第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動き

第5章 適正な公務員給与の確保等

1 勧告・報告

令和3年8月10日、人事院は国会及び内閣に対し、一般職の職員の給与について報告し、給与の改定について勧告を行った。

(1)公務と民間の給与比較に基づく給与改定等

ア 月例給

人事院は給与勧告を行うに当たり、毎年、「国家公務員給与等実態調査」及び「職種別民間給与実態調査」を実施し、国家公務員及び民間企業従業員の4月分の月例給を把握している。その上で、一般の行政事務を行っている国家公務員(行政職俸給表(一)適用職員)と民間においてこれに類似すると認められる事務・技術関係職種の従業員について、主な給与決定要素である役職段階、勤務地域、学歴、年齢を同じくする者同士の給与を比較している(ラスパイレス方式)。

令和3年は、「職種別民間給与実態調査」を、例年と同様、企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の民間事業所を調査対象として実施した。また、「国家公務員給与等実態調査」においては、給与法が適用される常勤職員約25万人の給与の支給状況等について全数調査を行った。

両調査により得られた令和3年4月分の給与について、前記のラスパイレス方式により国家公務員給与と民間給与との較差を算出したところ、国家公務員給与が民間給与を平均19円(0.00%)上回っていた。較差が極めて小さく、俸給表及び諸手当の適切な改定が困難であることから、月例給の改定は行わないこととした。

イ 特別給

令和2年8月から令和3年7月までの1年間において、民間事業所で支払われた特別給は、年間で所定内給与月額の4.32月分に相当しており、国家公務員の期末手当・勤勉手当の年間の平均支給月数(4.45月)が民間事業所の特別給の支給割合を0.13月分上回っていたことから、支給月数を0.15月分引き下げ、4.30月分とすることとした。

(2)給与改定等

ア 特別給

前記のとおり、国家公務員の期末手当・勤勉手当の年間の平均支給月数が民間事業所の特別給の支給割合を0.13月分上回っていたことから、支給月数を0.15月分引き下げ、4.30月分とすることとした。支給月数の引下げ分は、民間の特別給の支給状況等を踏まえ、期末手当から差し引くこととし、令和3年度については、12月期の期末手当から差し引き、令和4年度以降においては、6月期及び12月期における期末手当が均等になるよう支給月数を定めることとした。

イ その他

(ア)非常勤職員の給与

令和3年7月に、非常勤職員の給与に関する指針を改正し、任期が相当長期にわたり、かつ、常勤職員と職務、勤務形態等が類似する非常勤職員に対する期末手当及び勤勉手当に相当する給与については、常勤職員の支給月数を基礎として、勤務期間、勤務実績等を考慮の上支給するよう努めることとした。

人事院としては、早期に改正内容に沿った処遇の改善が行われるよう、各府省を指導していくこととした。

(イ)育児休業制度の改正に併せた期末手当・勤勉手当の取扱い

育児休業法の改正についての意見の申出に併せて、期末手当及び勤勉手当における在職期間等の算定に当たっては、子の出生後8週間以内における育児休業の期間と、それ以外の育児休業の期間は合算しないこととした。

(ウ)テレワーク(在宅勤務)に関する給与面での対応

テレワークに関する給与面での対応について、今後、関係府省とも連携し、公務におけるテレワークの実態や経費負担の状況について把握しつつ、既に在宅勤務手当を導入した企業に対するヒアリングを行うことなどを通じ、引き続き研究を進めていくこととした。

ウ 今後の給与制度見直しに向けた検討

定年の段階的引上げに係る改正法の成立を受け、能力・実績を的確に反映させつつ60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう、人事評価制度の改正を踏まえた昇格、昇給等の基準の整備を始めとして、順次取組を行うこととした。

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