第2編 国家公務員倫理審査会の業務

第4章 公務員倫理の今後の展望

平成11年12月に発足した倫理審査会は、令和元年12月に創立20年を迎え、平成12年4月に全面施行された倫理法・倫理規程は、国家公務員が遵守すべきルールとしておおむね職員に定着し、その運用も安定してきたと考える。こうした中で、令和元年度は、倫理審査会創立20年という節目の機会を捉え、第1章で記したとおり例年にない様々な取組を大規模に実施したところである。

「公務員倫理」の在り方や公務及び公務員に対する国民からの要請は日々変化しており、20年前と比べ、官民を問わず「コンプライアンス」という予防的観点に立った倫理保持の取組が組織管理の大きな柱となっている。公務員倫理の在り方は、変わらず守るべきものがある一方、時代の変化に合わせ個々人の自主性と自律性に委ねるべきものも多くあると考える。今後は、各府省等や職員一人ひとりが主体性を持って公務員倫理の在り方を探り、常に自分自身の職務に対して誇りと使命感を持ち、正しい行動を主体的に選択することで、国民から信頼される行政・公務員となることが求められる。倫理審査会としても、社会の変化に遅れないよう社会情勢に常にアンテナを張るとともに、単に各府省等を指導・監督するのでなく、各府省等のよき相談相手として、各府省等と一体となって倫理保持施策に取り組んでいくこととしたい。

具体的には、引き続き『職員の倫理意識のかん養』、『倫理的な組織風土の構築』及び『倫理法等違反への厳正かつ迅速な対応』の3つを主要な柱に据えつつ、それぞれ、①職員個々人が自らの課題として「自分事」として考えるような違反事例等を活用した心に響く研修の提供、②違反事案が生じた組織や倫理的な組織風土構築の成功例の各組織への横展開、③倫理法等違反に対する調査から再発防止策の実施までのノウハウの提供など、現在の取組を更に発展させるような取組を、各府省等とも連携して、検討・工夫していくこととしたい。

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