第1編 人事行政

第2部 公務職場の魅力と課題を考える~国家公務員の意識調査データを通して~

はじめに

昨今、公務における人材確保や働き方について懸念する声が多方面から寄せられており、その対策を講ずることが急務となっている。多くの者に公務を魅力ある仕事として認識してもらうためには、組織の構成員が高い意欲を持って、日々の業務で生き生きと活躍できる職場を実現することが最も重要となる。その方策を検討するに際して、外部の意見に謙虚に耳を傾けることが重要であることは言うまでもないが、内部の構成員がどのような点に満足しているのか、どのような点を課題と感じているのかといった現状を定期的に把握し、課題について改善に向けた不断の取組を進めることは非常に有益である。民間企業においては、このような組織における課題の抽出や課題改善の方策の手掛かりとなる従業員満足度調査を実施する取組が増加傾向にある。

人事院は、平成29年2月、魅力ある公務職場の実現に資することを目的として、行政職俸給表(一)が適用される職員で、本府省庁に勤務するものを対象に意識調査を行い、その結果を平成28年度年次報告書第1編第2部において報告した。同報告書では、調査結果に基づき、国民や社会に奉仕できること、仕事のやりがいがあること、コンプライアンス等の面で職場環境が良好であることなどが公務職場の魅力となっていることを確認し、一方で、職員の人事配置や人材育成の方向性、職場の活力の低下、業務負荷の影響等については、将来の公務運営の課題となることを明らかにした。また、同報告書において、属性別の満足度の傾向について分析を行ったところ、30歳台の職員の回答の平均値が低いことが明らかとなったことから、平成29年度年次報告書第1編第2部において、30歳台の職員及びその上司に当たる課長級の職員に対してアンケート調査を行うなどして、30歳台の職員や公務を取り巻く課題を考察し、対応策について提起した。

平成28年度に初めて府省庁横断的に職員の意識を多角的・包括的に調べてから4年が経過し、この間、政府全体として長時間労働是正の取組をはじめとした働き方改革の推進、職員のキャリア形成に対する支援など、勤務環境の改善や職員の能力伸長に資する取組がなされてきた。他方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や毎年のように発生する自然災害など、前例のない又は前例が通用しない事態への対応に迫られている。こうした公務を取り巻く状況を受けて、今回、改めて公務職場に関する職員の意識を聴取し、その結果分析を基に、魅力や課題を捉え、課題改善の方策を見出すこととした。

前回の調査では、前記のとおり、調査対象が限定的であったが、今回は日本国内に勤務する一般職の国家公務員のうち、全ての常勤職員を対象とした。国家公務員に対してこの規模で意識調査を実施し、その結果を集計・分析することは初めての試みである。業務や通信環境などの事情により回答できない職員もいたものの、6万人を超える職員から回答を得た。調査に回答していただいた職員、調査の周知に協力していただいた各府省庁の人事担当部局の方々に感謝申し上げたい。

本報告書では、今回の調査結果を紹介するとともに、職員が公務職場のどのような点に魅力があると感じているのか、また不満に感じている点は何かの背景を分析することで、公務職場における課題を浮き彫りにするとともに、職場の実情を踏まえつつ、行政の担い手として国民生活を支える国家公務員が働く職場の魅力を高めるためにはどのような取組や方策が求められるのかについても言及することとしたい。