第1編 人事行政

第2部 公務職場の魅力と課題を考える~国家公務員の意識調査データを通して~

第3章 調査結果から見た公務職場の魅力と課題~公務職場の魅力と活力を高めるために~

第2節 公務職場の魅力と課題

1 国民や社会への奉仕

国民や社会への奉仕は、国家公務員の存在意義でもある。今回の意識調査の結果を見ると、【公共に奉仕する職場風土】の領域はおおむね肯定的な評価がなされており、この領域に属する質問項目に着目すると、「府省庁の社会貢献度」、「府省庁の国民への奉仕度」、「所管行政の責任ある推進」については、平成28年度調査から引き続き肯定的な傾向が見られた。この肯定的な傾向は、勤務機関区分、採用区分などの属性においても同様であり、多くの職員が、政策の立案や行政サービスの提供、国民の保護など自身の所属する府省庁の所管業務が社会への貢献や国民への奉仕につながると感じていることがうかがえる。

一方、【公共に奉仕する職場風土】の領域に属する質問項目の中で「奉仕の実感の機会」については平均値が低く、否定的な傾向が見られた。特に、年齢別では20歳台後半から40歳台前半の回答者、勤務機関区分別では本府省庁の回答者、職制段階別では係員級と係長級の回答者において、他の属性との比較で平均値が低い結果であった。このことから、係長級までの若年層や本府省庁勤務者においては、自身の具体の仕事が国民等に奉仕していると実感しているものが少ないと考えられる。

これらのことから、多くの職員は、自身の仕事が所属する府省庁の所管業務の適切な遂行に貢献し、それが社会への貢献や国民への奉仕につながることを感じてはいるものの、所属する府省庁の所管業務の受け手である国民から、そのことを直接に実感する機会が乏しいと感じており、特に本府省庁の係長級の職員にはその傾向が強いものと考えられる。

(対応方策)

国民や社会へ奉仕する仕事は、国民生活に直結する施策の制度設計や窓口での行政サービスの提供、災害などへの緊急事態への対応など多種多様である。これまで公務の仕事とされてきたものの中には一部民間部門等へ移管されたものもあるが、それ以外の大部分は公務員が担っている。

国民や社会へ奉仕する仕事ができることは国家公務員を志す理由の主たるものであり、自身が所属する府省庁の所管業務や自身の仕事が国民や社会へ奉仕することにつながっていることを実感することは、国家公務員として働く上でのモチベーションや満足感の源泉になっているものと考えられる。このことは、人事院が別途行った新規採用者向けのアンケート調査(「総合職試験等からの新規採用職員に対するアンケート調査」(令和2年8月~11月実施))では、国家公務員になろうとした理由として「公共のために仕事ができる」ことを挙げる者が7割近くにのぼり最多となっていることにも表れている。

本府省庁の業務は局、課、係と細分化されていることから、自分の仕事を通じて国民への奉仕や社会への貢献を実感しにくい傾向はあるが、職員自身が現在担当している業務がどのような場面で生かされているのかを考えることにより、担当業務の重要性や国民・社会への貢献を実感する契機になると考えられる。

また、職員自身の気付きのみでは限界があるため、幹部職員や各職場の上司は、部下が関与している業務について、業務内容を説明するだけにとどまらず、折に触れてその業務の意義や重要性、対外的な影響などについて話し合うことで、部下のモチベーションを維持・向上させることも必要である。

今回の調査において、本府省庁の職員は本府省庁以外の職員よりも「奉仕の実感が乏しい」と感じている傾向が見られた。節目節目で本府省庁以外での業務や現場研修などを通じ、国民への奉仕や社会への貢献を直接に実感する経験を積ませることも、国家公務員として働く上でのモチベーションや満足感の維持につながるものとして重要である。