第1編 人事行政

第2部 公務職場の魅力と課題を考える~国家公務員の意識調査データを通して~

第2章 令和2年度「公務職場に関する意識調査」の結果

第2節 調査結果

3 属性別の結果

68の質問項目について、回答した職員の年齢、性別、勤務機関区分、職制段階、俸給表、採用区分、勤務形態の属性ごとの結果は次のとおりである。

(1)年齢別

年齢別に平均値を見ると、「24歳以下」が最も高く、「30~34歳」で底を打った後、年齢が上がるにつれて微増している。

図2-13 年齢別の回答の平均値
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領域別に平均値を見ると、「30~34歳」の平均値は、11の領域のうち、【法令の理解・遵守】【ハラスメント防止】【公共に奉仕する職場風土】【適正な業務負荷】【組織マネジメント】【全体的な意識】の六つの領域において最低値となった。

(2)性別

性別で平均値を見ると、男女間でおおむね同水準であった。

図2-14 性別の回答の平均値
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(3)勤務機関区分別

勤務機関区分別に平均値を見ると、「本府省庁」と「本府省庁以外」とで同水準にあり、勤務機関区分の間で顕著な差は見られなかった。

図2-15 勤務機関区分別の回答の平均値
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そこで、組織上の位置付けにおいて本府省庁の対極にあり、全国の各都市に設置されている「出先機関」について見ると、平均値において本府省庁と顕著な差がある領域や質問項目があった。

出先機関の平均値を領域別に見ると、【個を尊重する組織】【組織マネジメント】の領域の平均値が比較的低く、特に、前者に属する質問項目では「能力本位の昇進」、「異動における適性・育成の考慮」が、後者に属する質問項目では「現場重視の姿勢」、「業務の効率化」、「人事評価の能力伸長への活用」、「業務量に応じた人員配置」の質問項目の平均値が低かった。他方で、「奉仕の実感の機会」の質問項目の平均値は高かった。このことから、出先機関に勤務する職員は、国民に直接行政サービスを提供しており、奉仕していると実感する機会が多いが、業務の効率化や業務量に応じた人員配置への対応が本府省庁よりも進んでおらず、現場の実情が本府省庁に十分に吸い上げられていない状況があると考えられる。また、出先機関においては、能力評価が人材育成や昇進につながりにくい状況にあると受け止められていると考えられる。

(4)職制段階別

職制段階別に平均値を見ると、「係長級」が3.39で最低値、「審議官級以上」が4.02で最高値であった。

図2-16 職制段階別の回答の平均値
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(5)俸給表別

俸給表別に平均値を見ると、「行政職俸給表(一)」が3.48、「行政職俸給表(一)以外」が3.62であった。

図2-17 俸給表別の回答の平均値
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また、行政職俸給表(一)について、職務の級別に平均値を見ると、3級と4級が底となり、職務の級が上がるにつれて高くなっている。

図2-18 行政職俸給表(一)の職務の級別の回答の平均値
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(6)採用区分別

採用区分別に平均値を見ると、「一般職等」に比べ、「総合職等」及び「選考、再任用等」の方が高かった。

図2-19 採用区分別の回答の平均値
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「総合職等」については、「一般職等」との比較で、【公共に奉仕する職場風土】【仕事への積極的な取組】の領域の平均値が高く、個別の質問項目では「能力本位の昇進」、「転勤や人事異動の納得感」、「異動における適性・育成の考慮」の平均値が高かった。このことから、公共に奉仕する使命感を持って積極的に仕事に取り組んでおり、仕事のやりがいや挑戦のしがいを感じ、結果として能力・実績に応じて処遇されていると認識している職員が多いと考えられる。その意味で、政策の企画・立案又は調査・研究に関する事務を職務とする官職への採用試験である総合職試験は、人材の確保・育成・活用の面では一定の意義を有していることが認められる。

「選考、再任用等」の回答者は、大別して任期付職員と再任用職員が多くを占めている。このうち、再任用職員は前掲(1)の年齢別の「60歳以上」の職員とほぼ重なっていることから、各領域及び各質問項目について、「選考、再任用等」の回答の傾向のうち「60歳以上」と異なる傾向を示しているものが、任期付職員など選考により採用された職員の意識を表しているものと考えられる。具体的に質問項目別の結果を見ると、「仕事を通じた成長実感」、「職場での技術・知識の共有」、「人事評価の能力伸長への活用」といった質問項目の平均値が他の採用区分よりも高かった。選考による採用は、本人の有している資格、専門性、職務経験が必要とされる官職を中心に行われていることからすると、職務内容が職員の専門性やキャリアの方向性と合致している結果、やりがいや働き方を含めて全般的に高い満足度を感じていると考えられる。行政のデジタル化の推進や統計リテラシーの向上など、行政の様々な部門で高度専門人材の確保が課題となっている中で、専門性に即して適切な職務や働き方を設定することは、こうした人材の確保や活躍にとって重要であると考えられる。

