第1編 人事行政

第3部 令和2年度業務状況

第9章 人事・給与等業務のIT化の推進

人事・給与情報システムは、各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議の決定による「人事・給与等業務・システム最適化計画」(2004年(平成16年)2月27日決定、2017年(平成29年)2月28日最終改定)等に基づき、国家公務員の人事管理、給与管理、共済管理、職員からの届出・申請処理等の諸機能を一体化した府省共通システムであり、人事院が本システムの構築及び運用を行っている。令和2年度末における本システムの対象職員は、30府省等の全職員約27.7万人(常勤)である。

令和2年度におけるアプリケーション保守としては、令和2年11月の給与法等の改正に対応した改修を制度関係部局等と連携を図りつつ遅滞なく実施するとともに、未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し等の税制改正対応及び官庁会計システム(ADAMSⅡ)との連携機能強化のための改修等を実施した。その他、国税庁の年末調整システムを利用して職員が作成した各種申告書データを人事・給与情報システムに取り込むためのツールを開発し、利用府省等に提供した。

また、政府の方針であるクラウド・バイ・デフォルト原則に基づき、令和5年10月を目標に人事・給与情報システムのクラウド化に対応するシステム更改を行う計画を進めており、クラウド等移行実現性調査分析を実施し、令和3年度からのシステム環境構築、システム移行、移行に伴うアプリケーションの改修等の業務委託の調達を実施した。さらに、官庁会計システム(ADAMSⅡ)との連携を進めており、会計検査院、宮内庁、金融庁、財務省、文部科学省、厚生労働省(本省)、農林水産省、経済産業省、特許庁、国土交通省、運輸安全委員会、海上保安庁、原子力規制委員会、衆議院及び国立国会図書館において給与支払業務の支出官払が開始された。

また、全ての利用府省等が人事・給与情報システムの安定的な運用を確保できるよう、令和2年度において、利用府省等に対して以下の取組を実施した。

  1. ① 人事・給与情報システムの利用者用マニュアルについて、最新のインシデント情報等をいち早く提供する観点から、年6回の改訂を行い、利用府省等に提供した。
  2. ② 利用府省等の担当者に対して迅速な情報提供を行うために、インシデントの悉皆分析結果を1か月ごとに更新した。また、メールマガジンを年末調整手続等の特定の業務イベントに対する利用府省等の業務実施時期に合わせて、年8回発出した。
  3. ③ 通常、各利用府省等において独自に実施している、人事・給与担当者向けの人事・給与情報システムの研修を、コロナ禍にあっても実施できるよう、人事院が研修用の動画等を作成し、利用府省等に提供した。
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