する課長補佐級の職員で、今後も国際的業務に従事する意欲のある職員を対象に、平成25年度から実施している行政研修(課長補佐級)国際コースにおいて、駐日各国大使館職員等外国人参加者を交えたプレゼンテーションや意見交換等を行うことにより、英語での意思伝達能力及び対外交渉力の維持・向上、国際感覚の向上を目指している。


行政研修(課長補佐級)国際コースでの討議風景

コラム⑧ フランス・ENA(国立行政学院)における国際化の進展への取組

(1)入学試験

首相直属の国の幹部公務員育成機関であるENA(École nationale d’administration:国立行政学院)には、毎年約80~90人が入学するが、公務のニーズに適合する人材を確保する目的で随時試験科目の見直しを行っている。口述試験が中心となる第2次試験においては、2015年よりEU関係の重要性から「EU関係」を必須科目化したほか、2018年からグローバル化に対応するため「英語」を必須科目化した。この結果、第2次試験の科目は、集団討論(配点3)、人物試験(配点6)のほか、国際関係(配点3)、EU関係(配点3)、英語(配点3)と配点全体の半分が国際関連科目により構成されている。

(2)研修課程における国際実務研修

ENAの研修課程は2年間であり、1年目に実務研修、2年目に講義が行われるが、前者の実務研修については、国際実務研修(16週間)、地方行政研修(20週間)、企業研修(12週間)がそれぞれ実施されることとなる。

このうち、国際実務研修は、国際化の進展を踏まえ、幹部公務員の多様な職種を知る機会を提供するために実施される。約3週間のオリエンテーション等が行われた後、フランス政府の在外公館のほか、国際機関、外国の行政機関などに派遣されることとなるが、在日フランス大使館においても、例年、ENAの学生を1名受け入れているとのことである。

Back to top