(7)勤務形態別

勤務形態別に平均値を見ると、「フルタイム勤務職員」と「短時間勤務職員」はおおむね同水準であった。

図2-20 勤務形態別(フルタイム勤務・短時間勤務)の回答の平均値
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24時間対応する必要がある業務などに従事する職員は、交替制で勤務している。国民の生命を守る公安関係や医療関係の業務、水際対策に従事する防疫関係の業務など現場で緊張を強いられる業務が多く、連続勤務や深夜勤務が求められる場合もある。

フルタイム勤務職員のうち「交替制勤務職員」と「交替制勤務以外の職員」を比較すると、図2-21のとおり、平均値としてはおおむね同水準であったが、個別の質問項目では差が見られるものがあった。例えば、「ワーク・ライフ・バランス」については交替制勤務職員の平均値が低いことから、交替制勤務による勤務時間や休暇取得の柔軟性の低さが表れていると考えられる。

他方、「仕事のための自己研鑽」、「仕事の挑戦のしがい」、「仕事を通じた成長実感」については交替制勤務職員の平均値が高いことから、当該職員は使命感を持って仕事に積極的に取り組んでいることがうかがえる。人事院としては、こうした職員を含め、多年にわたる精神的、肉体的労苦の多い勤務を通じ、公務の信頼を高めることに寄与したと認められる者等に対して人事院総裁賞を授与し、顕彰を通じて地道な努力を重ねる現場の職員をたたえ、鼓舞してきている。

また、「職場での技術・知識の共有」、「ロールモデルの存在」、「キャリアに関する部下への助言」について交替制勤務職員の平均値の方が高いことから、OJTが積極的に行われていることが考えられるが、他方で、「パワハラの防止度」や「同僚へのハラスメント行為の不存在」については交替制勤務職員の平均値の方が低いことから、上司が部下を熱心に指導するあまり、行き過ぎた言動につながる場合もあることが考えられる。交替制勤務は緊張を強いられる業務が多く、一瞬の気の緩みなどが重大な事件や事故につながる場合があることから、業務内容に応じて指導の態様が厳しくなることはあり得るものの、ハラスメントの防止に留意しつつ、部下に適切な指導を行うことが重要である。

図2-21 フルタイム勤務職員のうち、交替制勤務・交替制勤務以外の回答の平均値
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【コラム】府省庁別の意識の特徴

今回の意識調査は、一般職の国家公務員の全体的な意識の傾向を把握することを目的としているが、同時にその結果を各府省庁における人事管理に活用することも大きな意義がある。そのため、各府省庁にその府省庁に属する職員についての調査結果をフィードバックできるよう、回答者の属性として所属する府省庁も把握しており、42の府省庁ごとの集計を行っている。

今回の調査では、各府省庁の業務状況、通信環境等により回答できない職員もいたため、一部の府省庁においては所属する職員数に比べて回答数が著しく少なく、当該府省庁の職員の意識を適切に反映しているとは言い難いことから、府省庁別の分析を詳細に行うことは見送ったが、全般的に見て以下のような傾向が見られた。

第一に、府省庁間で平均値に大きな差があったことである。全府省庁の総平均値が3.51であるところ、3.70以上の府省庁がいくつかある一方で、3.30を下回る府省庁もいくつかあった。

第二に、「奉仕の実感の機会」の質問項目の平均値を見ると、直接国民に接して行政サービスを提供している業務の多い府省庁の平均値が高い一方、各府省庁に対する行政を実施している業務の多い府省庁や国民を規制する業務を行っている府省庁は平均値が低かった。

第三に、「業務量に応じた人員配置」を見ると、全府省庁の平均値が2.72であるところ、平均値が2.50を下回っている府省庁がいくつかあった。

各府省庁は、フィードバックされた結果を業務の内容や特性を踏まえて分析し、マネジメントや人事管理に反映させていくことが求められる。