第1編 人事行政

第2部 公務職場の魅力と課題を考える~国家公務員の意識調査データを通して~

第2章 令和2年度「公務職場に関する意識調査」の結果

第2節 調査結果

2 領域別の結果

領域別に平均値を算出した結果は、図2-1のとおりである。【法令の理解・遵守】の領域が4.16と最も高く、続いて【ハラスメント防止】【公共に奉仕する職場風土】の領域が高くなっている。他方、最低値は【報酬・処遇】の領域であり、2.96であった。

図2-1 領域ごとの平均値
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(1)法令の理解・遵守

【法令の理解・遵守】の領域は、「法令やルールの理解度」、「法令や倫理の遵守度」、「不祥事の再発防止の取組」、「苦情相談窓口の周知度」の四つの質問項目から構成され、法令やルールの理解・遵守に対する意識や不祥事等の防止策に対する意識に関するものである。いずれの質問項目も平均値が4.00前後と高い値であり、肯定的な傾向が見られた。

図2-2 【法令の理解・遵守】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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(2)ハラスメント防止

【ハラスメント防止】の領域は、「セクハラの防止度」、「パワハラの防止度」、「上司のハラスメント防止」、「同僚へのハラスメント行為の不存在」の四つの質問項目から構成され、ハラスメントの経験や職場のハラスメント防止に対する意識に関するものである。

これらの質問項目のうち、「セクハラの防止度」は平均値が4.40で68の全質問項目の中で最高値であり、また、「パワハラの防止度」も平均値が3.92と高い値であり、肯定的な傾向が見られた。ただし、「セクハラの防止度」については男女間で、「パワハラの防止度」については一般職層と管理職層との間で、意識の差が見られた。

図2-3 【ハラスメント防止】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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(3)公共に奉仕する職場風土

【公共に奉仕する職場風土】の領域は、「所管行政の責任ある推進」、「府省庁の国民への奉仕度」、「府省庁の社会貢献度」などの七つの質問項目から構成され、所属する組織や職場における国民・社会に対する奉仕や貢献についての意識に関するものである。

これらの質問項目のうち、「所管行政の責任ある推進」、「府省庁の国民への奉仕度」、「府省庁の社会貢献度」は、平均値が4.00に近い値であり、肯定的な傾向が見られた。他方、「奉仕の実感の機会」は、平均値が3.22であり、否定的な傾向が見られた。

図2-4 【公共に奉仕する職場風土】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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(4)適正な業務負荷

【適正な業務負荷】の領域は、「プライベートの時間の確保」、「業務量の許容度」などの五つの質問項目から構成され、自分の職務における業務負荷に対する意識、職場における健康の維持・向上の取組に対する意識に関するものである。

これらの質問項目のうち、「プライベートの時間の確保」の平均値は3.84と高く、肯定的な傾向が見られたが、その他の質問項目は中立的な傾向であった。

図2-5 【適正な業務負荷】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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(5)職場のコミュニケーション

【職場のコミュニケーション】の領域は、「明るい雰囲気」、「情報交換」、「職場での相互啓発」、「職場のチャレンジ志向」の四つの質問項目から構成され、職場でのコミュニケーションに対する意識、新たなことに挑戦するといった職場の活性に対する意識に関するものである。

これらの質問項目のうち、「明るい雰囲気」の平均値は3.85と高く、肯定的な傾向が見られたが、「職場のチャレンジ志向」の平均値は3.16と低く、否定的な傾向が見られた。

図2-6 【職場のコミュニケーション】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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(6)仕事への積極的な取組

【仕事への積極的な取組】の領域は、「仕事の改善姿勢」、「自律的な仕事の遂行」、「権限委譲」などの10の質問項目から構成され、仕事の進め方や仕事の達成感に対する意識、職員自身の成長に対する意識に関するものである。

これらの質問項目の平均値を見ると、「仕事の改善姿勢」は3.85、「自律的な仕事の遂行」は3.71といずれも高く、肯定的な傾向が見られた。他方、「希望に沿った研修受講」は3.17、「自身の将来イメージ」は3.04と低く、否定的な傾向が見られた。

図2-7 【仕事への積極的な取組】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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(7)上司マネジメント

【上司マネジメント】の領域は、「部下の意見の傾聴」、「上司への信頼度」、「状況に応じた業務配分」などの六つの質問項目から構成され、上司のマネジメントやコミュニケーションに対する意識、上司への信頼感に関するものである。

これらの質問項目の平均値を見ると、「部下の意見の傾聴」は3.77、「上司への信頼度」は3.74といずれも高く、肯定的な傾向が見られた。他方、「ロールモデルの存在」は3.12、「キャリアに関する部下への助言」は3.10といずれも低く、否定的な傾向が見られた。

図2-8 【上司マネジメント】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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(8)個を尊重する組織

【個を尊重する組織】の領域は、「ワーク・ライフ・バランス」、「職員を大切にする風土」、「異動における適性・育成の考慮」などの九つの質問項目から構成され、柔軟な働き方やワーク・ライフ・バランスに対する職場の理解、所属組織における人材の活用やダイバーシティに対する意識、人事異動における本人の事情・適性の配慮に対する意識など、職員を個人として尊重する組織風土に関するものである。

