第1編 人事行政

第3部 令和元年度業務状況

第5章 職員の勤務環境等

第8節 服務及び懲戒

2 懲戒

(1)懲戒制度の概要、懲戒処分に関する指導等

各府省等の任命権者は、職員が、①国公法若しくは倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合、②職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合、③国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合のいずれかに該当するときは、当該職員に対し、懲戒処分として免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができることとされている(国公法第82条第1項)。その具体的手続は、国公法及び規則12-0(職員の懲戒)に定められている。

人事院は、毎年の懲戒処分の状況を公表するとともに、各府省等に対し、担当者会議等の機会を通じて、懲戒制度の厳正な運用について徹底を図っている。

(2)懲戒処分の状況

平成31年及び令和元年(平成31年1月1日から令和元年12月31日まで。第8節2(2)において同じ。)に懲戒処分を受けた職員総数は296人(免職26人、停職74人、減給131人、戒告65人)であり、前年に比べて4人減少している。

処分数を府省等別に見ると、法務省及び国税庁が最も多く、次いで厚生労働省、国土交通省の順になっている。また、処分の事由別に見ると、公務外非行関係(窃盗、暴行等)、一般服務関係(欠勤、勤務態度不良等)、通常業務処理関係(業務処理不適正、報告怠慢等)の順に多くなっている(資料5-45-5)。

平成31年及び令和元年中において、懲戒処分を行った事例としては、以下のようなものがあった。

  •  基幹統計調査における不適切な事務処理事案

    厚生労働省において、毎月勤労統計調査について、総務大臣の承認を得た調査計画とは異なる方法で調査を行ったことなどにより、管理監督者の監督責任も含め、5人の職員に対して減給処分が行われた。このほか、事務次官及び厚生労働審議官に対し、訓告の矯正措置が行われた。また、賃金構造基本統計調査についても、総務大臣の承認を得た調査計画と異なる取扱いが行われていたことなどにより、局長級及び室長級職員を含む2名に対し、訓告等の矯正措置が行われた。

  •  行政処分案の検討状況漏えい事案

    総務省において、企業への行政処分案の検討状況について当該企業の役員に対して漏えいしたことにより、事務次官に対し、停職の懲戒処分が行われた。

各任命権者は、懲戒処分が行われるべき事件が刑事裁判所に係属している間においても、人事院の承認を経て、適宜、懲戒処分を行うことができることとされている(職員が、公判廷における供述等により、懲戒処分の対象とする事実で公訴事実に該当するものがあることを認めている場合には、人事院の承認があったものとして取り扱うことができる。)。この手続により、平成31年及び令和元年においては、7府省等で12人(免職10人、停職2人)に対して懲戒処分が行われた。

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