就職・採用活動の円滑な実施及び学生が学業に専念できる環境の確保のため、例年、政府は経済団体等に就職・採用活動に関する要請を行っている。その中で就職・採用活動日程の遵守を呼びかけており、広報活動の開始は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動の開始は卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日は卒業・修了年度の10月1日以降と定められている。
近年はインターンシップを実施する民間企業が増加しており、特に卒業・修了前年度(大学3年生・大学院1年生)の学生を対象に6月から募集を開始する場合が多い12。学生は卒業・修了前年度の6月の募集に申し込み7月~9月にインターンシップに参加する13者が多いことから、6月以前に業界や企業に関する分析を始めていると考えられる。インターンシップに参加した学生に対する調査では、30%以上のインターンシップが「採用のための実質的な選考を行う活動を含んでいた」とされており14、インターンシップが民間企業にとって採用選考活動の端緒となっている可能性が高い。また、卒業・修了年度の6月より前に採用選考活動を開始した企業に対するその理由の調査15によると、「採用したい質の学生が早期の就職活動を行っているため」と回答した企業が39.1%と最も多く、次いで「競合他社が早期の採用活動を行っているため」が27.0%であった。前述のインターンシップと併せて考えると、多くの企業が採用したい優秀な学生は就職活動を早期から行い、民間企業もそういう学生にインターンシップを通じて接触し、実質的な採用活動を行っている可能性が高い。