これらの質問項目の平均値を見ると、「ワーク・ライフ・バランス」は3.94、「個々の事情に応じた働き方」は3.81といずれも高く、肯定的な傾向が見られた。他方、「異動における適性・育成の考慮」は2.97と低く、否定的な傾向が見られた。

図2-9 【個を尊重する組織】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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(9)組織マネジメント

【組織マネジメント】の領域は、「組織方針の実践」、「組織方針の浸透度」、「業務の効率化」などの11の質問項目から構成され、組織方針の徹底に対する意識、業務効率化や人員配置に対する意識など、組織のマネジメントに対する意識に関するものである。

これらの質問項目の平均値を見ると、「組織方針の実践」は3.75、「組織方針の浸透度」は3.71といずれも高く、肯定的な傾向が見られた。他方、「業務量に応じた人員配置」は2.72、「人事評価の能力伸長への活用」は2.76、「公務の将来性」は2.84、「業務の効率化」は3.01、「オフィス環境の快適度」は3.13といずれも低く、否定的な傾向が見られた。

図2-10 【組織マネジメント】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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(10)報酬・処遇

【報酬・処遇】の領域は、「福利厚生の満足度」、「給与の満足度」、「退職後の生活の安心感」の三つの質問項目から構成され、勤務の対価である報酬や処遇に対する意識に関するものである。

これらの質問項目の平均値を見ると、「福利厚生の満足度」は3.21、「給与の満足度」は3.13、「退職後の生活の安心感」は2.55といずれも低く、否定的な傾向が見られた。

図2-11 【報酬・処遇】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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「退職後の生活の安心感」については、約5割の回答者(30,949人)が退職後の生涯設計に不安を感じていると回答している。不安に感じている者に対して、不安に思うことを尋ねたところ(複数回答可)、「家計に関すること」を選択した者が約7割で最も多く、次いで、「自分の健康」、「家族の健康、介護」を選択した者がいずれも5割超であった(表2-3)。職制段階別に見ると、室長級以上では6割を超える者が「自分の再就職」を選択していた。

なお、令和元年度の定年退職者に対する調査(人事院「令和2年退職公務員生活状況調査」)において、「今後の生活で気にかかることや、不安に思うこと」を尋ねたところ(複数回答可)、自分の健康や家族の健康、介護に関することを懸念事項とする者が多く、現役世代(今回の意識調査の対象)との差が見られた。

表2-3 退職後の生活について不安に思うこと
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(11)全体的な意識

【全体的な意識】の領域は、「国家公務員としての誇り」、「自分の仕事の社会的評価」などの五つの質問項目から構成され、国家公務員として又は所属する府省庁の職員として働いていることに対する誇り、満足感、社会的評価に対する意識に関するものである。

これらの質問項目のうち、「国家公務員としての誇り」は平均値が3.81と高く、肯定的な傾向が見られた。他方、「府省庁の職場推奨度」の平均値は3.01と低く、否定的な傾向が見られた。

図2-12 【全体的な意識】の領域に属する質問項目別の回答割合及び平均値
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【コラム】テキストマイニングと自由記述式の回答の分析

今回の調査で設定した自由記述式の回答については、大量のテキストデータを活用するための技術であるテキストマイニングの手法を用いて、出現頻度の高い単語を抽出した。

《福利厚生として望むもの》

【報酬・処遇】の領域に属する質問項目である「福利厚生の満足度」に関連し、福利厚生として望むものとして記載された回答からは、「宿舎」、「家賃補助」など住居面に関するもの、「健康診断」、「人間ドック」、「スポーツジム」など健康面に関する単語が多く抽出された。

《府省庁の満足度・推奨度の理由》

【全体的な意識】の領域に属する質問項目である「府省庁の職場満足度」と「府省庁の職場推奨度」について回答した理由として記載された回答からは、「やりがい」、「給与」、「国民」、「上司」、「専門性」、「転勤」といった言葉が共通して抽出された。

(府省庁の職場満足度)

「府省庁の職場満足度」において多く抽出された言葉としては、「人間関係」、「貢献」などがあった。

これらの抽出された言葉を手掛かりに「府省庁の職場満足度」において肯定的な回答をした者の記述を見ると、「業務を通じて、公共の福祉に貢献することができ、併せて、自身のスキルアップも図ることができる」、「人間関係が良好であり、上司と部下のコミュニケーションができている」といった内容が見られた。

他方、否定的な回答をした者の記述を見ると、「自分の能力を生かせておらず、国民や社会に貢献していると感じることができない」、「転勤や人事異動が多いため、常に人間関係や仕事上の不安が生じる」といった内容が見られた。

(府省庁の職場推奨度)

「府省庁の職場推奨度」において多く抽出された言葉としては、「長時間労働」、「残業」、「魅力」、「人それぞれ」、「向き不向き」などがあった。

「府省庁の職場推奨度」において肯定的な回答をした者の記述を見ると、「国民全体の利益に大きく関わる業務内容の魅力に加え、違う課の職員とのつながりが多く、組織として温かい雰囲気だと感じる」、「職場の人間関係の良さや福利厚生の手厚さが魅力的」といった内容が見られた。

他方、否定的な回答をした者の記述を見ると、「慢性的な職員の人材不足で、毎日残業をせざるを得ない」、「全国転勤をしなくてはいけないので、人によって向き不向きはある」といった内容が見られた。